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ロゼットの英名はScopolia japonica Maxim.
ナス科の多年草。地下茎は横に這い、茎は高さ約60cmで直立。葉は長さ20cmほどの先が尖った楕円状卵形。春になると、葉の付け根(葉腋)から釣鐘形の小さな花を下に垂れて咲かせる。根茎、葉にアルカロイドのヒヨスチアミンを含むので、鎮痛薬として胃痛などに用いられる。有毒。
うっかり食べてしまうと、神経の伝達が阻害され錯乱して走り回る……という毒草だ。
ハシリドコロはナス科の多年草で、本州から九州まで広く分布する。湿気のある木陰や谷などに群生し、4~5月ごろに暗紫赤色の釣鐘状の花をつける。
釣り好きの友人マキやん(牧田良男さん)と一緒に、ゴールデンウィークの大騒ぎの終わるのを待って、新潟の湯沢の沢へよく釣りに行く。そんなある日のこと、沢へ入って間もなく、マキやんが、「この花はなんという花?」と、ハシリドコロの花を指さした。
「ああ、これはさ、ハシリドコロっていう毒草で、うっかり食べてしまうと、アトロピンやスコポラミンなどのアルカロイド(なんとややこしい名前!)を含んでいて、神経の伝達が阻害されて、わけもなく走り回る……っていわれているんだ」
もちろん有毒とわかっていて食べるバカ者はいないだろうが、若い芽がなんとなくフキノトウに似ているため、うっかり間違えてしまうことがある、というのだ。
「ハシリドコロ」の名は、肥大する地下の根茎がヤマノイモの仲間のオニドコロの根に似て横にのびることと、アルカロイド成分を含むために錯乱状態になって走り回ることから、この名がついたらしい。
春の新芽はどの草も若々しくて、なんとなくおいしそう……に見えるが、知らない草には手を出さないことだ。草を食って死んだ……なんてことになったら、笑い話にもならない。
そうそう、何度も新潟の沢に行くわりには、イワナなんてめったに釣れなくて、たいていは山菜採りになってしまう。
でも、うろうろと沢筋を歩きまわるおかげで、大量のコシアブラが手に入ったこともある。なんといってもこの季節の山の緑は、目にも心にもたとえようもなくやさしい。

花をつけたハシリドコロ。

花は下向きにつく。

根が横にのびるオニドコロ。

ハシリドコロの若芽。とてもフキノトウには見えないが。
イラスト・写真・文 おくやまひさし
おくやまひさし プロフィール
画家・写真家・ナチュラリスト。
1937年、秋田県横手市生まれ。自然や植物に親しむ幼少期を過ごす。写真技術を独学で学んだのち、日本各地で撮影や自然の観察を開始。以降、イラストレーター、写真家として図鑑や写真集、書籍を数多く出版。
(BE-PAL 2026年7月号より)




