今回は、東京都小金井市にある石神井川の源流を目指す「石神井川源流GREEN WAY」です。
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42th ルート:石神井川源流GREEN WAY
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城と砦への思いを募らせる石神井川中流域トレイル【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY FILE.41】 | アウトドア・外遊び 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
隅田川との合流点である終点から源流に向け、北区、板橋区、練馬区と歩を進めてきた石神井川遡上トレイル。気づけば前回の最後には練馬区の西端までたどり着いていました。
ということで今回は、前回歩き終えた武蔵関駅をターミナス(=トレイルの起点や終点となるアクセスポイント)とし、いよいよ東京23区外、都下を行く「石神井川源流GREEN WAY」です。
武蔵関駅を出発し、石神井川沿いを進んでいくと10分足らずで大きな公園がありました。
武蔵関公園
大正時代に「若宮遊園」として開園し、長く地域の方々に親しまれている武蔵関公園。園内の中央には、富士見池というヒョウタン型の大きな池があります。

池があるということは石神井川と関係があるのではないかと思ってウロウロしていると、公園に隣接している都営住宅のそばに「溜淵遺跡」という案内板がありました。この一帯では戦後の宅地造成の際に行われた発掘調査で、多くの遺跡が出土。その後、都営住宅の高層化するための建て替えの際にも、住居穴や石器などが発見されたそうです。

あらためて武蔵関公園に戻って石神井川とのつながりを探してキョロキョロしていると、池と川の境に水門がありました。やはり富士見池は石神井川の水源の一つかと納得しかけたのですが、調べてみたら実情は違いました。
確かに、かつては富士見池の湧水が石神井川に注いでいました。しかし、時代とともに周辺の都市化が進むと湧水が枯渇し、地下水を揚水したり、逆に石神井川の水を引き入れたりすることで池を維持するようになったそうです。また、富士見池は石神井川が増水した際の調節池の役割も担っているとか。池って、ずっとそこにあるものと思っていましたが、維持するのも大変なんですね…。


武蔵関公園を出て再び石神井川沿いを進みます。すると、すぐに早稲田大学の野球グラウンドがありました。ここはもう、住所でいうと西東京市です。この「GREEN WAY」の連載で東京23区外に進むのは、おそらく初めて。何だかずいぶん遠くまで来てしまったようで、妙にしみじみしました。実際には、新宿駅まで電車で40〜50分、吉祥寺駅まで歩いて1時間足らずの場所にいるのですが…。
このまま石神井川を遡上していって、23区どころか東京都を飛び出すことになったら、それはそれで面白いかも…などと愚にもつかないことを考えていたら、下野谷遺跡公園がありました。
下野谷遺跡公園
国史跡に指定され、南関東で屈指の規模を誇る縄文集落の遺跡を保存するために整備された下野谷遺跡公園。復元された竪穴住居は、毎週日曜に公開されています。

公園の展示の中に、往時の下野谷遺跡の様子が分かる再現図がありました。それを見ると、蛇行している石神井川に沿って集落が形成されています。石神井川沿いが縄文時代から住宅地(集落)として親しまれていることに驚きましたが、縄文人も川沿いを散歩したりしたのでしょうか?

ところで、僕が下野谷遺跡公園を訪れた際、竪穴住居に「燻蒸中」と案内が出ていました。燻製でもつくっているのかと思いましたが、屋根のメンテナンスのためにいぶしているようでした…。

縄文遺跡を保存する公園にいても特に歴史的知見は得ず、妄想がふくらむばかりなので、先へ進みます。再び石神井川沿いを歩いていくと、立派な鳥居が見えてきました。東伏見稲荷神社です。
東伏見稲荷神社
関東の稲荷信仰の人たちの要望を受け、京都の伏見稲荷大社の分霊を勧請して1929年に創建された東伏見稲荷神社。その創建の際に、最寄り駅である西武新宿線の上保谷駅が東伏見駅に改称されたとか。現在は周辺の地名も東伏見となっています。

ちなみに、東伏見稲荷神社の隣には、長いローラー滑り台が人気の東伏見公園があります。滑り台を滑りたいとは思わないものの、写真を撮りたかったのですが、お子さんたちでにぎわいまくっていたので近寄ることを断念しました。謎のおじさん(僕)がカメラ片手に滑り台の周囲をうろついていたら怪しすぎるので…。
実はこの日の取材には、僕がアウトドア関係の仕事でお世話になっている地元在住のIさんが同行していました。東伏見稲荷神社に参拝したあと、Iさんとも相談して近くの「一八亭」というラーメン屋で昼食。イタリア出身の店主によるラーメンが思いの外おいしかったのですが、詳細は割愛して先を急ぎます。

武蔵関公園から上流の石神井川は水量がかなり少なくなっていましたが、東伏見稲荷神社までくると、ほぼ枯渇していました。時期的なものなのか枯れているのが常態なのかは不明ですが…。しかも、川沿いの道がほぼなくなりました。地図を見ながら、どうにか上流を目指します。
西東京市向台運動場(向台調節池)まで来ると、石神井の川幅も狭くなっています。また、このあたりの石神井川周辺には、複数の貯水公園がありました。ほぼ水の流れがない現在のさみしい石神井川の様子からは想像しにくいですが、かつては水害なども多かったのでしょうか。
西東京市向台運動場のそばには、角打ちも楽しめる「ふじや酒店」と、「庚申湯」という銭湯があります。ともに50年以上の歴史があり、散策の立ち寄り先として最高なのですが、今回はとにかく先を急ぎます。申し訳ありません。

先ほどから昼食や気になるお店の説明を省略して先を急いでいるのには、理由があります。とうとう、ようやく、ついに、小金井公園に到着するのです。
老舗の酒店や銭湯から先は住宅地で、石神井川の川幅も狭くなります。どうにか上流を目指して進んでいくと、保谷狭山自然公園自転車道に着きました。自転車道の「馬の背」と呼ばれる土手が伸びていて、しばらく歩くと上向台公園があり、その向こうに小金井公園がありました。

小金井公園
小金井市を中心に小平市・西東京市・武蔵野市にまたがる小金井公園。日比谷公園の5倍、上野恩賜公園の1.5倍という約80ヘクタールもの広大な敷地を有しています。四季折々の植物が楽しめますが、特にサクラは約50種1,400本が植えられています。

…といった小金井公園の概要をおさえつつ、石神井川をたどります。地図を見ると小金井公園の北端を川が流れているのですが、実際には川沿いに園路はありません。それでも川に近いであろう園路を進んでいくと、「ふたつ池」がありました。
先述した地元在住のIさんが「この池が源流では」とおっしゃるので早合点しかけましたが、それなら案内板や碑があるはず。そう思って探すと、池の少し先にやや文字がかすれているものの「一級河川 石神井川 上流端」という案内板がありました。

やっと石神井川の源流にたどり着いたかと喜びかけたのですが、よく見ると「上流端」の看板の先にも川をおおった暗渠らしき道が伸びています。そして、その道の先には看板らしきものが見えます。あそここそが、本当の源流か…?

小金井公園の北端の暗渠らしき道を進んでいきます。そこで待ち受けていたものは…などともったいぶらずに結論を書くと、立入禁止を告げる嘉悦学園の看板でした。

おそらく僕がたどり着いた場所からさらに数10メートルも行けば石神井川の源流があるのでしょう。でも、私有地にあるので、当然ながら源流を目にすることはできません。
隅田川に注ぐ終点から石神井川を20キロメートル以上も遡上してきて、見ることができたのは立入禁止の看板。そう考えると、徒労や骨折り損といった言葉が頭を過ぎります。でも、僕自身は源流のすぐ近くまで歩いてきて、確かな達成感や満足感がありました。
トレイルは、競技やゲームとは異なります。コースや起点も設定されていますが、トレイルは必ず踏破しなければいけないわけではありません。ある区間だけ、あるいは1日だけしか歩けなかったとしても、その人が楽しめたらOKなのです。距離の長短は関係ないし、少しぐらい道のりを外れても構いません(※個人の見解です)。
踏破という考えに固執するのであれば、源流にたどり着けない石神井川遡上トレイルは失敗なのかもしれません。でも、僕はここまでの道のりを心から満喫できました。だから、立入禁止の看板を前に残念な気持ちもありつつ、それでも充実した思いを抱けたのです。
自己満足といわれたらそれまでですが、じゅうぶん面白いトレイルでありGREENWAYになった——。そう思い、帰路につくため、JR武蔵小金井駅に向こうことにしました。すると、小金井公園を出てすぐの場所を、玉川上水が流れていました。
玉川上水ってよく見聞きするけど、どこからどこまで流れているんだっけ。いや、今は石神井川の遡上トレイルを歩き終えたばかり。次の川沿いトレイルへの期待も胸に秘めつつ、帰宅します。

■今回歩いたルートのデータ
|距離約7.7km
|累積標高差約30m
今回のコースを歩いた様子は動画でもご覧いただけます。
●石神井川中流域GREEN WAY




