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1933年のイタリア発、台所の定番

直火式エスプレッソメーカーは1933年頃、イタリアのアルフォンソ・ビアレッティが開発。下部の水が熱せられ、蒸気の圧力でコーヒー粉を通り、ノズルから押し出される。この仕組みは90年以上ほとんど変わっていません。イタリアの家庭のほとんどに普及した、台所の超定番アイテムです。
GSIというブランド

GSI Outdoorsは1985年、青いエナメルウェアの販売から始まり、今もファミリー経営を続けるアウトドアクッキングブランドです。このブランドが一貫してこだわってきたのは「フィールドで、ちゃんと美味しいものを食べる」こと。
山でも、森でも、バーナー1台があれば本物の一杯を出せる…。その信念がすべての製品に宿っています。僕が愛用しているこのミニエスプレッソメーカーも、その延長線上にある一台にだと思います。
1999年。バックパッカーズハウスで見た、「当たり前」の光景

世界一周の旅をしていた1999年のこと。イタリアのバックパッカーズハウスに泊まったとき、宿の共有スペースでこのエスプレッソメーカーを見かけました。ヨーロッパの旅人たちが、「当たり前」の顔で火にかけて、シュゴーっという音とともにエスプレッソを楽しんでいた。
それが、なんだかもの凄くかっこよかった。
彼らからしたら特別なことは何もしていない。ただいつものようにコーヒーを淹れているだけ。でも、あの道具と動作の組み合わせに、文化の匂いみたいなものがあって「これはいつか欲しいな」と思ったのはその瞬間です。
宿で使い方を教わりながら恐る恐る自分でエスプレッソを入れてみた瞬間から、その物欲は強くなりました。残念ながら僕はあの苦さは苦手なので、ミルクと砂糖を足して“ニセ”エスプレッソを何杯も楽しんだのを今でも鮮明に覚えています。
ノズルから直接、カップへ。シンプルで無骨な構造がかっこいい!

モカポットやマキネッタは、上部の容器状のパーツににコーヒーが溜まる構造です。GSIのミニエスプレッソメーカーは、圧力で押し出されたコーヒーがノズルから直接カップに注がれる仕組み。コーヒーが出てくる光景は見ていて気持ちいい。
基本は3つのパーツでできている。水を入れるタンク部分、コーヒー豆を入れる部分、そしてコーヒーが出てくるノズル部分。バラすともう少しパーツは増えるが、シンプルな構造が美しい。

ドリップのように「待つ」でも、パーコレーターのように「循環させる」でもない。圧力で一気に押し出す。シュゴーという音はその証。複雑な仕組みは何もなく、熱と圧力と重力だけで成立しているギア。エスプレッソを入れる意外に使い道がない、超単体型ギアというのもまたいい!
4cupという、ちょうどいい設計

このモデルは4cup仕様。エスプレッソのカップ想定はもともと小さいので、4cupといっても約100〜120ml程度の抽出量です。3〜4人いれば少しずつシェアできて、ひとりならちょっと大きめのカップに全部入れる。それがそのまま、濃いめのカフェラテ1人分にもなる。
中途半端に思えるこの量が、実は絶妙なんです。大きすぎず、少なすぎず。キャンプの朝に、ひとりでもグループでも、自然に使いきれる量。設計した人、わかってるなと思います。
朝焼けとともに、シュゴーという音がする

コーヒー豆をたっぷりと入れて火にかけ、しばらくすると、「シュゴー」というなんともいえない音、湯気とともにコーヒーがノズルから押し出されてくる。この聴覚と視覚、そして嗅覚も刺激される感じが好きです。朝焼けの空の下で聞くと、もっと幸せだ。


僕はブラックはあまり得意じゃない。正直に言うと、ちょっと恥ずかしいくらい苦手です。でも「カフェラテ」というサウンドなら、なんとなくOKにしている。牛乳と砂糖を足して、フィールドで飲む自家製カフェラテ。これで朝が幸せになります。
ドリップもいい。パーコレーターもいい。でも、エスプレッソメーカーもまたいい。それぞれに「待つ時間」の質が違う。この道具の待ち時間は、なんだか少し緊張感があって、それがいいんです。
イタリアの家庭の9割に普及した理由が、使い続けるうちにわかってきます。なくてもいい。もっと便利なコーヒーメーカーやエスプレッソメーカーは山ほどある。でも、このレトロなギアがあるとなんだかいい朝になる気がします。




