今回は、都電荒川線の三ノ輪橋〜町屋駅前停留場間を散策する「東京トラム三ノ輪GREEN WAY」です。
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45th ルート:東京トラム三ノ輪GREEN WAY
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この連載「東京GREEN WAY」のFILE.37〜FILE.42では、石神井川の河口から源流付近まで遡上するセクションハイクを行いました。セクションハイクとはトレイルの行程を分割して歩くことです。ちなみに、一気に歩き通すことはスルーハイクといいます。
FILE.37でも書きましたが、なぜか僕はJR王子駅近辺に取材で出向く機会が多く、よく都電荒川線を見かけます。この東京唯一の路面電車に乗車したことはないのですが、妙な縁があるように感じていました。
川に源流と河口があるように、電車にも始まりと終わりがあります(山手線などの例外もありますが)。であるならば、川沿いを歩くように線路沿いをセクションハイクすることもできるはずです。一方的に親近感を抱いている路面電車に寄り添うように歩いてみたい。そう書くとやや気持ち悪いですが、ふと思い立ったのでした。
ということで、今回から何回か分けて都電荒川線沿線をセクションハイクします。今回は「東京トラム三ノ輪GREEN-WAY」です(トラムとは路面電車のことです、念のため)。
都電荒川線
かつてあった王子電気軌道によって敷設された路面電車。当時の東京市(現・東京都)が買収し、都営となりました。最盛期の1943(昭和18)年度には41系統が東京を縦横に走っていたそうです。
しかし、交通渋滞の解消などを目的に次々と路線が廃止になり、1974(昭和49)年に三ノ輪橋〜王子駅前の一部と荒川車庫前〜早稲田の2系統を一本化したのが現在の荒川線だそうです。1911(明治44)年からの歴史があること、2系統を合わせる形で都内唯一の路面電車が生き残ったことなどを初めて知りました。
ちなみに、東京都交通局のサイトなどでは「東京さくらトラム」という愛称を前面に押し出しています。不勉強だからか、「東京さくらトラム」という愛称に馴染みがないのですが、定着しているのでしょうか…。
ところで、ロングトレイルでは起点や終点を「ターミナス」と呼びます。起点も終点も同じターミナスと呼ぶのは、コースの両端のどちらから歩いてもOKだからです。ややこしいので、実際には方角や街の名前などをつけて「西のターミナス」などといいます。
僕はいわゆる「鉄ちゃん」ではないので、鉄道でも起点や終点と言うのか、別の言い方をするのか、わかりません。ここではロングトレイルに即して、「北の起点の三ノ輪橋停留場」「三ノ輪橋停留場ターミナス」とします。

三ノ輪橋停留場
「三ノ輪橋」という名前は、かつて付近を流れていた石神井用水(音無川)と日光街道の交点に架かっていた橋に由来するんだとか。
この連載のFILE.38でふれたように、かつて石神井川は王子駅付近で音無川と呼ばれていました。それはその通りなのですが、王子付近で石神井川の本流から分岐して日暮里、三ノ輪などを通って隅田川に注ぐ音無川(石神井用水)も存在したそうです。現在は暗渠化されて下水道となっているようですが、その水路跡も気になります。
いや、今は都電荒川線沿線をセクションハイクしようと、ターミナスに立ったところなのでした。まだ歩き始めてもいないのに、目移り厳禁。
というか、三ノ輪橋停留場、とても良い雰囲気です。それもそのはず、関東の駅百選に選ばれているのです。停留場そのものはもちろん、駅周辺も味わいのある景観がたくさんあって、写真を撮る手が止まりません。でも、この連載はカメラ散歩ではなく緑道散策なので、いい加減、歩きます。


ちなみに、荒川区では都電荒川線を「みどり軸」と位置づけ、バラによる緑化に取組んでいるそうです。「都電沿線のバラ植栽事業」は、都電荒川線が荒川区を通る総延長約4.8kmの内、約4kmの区間で約140種のバラが植栽されているとか。バラは5月~6月、そして10月(秋バラ)が見ごろだそうです。

三ノ輪橋停留場から次の荒川一中前停留場まで歩いてきて、ふと気づきました。僕は荒川線沿線トレイルだからと線路横の細い側道を歩いてきたのですが、すぐそばのジョイフル三ノ輪商店街を通り抜けることもできたのです。
この昔ながらの商店街は「3年B組金八先生」などのドラマや映画のロケ地としても利用されているそうで、とても良い雰囲気です。僕は早朝に歩いたのでシャッターを下ろした店が多かったですが、惣菜屋、肉屋、青果店、弁当屋、パン屋、衣料品店など多くのお店が軒を連ねているので、夕方などはにぎわいそうです。


荒川一中停留場を過ぎると線路沿いの道が途絶えたので、いったん荒川線の線路沿いから離れます。ロスト(道迷い)しかけましたが、何となく緑がたくさんある方に進んでいったら荒川公園と隣接する荒川区役所がありました。

荒川区役所から再び荒川線の線路の方へと進み、三河島水再生センターまで歩いていきます。ここは下水処理施設で、すぐ横を荒川線が通っているのですが、三河島水再生センターと線路の間に生け垣が真っすぐ伸びています。これぞGREEN WAYといった道のりで、そのまま歩いていくと荒川二丁目停留場がありました。

荒川二丁目停留場のすぐそばにある三河島水再生センターの看板に「わが国近代水道発祥の地から〜」といった気になる文言を発見。その看板の奥には、古そうな赤レンガづくりの建物もありました。

三河島水再生センターの看板の下には「旧三河島汚水処分場喞筒場施設」という案内板もありました。「喞筒」という見慣れない文字の上には「ポンプ」と読みがなが記されています。
旧三河島汚水処分場喞筒場施設
ここは1922年(大正11年)に稼働を開始した日本発の近代下水処理場。1999年(平成11年)に役目を終えるまで、70年以上にわたって稼働していたとか。今も赤レンガづくりの威厳ある建物が残っていますが、下水道関連の遺構では初めて国の重要文化財(建造物)に指定されているそうです。サイトなどから予約すれば、見学もできます。

荒川二丁目停留場の横の線路脇の道は、スロープになっていました。スロープを上って線路を見下ろすと、1両編成の荒川線が妙に愛おしく感じます。

そのままスロープを上っていくと、荒川自然公園に着きました。
荒川自然公園
ここは、三河島水再生センターの上に人工地盤をつくって整備された公園です。…似たような説明を以前にも書いたことがあるような…と、しばし考えて思い出しました。以前訪れた新宿区の落合中央公園も同様の構造で、荒川自然公園は都内で2例目だそうです。
荒川自然公園の園内に歩を進めると、テニスコートや野球場などのほか、お子さんが交通ルールを学ぶための交通園という小さな教習所のようなエリアもありました。また、その名も「白鳥の池」というものがあり、時季になると飛来するのかなと思ったら、白鳥がいました。かつて暮らしていた白鳥が老衰で亡くなり、数年前からあらためて飼育しているそうです。

荒川自然公園の北側には、京成本線が走っています。その京成本線と並行して藍染川通りがあります。暗渠(水路跡)好きの僕としては、「藍染川」という名前を目にしたら調べずにいられません。
藍染川
藍染川の別名は谷田川排水路。谷田川は、豊島区の染井霊園付近を水源に千駄木を通って不忍池に注ぎ込んでいた川です。この谷田川の氾濫対策として大正時代につくられた人工河川が藍染川で、谷田川から分水して隅田川に流れ込んでいたそうです。
藍染川は、当初は水質もきれいで染物を洗う光景も見られたとか。でも、時代とともに水質が悪化するなどしたため、衛生や防災の観点から暗渠化して1960年代には完全に道路になったそうです。

隅田川から藍染川や谷田川の跡をたどっていくと、不忍池にたどり着くのか。気になる…。いや、今は都電荒川線沿線のセクションハイクを始めたばかりだけど…。などとブツブツいいながら藍染川通りを歩いていたら町屋駅前停留場に着いたので、今回はここでフィニッシュ。
GREEN WAYといいつつ、今回は水(川)に関係する場所ばかりをめぐっていたような気がしないでもないですが、やはりというか、想像以上に荒川線沿線は面白いですね。30カ所ある停留場のうち三ノ輪橋〜町屋駅前の6カ所しか進んでいませんが、先が楽しみです。それにしても、音無川と藍染川が気になる…。
■今回歩いたルートのデータ
|距離約2.6km
|累積標高差約1m
今回のコースを歩いた様子は動画でもご覧いただけます。
●東京トラム三ノ輪GREEN WAY





