自転車とカヤックで旅する環境がととのった 日本一の大河「千曲川」が、いまアツい! | 海・川・カヌー 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

海・川・カヌー

2026.11.02

自転車とカヤックで旅する環境がととのった 日本一の大河「千曲川」が、いまアツい!

自転車とカヤックで旅する環境がととのった 日本一の大河「千曲川」が、いまアツい!
長野県では「千曲川」、新潟県では「信濃川」と名前を変えて呼ばれる一級河川。その千曲川エリアにおいて、官民一体となってアウトドアアクティビティーを盛り上げようとする動きが高まっている。

カヌーやラフティング、サイクリングなどのアクティビティーを通して、千曲川へと足を運んでもらい、広域観光や地方創生に活かそうというプロジェクトが動き出している。

その名も「千曲川活用推進ビジョンプロジェクト」。千曲川を管轄する国土交通省の指導のもと、カヌーポートなどハードな整備を進め、千曲川をアウトドアで盛り上げていこうという流れである。

また、陸からのアプローチも盛んで、世界的権威のある長距離自転車ネットワーク『EuroVelo』の日本版『JapanVelo』の国内認定第2号となる千曲川コース125km(上田駅―森宮野原駅)が今年の9月に正式認定された。

こうして、水上から陸上から、千曲川はいまだかつてない盛り上がりを見せている。そんな千曲川の現状を発信すべく、2日間にわたるモニターツアーに参加してきた。

JapanVero

カヌーポートは一市町村に1個以上!

千曲川はカヌーイストにとって、憧れの大河である。

本誌でお馴染みのカヌーイスト野田知佑さんは、生前毎年ここ千曲川を訪れ、参加者とともに1泊2日で大河を下った。

そんな千曲川をカヌーの“一大フィールド”にしようと、長野市、須坂市、小布施町、中野市、飯山市による「千曲川北信5市町かわまちづくり」プロジェクトの一環としてカヌーポートが次々と整備されている。

川っぺりまで車を乗り付けることができ、階段を使って艇を速やかに水面へ浮かべたり、回収できることは、川旅をなめらかにしていく。駅やバス停などが近ければ、さらに川旅は万人に開かれたアクティビティーとなるだろう。

近年に新設された5つのカヌーポートを紹介しよう。

小布施カヌーポート

こちらは23年に完成した「小布施カヌーポート」。小布施橋の下流に整備され、小布施駅までは徒歩27分の立地にある。

中野リバーポート

こちらは「中野リバーポート」。まだ看板などが未設置で、来年の完成を目指しているが、使用は可能とのこと。

長野カヌーポート

こちらは「長野カヌーポート」。犀川(さいがわ)が合流し、水量が多くなった好立地に整備されている。須坂長野東ICから車で約10分。

須坂カヌーポート

こちらは「須坂カヌーポート」。前出の長野カヌーポートから数キロ下流、屋島橋(やしまばし)の右岸に整備されている。(写真提供:須坂市)

常盤カヌーポート

2022年に整備された飯山市「常盤カヌーポート」。飯山市にはこのほか「飯山カヌーポート」、「湯滝カヌーポート」がある。流れがたおやかで、JR飯山線が並行して走っているため、入門者におすすめしたいセクションだ。


このように千曲川の下流(北信エリア:長野市、須坂市、小布施町、中野市、飯山市)では、各自治体がそれぞれカヌーポートを整備し、アクティビティーの拠点として提供している。

さらに千曲川中流域にあたる東信エリア(上田市、千曲市)でも整備が行なわれており、実際に整備されたカヌーポートや河川公園を利用しようという試みの第一歩が、今回のモニターツアーいうわけである。

というわけで、千曲川の中流域にあたる坂城町(さかきまち)から千曲市へとカヤックで下ってみよう。

坂城カヌーポート → 戸倉千曲川緑地公園

農業用水などの取水に利用されている堰堤「埴科頭首工(はにしなとうしゅこう)」の下にある「坂城カヌーポート」から出艇。ツアーのために先方から用意された艇は、浮力が高く、安定しているダッキー。

2〜2.5級の瀬が次々と現れ、大きな瀬を軽々と乗り越えていくダッキーが楽しい。流れの中にテトラなどの人工物があったりして、人工的な流れには注意が必要だ。

護岸工事やカヌーポートもいいけれど、イレギュラーな人工的な流れを作り出すテトラなどを撤去することも視野に入れて、整備を進めてほしいと思った次第。

初心者、あるいは沈したくない人は、リバーガイドが同乗するラフティングで下った。結果的にラフトの上ではしゃぎすぎて、数名が沈していたけれど。

中流域は、勾配とともに流れがあるので、あっという間にゴールの戸倉千曲川緑地公園に到着した。車が横付けできるリバーポートが整備され、着岸しやすく、速やかに撤収できた。

特別に許可をもらいカヌーポートがある戸倉千曲川緑地公園で、キャンプ泊。国土交通省の「かわまちづくり計画」として、右岸で戸倉千曲川緑地公園の整備計画があり、キャンプ場の新設も予定しているとか。今後、中流域のリバーアクティビティーの展開が楽しみである。

中野カヌーポートから常盤カヌーポート

2日目のカヤックツアーは、千曲川下流部の中野カヌーポート(中野市)から常盤カヌーポート(飯山市)までの約15km。

これまで中野市には、公式なカヌーポートがなかったので、こいつの登場で川旅プランが広がっていきそうだ。

最寄りのJR飯山線替佐駅(かえさえき)までは距離にして3km程度。上にかかる橋は、笠倉壁田橋(かさぐらはきだばし)。

緊張する瀬は古牧橋(こまきばし)直下の1か所のみで、のんびりとリラックスして下れる。豪雪地特有のトタン屋根の古民家と千曲川。これぞ北信地域の原風景。唱歌『ふるさと』が生まれた地でもある。

飯山線が並行して走っているので、常盤カヌーポートまでいかなくとも飯山カヌーポートで上がることもできる。観光列車「おいこっと」がたまたま通過し、それに向かって手を振る参加者。

古牧橋と高杜山(こうしゃさん)。古牧橋を越えると、川の流れは北へとカーブし、飯山平野へ吸い込まれていった。午後は、向かい風が強くなる。

ゴール手前の中洲で小休憩。故・野田知佑さんもこうして昼寝をしていたっけ。風が通る中洲の昼寝は実に気持ちいい。

常盤カヌーポートでゴール。漕ぎ足りない人は、さらに9km下流の湯滝カヌーポートまで下るもOK。常盤カヌーポートは最寄り駅まで遠いが、湯滝カヌーポートはすぐ近くに飯山線上境駅(かみさかいえき)がある。

このように、北アルプスを源とする犀川が千曲川に合流する長野市から、飯山市の西大滝ダムまで約45kmの間に、長野、須坂、小布施、中野、飯山、常盤、湯滝と7つものカヌーポートがある。まさに「カヌーの地」と呼ぶに相応しい環境が整ったのだ。


千曲川が『JapanVelo』に認定!

アップダウンが少なく、空が広くて、視界が開けた川沿いは、自転車旅との相性がいい。事実、千曲川沿いには、車が入れない自転車歩行者専用道が整備されている。

それら既存の道を繋いで、上田駅(上田市)から森宮野原駅(栄村)までの125kmが今年9月に『JapanVelo千曲川ルート』として認定された。

『JapanVelo(ジャパンヴェロ)』とは、ヨーロッパ全土を網羅する国際自転車道『EuroVelo(ユーロヴェロ)』の仕組みを日本に導入し、全国の優れたサイクリングロードをつないで、国際基準のルートネットワークを構築、認定するプロジェクトおよび組織のこと。

欧州サイクリスト連盟(ECF)と独占契約を結び、安全な走行環境、案内表示、公共交通との連携など、厳格な基準をもとにルートを調査、認定している。その国内第2号認定がここ千曲川というわけだ。

千曲川ルートのマップはこちら

ツアー前に『JapanVelo』データマネジメントアドバイザー山津貴之さんからレクチャーがあった。繰り返し強調されたのは、安全性。千曲ルートは、自動車が通行できない道が全体の44.0%を占めている。

また、長距離ということも『JapanVelo』認定のキーワードで、国内で初めて100kmを超えるルートとなった。

1日目:上田駅 → 上田城 → 坂城カヌーポート

JR上田駅が『JapanVelo千曲川ルート』の起点だ。北陸新幹線、しなの鉄道、上田電鉄の3路線が乗り入れる東信地方の主要ターミナル駅で、首都圏からのアクセスも良好。

日本百名城の上田城もルートに含まれる。ただ、移動するだけでなく、その地の歴史や文化などを学ぶことも『JapanVelo』が目指すところ。

千曲川の堤防を利用した自転車と歩行者の専用道路「千曲川サイクリング道路」。センターラインが引かれ、自転車は左側通行で安全に走行できる。当日は数台のロードバイクとすれ違った。

自転車歩行者専用道「千曲川サイクリング道路」は、上田市から坂城町、千曲市を縦断し、長野市の関崎橋まで左岸に続いている。(市街地で途切れる箇所もあり)

この「千曲川サイクリング道路」が、自動車が通行できない道の割合44%を押し上げている。

2日目:長野カヌーポート →  小布施 → 中野カヌーポート

2日目は長野カヌーポートから中野カヌーポートまで、35kmのサイクリング。スタート前に各自治体の建設課のみなさんと記念撮影。

自動車侵入禁止の堤防がずっと続いていて、快適そのもの。左手には、北信五岳(妙高山、斑尾山(まだらおやま)、黒姫山、戸隠山、飯綱山)のほか、日本百名山の高妻山(たかつまやま)がそびえていた。

小布施(おぶせ)の街へ近づくと、リンゴやブドウなどの果樹園が沿道を華やかにした。

小布施の街を散策。ちょうど栗の収穫時期と重なったこともあり、観光客でごった返していた。浄光寺、岩松院(がんしょういん)などの寺院もコースに含まれている。

飯山線立ヶ花駅(たてがはなえき)で線路を渡り、車通りが少ない裏道へ。ローカルしか知らないような小道を選定する『JapanVelo』にあっぱれ!

中野カヌーポートへ近づくと、棚田の脇を走る農道へ。100km以上も一緒に流れてきた千曲川がすぐ足元にあった。

標高2483mの甲武信ヶ岳を水源とする千曲川は、信濃川と名前を変えて、約367km流れ下って日本海へ注ぐ。

『JapanVelo千曲川』は日本海までの延伸を目標にしているという。大河は、アウトドアズマンにとってこれ以上ない雄大な遊び場だ。

構成/森山伸也  撮影/太田孝則

問い合わせ先:信越自然郷アクティビティセンター 0269-62-7001 

信越自然郷アクティビティセンター
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森山伸也

アウトドアライター

もりやましんや。1978年新潟県生まれ。登山、SUP、渓流釣り、自転車、スキー、外遊びならなんでもバッチこいのアウトドアライター。著書に『北緯66.6°北欧ラップランド歩き旅』(本の雑誌社)。テレマークスキーの同人誌『FREE HEEL BOOK』発行人で編集長。

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