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シランの英名はBletilla striata
ラン科の多年草。低山の湿った草地や林縁に生える。関東地方以西の本州から九州・沖縄、および朝鮮半島、中国に分布する。長さ20~30cmほどの長楕円形の葉が4~5枚互生し、葉の間から花茎を出し、5〜6月に紅紫色の花を開花させる。偽鱗茎は、止血、痛み止めの漢方薬に用いられる。
ラン科の多年草で、関東地方以西から沖縄まで分布する野生のランだ
シランはやや湿った岩の上や林に育つ野生のランなのだが、今では野生のものはほとんどないといわれている。春の花壇などでよく目にするけど、園芸種ではなく植栽植物なのだ。
シランの和名は「紫蘭」で、これは花の色に由来する。洋ランの本を見ていたら、タイリントキソウというランが、なんとなくシランに似ていた。
この連載では、イタドリとか、トリカブトとか、オオナルコユリなどのいろいろな根を描いてきたが、今回のシランの根は、まるでカタツムリみたいでとてもきれいだった。
この球根は「偽鱗茎」とよばれる。「偽」とは「いつわる」「うそ」「ニセ」という意味だ。シランのこの根は「ニセモノの鱗茎」ということらしい(ホンモノの鱗茎はタマネギやユリ根のように養分をたくわえた葉=鱗片葉が多数重なり球形になったもの)。
シランのタネはまるで粉のように細かいから、実生させるのはとても難しいが、カタツムリを……いやいや、偽鱗茎を埋めておくとよく増える。ただし直射日光に当たると葉焼けするから、半日陰に植えるといい。
春にのびる葉は20~30cmほどで、基部が鞘になって茎を抱く。
草丈は30~50cmほどで、中心から立ち上る花柄が上部に紫紅色の花を数個つける。とても上品な花で、春の花壇の人気者だが、ときどき実をつける株もあるから、小さな鉢を利用して、粉のようなタネの実生にも挑戦してみてほしい。難しいけど、もしかしたら小さな芽が出るかもしれない。
野生のシランはもうないのでは……といわれるが、春の山歩きのときなどに湿った場所を中心に探してみてください。「あった!」となれば、これはもう大手柄だ。

春の花壇を飾るシラン。

花の造りはやっぱりランだ。

粉のようなシランのタネ。

珍しく花の白いのがあった。
(BE-PAL 2026年6月号より)




