今回は、隅田川と旧中川を結ぶ水路沿いを散策する「北十間川GREEN WAY」です。
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44th ルート:北十間川GREEN WAY
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前回は、東京スカイツリーの足元を曲がれる水路の歴史的変遷などをたどっているだけで、あっという間に終了してしまいました。その水路=北十間川(きたじゅっけんがわ)は江戸時代に開削され、隅田川と旧中川を結んでいます。
ということで、今回は東京スカイツリーの東側に延びる北十間川沿いを歩き、旧中川を目指したいと思います。題して「北十間川GREEN WAY」です。
今回のターミナス(=トレイルの起点)は、東武東上線のとうきょうスカイツリー駅。早速、駅の南側を流れる北十間川沿いを進んでいきます。
このあたりの川沿いは墨田区立の「おしなり公園」として整備されていて、気持ち良く歩くことができます。


京成橋を越え、おしなり公園を過ぎると、徐々に新しい建物が少なくなります。つまり、東京スカイツリーから遠のくほどに、昔ながらの下町の街並みになっていくのです。個人的には、こちらの方がほっとします。

心地よい北十間川沿いの歩道は、十間橋の手前で終わっていました。いったん川沿いから離れます。
なお、十間橋の先には、北十間川から分岐して南に向かう横十間川が流れています。横十間川の西側が墨田区、東側が江東区です。横十間川を南下すると別の川に合流したりするので、それはそれで食指が動きます。が、今日は初志貫徹(?)で北十間川沿いを東に進みます。

十間橋のたもと、横十間川と北十間川の分岐点の近くにお寺がありました。「葛飾北斎 熱心に信仰」と書かれ、「赤富士」が描かれた看板が道沿いの目立つ場所に掲げられた法性寺(ほっしょうじ)です。
法性寺
1492年(明応元年)創建という柳嶋妙見山(やなぎしまみょうけんさん)法性寺。北辰妙見菩薩(ほくしんみょうけんぼさつ)をまつった妙見堂があることで知られるお寺です。
看板に「熱心に信仰」とある葛飾北斎は、師匠に破門されるなどして困窮していたものの、妙見堂に日参したことが縁で絵師として名を成すに至ったとか。北斎のほかにも、絵師や役者などが妙見堂に足を運んでいたそうです。江戸時代には人気のパワースポットだったのかもしれません。

法性寺から再び北十間川沿いをしばらく歩いていくと、福神橋の近くに気になるものがありました。家と家の間に路地のような細い参道が伸びている吾嬬(あずま)神社です。
吾嬬神社
創建年代は不明だそうですが、その縁起が気になりました。日本武尊(やまとたけるのみこと)の妃である弟橘媛(おとたちばなひめ) が自ら生贄となって嵐を鎮め、流れ着いた遺品をまつったことが吾嬬神社の起源だと境内にある碑に記されています。
何だか聞き覚えのある縁起だなと思って記憶をたどり、思い出しました。以前、都内の低山を紹介する「TOKYO山頂ガイド」を連載していたときに訪れた亀戸浅間神社の創建もほとんど同じ内容だったのです。
吾嬬神社と亀戸浅間神社は直線距離で約2km離れていますが、同じ弟橘媛の遺品から2つの神社が創建されたのでしょうか。そもそも吾嬬神社はかなり内陸にあり、そばを流れる北十間川は江戸時代に開削されたので、この地に弟橘媛の遺品が流れ着くのは考えにくい…。
いや、はるか昔の神社の起源にリアルを持ち込むのは野暮というもの。歴史家ではなくハイカーの僕は、「ああでもない、こうでもない」と妄想を楽しみたいと思います。

吾嬬神社の少し先に立花公園がありました。冒頭のおしなり公園を出て以降、北十間川沿いは素っ気ない雰囲気が続いていましたが、立花公園近辺は再びキレイに整備されています。
ふと振り返ると、東京スカイツリーがずいぶん小さくなっていました。あの麓から歩き始め、いつの間にか、けっこうな距離を歩いてきたこと実感します。

取材で住宅街やビル街の道を歩いているときに、特筆すべきことが見つからないと焦ります。でも、川沿いの気持ちの良い道を歩いているときは、面白そうなネタが見つからなくても気になりません。
今この瞬間、心地よく歩けているのでOKでしょ、という気分になるのです。書くべきことがないと後々困るのは自分なので、少しは焦った方がいいような気もしますが…。
そんなことを思いながらぼんやり歩いていたら、常光寺に近くの護岸に埋め込まれるようにして「阿彌陀圦」という碑がありました。阿彌陀圦は「あみだいり」と読み、「阿彌陀」は常光寺、「圦」は水の流れを調整する樋(とい)のことだとか。かつて北十間川に堀が流れ込んでいて、昭和40年ごろまで「圦」が使用されていたらしいです。

阿彌陀圦の碑の少し先に、東武亀戸線の北十間川橋梁がありました。その橋を抜け、さらに丸八通りの下にかかっている橋を渡ります。そこから北十間川沿いを進んでいくと、間もなく旧中川が見えてきました。そんなに長い距離を歩いたわけではありませんでしたが、北十間川沿いを歩き切ったという達成感がありました。
ちなみに、ここから旧中川をたどっていくと荒川に合流します。そして、荒川は東京湾に注いでいます。ということは、吾嬬神社の縁起もあながち、いや…(キリがないのでやめます)。

しばし、旧中川をぼんやり眺めた後、すぐ近くにある亀戸中央公園に歩を進めました。園内に入ると、まるで森のように背の高い木々が生い茂っていました。良い公園!

園路を歩いていると、イーゼルに載せられた素敵な絵に目が留まりました。「森の絵本」という展示イベントのようです。
森の絵本
2021年から、亀戸中央公園で行っている展示イベント「森の絵本」。園内10数カ所に設置している絵本を探しながら順番に読んでいくと、1つの物語になるとか。年に数回、作品の入れ替えも行っているそうです。
「東京GREEN WAY」という散歩推奨連載を行っている身として、絵本の散策イベントの存在にとても感動しました。再び、というか、何度も足を運びたくなります。実際はお子さん連れが対象だと思うので、バックパックを背負ったおじさんがウロチョロしていたら怪しまれるかもしれませんが…。

亀戸中央公園のすぐ近くには、東武亀戸線の亀戸水神駅があります。江戸時代に開削された水路沿いを歩いてきて、水神という名の駅にたどり着く。何だか初めから狙っていたかのようですが、あくまでもたまたまです。でも、偶然とはいえ、ちょうどいい感じなので、今回はここでフィニッシュとします。

水路沿いは心地いいし、歴史的な学びどころもあるしで、墨田区〜江東区を流れる北十間川は歩く面白さを満喫できました。やはり、下町エリアの水辺は散策しがいがありますね。途中で分岐した水路や旧中川〜荒川の行く末も気になりますが、それは「宿題」ということで、今後の楽しみにとっておきます。
■今回歩いたルートのデータ
|距離約3.4km
|累積標高差約10m
今回のコースを歩いた様子は動画でもご覧いただけます。
●北十間川GREEN WAY





