今回は、東京都練馬区の石神井川沿いをめぐる「石神井中流域GREEN WAY」です。
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41th ルート:石神井中流域GREEN WAY
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隅田川との合流点である終点から源流に向けて歩いている石神井川遡上トレイル。今回は、前回歩き終えた西武豊島線の豊島園駅をターミナス(=トレイルの起点や終点となるアクセスポイント)にスタートする「石神井川中流GREEN WAY」です。
豊島園(遊園地の名称はひらがな表記の「としまえん」)、2020年に閉園した際のニュースは知っていましたし、それ以前から名前は見聞きしていましたが、訪れたことはありません。テーマパークなどに全く興味がわかないのです。
今回初めて訪れるにあたり、事前に調べたところ、豊島園が興味深い歴史的変遷をたどっていることを知りました。
1.練馬城(矢野山城址)
室町時代、一帯で勢力を誇った豊島氏が練馬城を築城。その後、太田道灌との戦いに敗れたて廃城となり、周辺は雑木林や畑となったそうです。
2.静養地
明治時代に財界人の藤田好三郎氏が静養地とするために周辺の土地を入手。家屋は建てずに自然の景観に親しんでいたが、その後、景勝地として一般に公開することを決断する。
3.練馬城址 豊島園
1926年、造園家の設計した庭園として部分開園。当初の名称は「練馬城址 豊島園」でした。全面開園は翌1927年で、ボート池、テニスコートなどを開設。
4.プール
1929年、競技用と婦人用の2つのプールが開業。
5.練馬監視哨(戦時中の敵機監視施設)
太平洋戦争時には一時閉園(再開は戦後の1946年)。また、空爆に備えるため、敷地内に敵機監視施設が設置されたそうです。
6.ホテル
1952年、豊島園ホテルがオープン。
7.図書館
1953年、閉館した大橋図書館(新宿区)の蔵書を引き継ぐ形で園内に大橋図書館事務所を開設。
8.スキー場
1958年、世界初のインドアスキー場が開業。同年にはロープウェーも開設。なお、インドアスキー場は1960年にローラースケート場に改装。
9.改称
1980年、名称を「豊島園」から「としまえん」に変更。
10.公園・テーマパーク
2023年、閉園後の跡地に東京都立練馬城址公園が一部開園。同年には「ハリー・ポッター」の屋内型テーマパークもオープン。
上記は、とても大まかな豊島園の歴史です。省略しましたが、戦後、特に高度成長期には遊園地としてアトラクションをいろいろと充実させています。
それにしても、遊園地とは別にホテルや図書館なども開設していたことを、今回初めて知りました。跡地は現在も工事中なので、これからまた新たな何かが誕生するのかもしれません。

豊島園の歴史で個人的に何より驚いたのは、城跡だったということです。
僕は以前、BE-PAL.netで東京都内の低山を紹介する「TOKYO山頂ガイド」という連載をしていました。その連載では、丘陵地に築かれていた城の跡地もいくつか取り上げています。都内の城跡は公園として整備されているところが多いのですが、中には宅地造成されているところもあります。
…などと、それらしいことを語れるぐらいには都内の城跡を調べたり訪ねたりしたつもりだったのですが、有名な遊園地の場所が城跡だったことを知らなかったなんて。前回も板橋城跡(らしき場所)に初めて足を運びましたが、きちんと腰を据えて石神井川沿いの城跡めぐりをした方がいいのかもしれません。
いや、今はGREEN WAYの途上なので、足を前に進めなければ。ということで、ようやく歩き始めます。
豊島園駅から「ハリー・ポッター」の施設に向かって、まっすぐな並木道が伸びていました。駅から降りた人の大半が、その気持ちの良い道を進んでいきます。僕は途中で左(西)に折れて、石神井川沿いを進みます。

「ハリー・ポッター」も良いけど、石神井川の遡上トレイルも楽しいですよ——と大声で伝えたかったけど、そんなことをすると面倒な事態になるので、黙々と歩を進めます。
しばらくは住宅街が続き、特筆すべきことが見当たりません。やっぱり「ハリー・ポッター」に行くべきだったのか、でも、それだとGREEN WAYでも何でもないし…などと心の中でブツブツいいながら、気がつけば1時間近く石神井川沿いを歩いていました。
ふと顔を上げると、見覚えのある景色が広がっていました。先述した都内の低山を紹介する連載で、石神井城址を目当てに訪れたことがある石神井公園です。
石神井公園には、その名も石神井池があります。石神井川の源流なのかと思ったのですが、結論からいうと違いました。石神井池は、1930年代に石神井川の支流をせき止めてつくられた人工池だそうです。もっとも、地図を見れば一目瞭然で、石神井川はまだまだ西に向かって伸びています。なので、僕も西に向かって川沿いを進みます。

石神井川沿いに戻る前に少しだけ寄り道しました。石神井公園の北側に、山下農園という農産物直売所があったのです。あとで調べたら、山下農園ではブルーベリーやサツマイモなどの収穫体験も行っているようでした。

今度こそ石神井川沿いに戻ります。石神井公園から川に向かってきたら、立派な石碑がありました。
甘藍の碑
甘藍と書いて「かんらん」と読み、キャベツの和名であることが説明文で分かりました。ちゃんと見たら、石碑の中央にキャベツのオブジェが鎮座しています。
それにしても、練馬といえばダイコン、ということは山形在住の僕でも知っています。でも、練馬産のキャベツは聞いたことがありません。そう思ったのですが、説明文によると練馬でのダイコン栽培は昭和20年代に発生した病気により衰退。ダイコンに取って代わって練馬区で広まったのが、キャベツだそうです。
現在、練馬は東京都内で有数のキャベツの生産地になっているとか。練馬ダイコンが過去のものであるなんて知りませんでした。

とれたて村石神井
甘藍の碑に隣接してJA東京あおば石神井支店がありました。ここには、その名も「とれたて村石神井」という直売所が併設されています。新鮮な練馬産の野菜や季節の生花などがリーズナブルに販売されているので、石神井川沿いのGREEN WAY散策のついでに立ち寄るのもオススメです。

甘藍の碑から石神井川沿いを進んでいくと、早稲田大学高等学院・中学部があります。その敷地の一角に、木々が鬱蒼と茂り、こんもりと盛り上がった場所がありました。ここは太田道灌が築いた「愛宕山砦」があった場所といわれています。
愛宕山砦
先ほど軽くふれましたが、現在の石神井公園に石神井城址があります。その石神井城がまだ現役だった時代、城を攻めるために太田道灌が構えたのが愛宕山砦です。残念ながら、現在は学校の敷地内にあるため立ち入りできません。
繰り返しますが、僕はBE-PAL.netの連載で都内の130以上の低山をめぐってきました。城址も含め、しっかり登頂を果たした山も少なくありません。できれば愛宕山砦も登攀したいので、年に1回でも一般開放していただきたいものです。…などと自分勝手な意見を書いてはみたものの、大半の人には校庭の一隅に砦の跡があっても気にもとめないのかもしれません。
早稲田大学高等学院から、さらに石神井川沿いを進んでいきます。そう思ったのですが、都営上石神井アパート(団地)のあたりにくると、地図上は道があるものの、川沿いを進めない場所が増えてきました。護岸工事らしきことを行っている場所もあります。

愛宕山砦には近寄れないし、石神井川のほとりも歩けないし、何だかな…。ややふて腐れた気持ちのまま歩を進めていると、西武新宿線の武蔵関駅が見えてきました。今回の「石神井川中流GREEN WAY」は、ここでフィニッシュとします。
豊島園(の跡地)から歩き始めた今回。道のりの大半が住宅地なので、あまり書くことがないかもと事前に危惧していました。でも、歴史的な観点では学ぶことや興味をかき立てられることが多く、個人的にはとても楽しいコースになりました。
また、以前にも城址を目当てに石神井公園に足を運んでいますが、川沿いトレイルで歩いた今回は、前回は目に止まらなかったものごとに気づくことができました。よくいわれることですが、気持ちや視点によっては自宅と最寄り駅との間でも新たな発見や驚きはあります。やはり、何ごとも前向きに面白がることは大事だなと再認識しました。
愛宕山砦のことでヘソを曲げている場合じゃありません。石神井川トレイルをもっと積極的に楽しんで歩こうと、気持ちを新たにするのでした。
■今回歩いたルートのデータ
|距離約10.4km
|累積標高差約8m
今回のコースを歩いた様子は動画でもご覧いただけます。
●石神井川中流域GREEN WAY






