自分で薪を集めて、作って、火を熾す。単純な頭の私でも、腑に落ちる
ウリウリばあちゃんにとっての田舎暮らしとは――。原点は、囲炉裏と五右衛門風呂とカマドのついた古民家。囲炉裏や五右衛門風呂がある茅葺きの家で暮らす。そんな“本物の日常”は、火とともにありました。

私は火が大好きです。時間があるならずうっと火のそばにいたい。好きだと言っても、ぼうっと炎を眺めてるわけじゃないですよ。そういう優雅な生活もやりたいけど。

例えば、竈(かまど)でご飯を炊く、薪ストーブで暖をとる、そのストーブでパンを焼いたり、芋を焼いたり。
ご飯もパンも芋も、ガスや電気で調理すれば…と思うかも知れません。でも、違うんです。
私は厄介な人間で、頭の中で理解できないものは使えません。電子レンジやIHは理解できないので、却下します。
自分で薪を集めて、作って、火を熾す。
単純な頭の私でも、腑に落ちる。
しかも薪は、私とチェーンソーに燃料を注ぐだけで作れる。経済的だし、運動にもなる。木材に触れるという癒し効果もあると思う。
成果物は、暖も取れるし調理も出来る。私たちの命の源になる。
人類が火を手にしてから炎の揺らぎは変わっていない。見ているだけでも癒される。薪に火をつければ燃えるという、単純さでしょうか。
これだけ発達した世の中でも、昔々の人が見ていたのと同じ炎を私たちも見ることができる。熾すことができる。
薪ストーブを使い、竈でご飯を炊く
そんな前置きは置いといて、とにかく、火が好きな私です。
しかし、2026年を日本で生きる71歳女子らしく、炊飯器も電気オーブンも使うし、ガスボイラーで風呂も沸かす。私の頭に腑に落ちるレベルで、今の便利さも享受させていただきます。
でも、我が家には薪ストーブも竈もある。
冬は毎日薪ストーブを使い、年中、竈でご飯を炊く。こんなに炎が好きな私ですが、この家を建てるときは薪ストーブは設置しないつもりだった。
五右衛門風呂を沸かすのは本当に大変だった

森の家の前に住んでいた古い家で、毎日、五右衛門風呂を沸かすのは、本当に大変だった。
そこは、山あいの集落でした。ずっと歩いていけば山はあるけど、薪はありません。風呂の薪は、近くの製材所から半端な木っ端を購入していた。
風呂の焚き口には蓋がなかったので、長い木をただ長いまま焚き口に突っ込んで、燃えて短くなったら押し込んでいった。
熱効率が悪くて、沸くのに2、3時間かかった。竈もあったけど、風呂を沸かすだけで力尽きている感じだった。
木工所から購入した木材は、割と薄めでしたがかなり長かった。
風呂の焚き口は地面に近いので、そのまま伸ばして燃せるけど、竈は50センチくらい地面より、高い位置に焚き口があるので、そのままは燃せません。
当時はインターネットにもつながっていなかった。本で情報は得られたのでしょうが、チェーンソーなどを使用するということは思いつかなかった。
木を切るとすれば、手持ちの鋸(のこぎり)くらいだった。
囲炉裏もあったけど、台所はとくに隙間風が多くて、寒くて、暗くて、汚くて。ひとりではほとんど使わなかった。とにかく、風呂を沸かすのは大変だった。
薪ストーブがあるおかげで家全体が暖かい
薪の調達も大変だろうから、この森の家には薪ストーブをつけないつもりだった。
ところが、家を建て始めて森へ通うようになったら、周りには木がゴロゴロしているということに気づいてしまった。
こんなに薪がたくさんあるなら、薪ストーブをつけなければ損だ。
と、安直に考えるようになって、薪ストーブをつけると大工に宣言して設置してもらいました。
最初から決めていればもう少し効率の良い場所に設置できたでしょうが、ストーブは家の隅に追いやられてしまいました。
それでも途中から決断してよかった。薪ストーブがあるおかげで、家全体が暖かい。
ただ真ん中にないので少し熱効率は悪い。石油ストーブも併用しなくては冬は越せない。
それでも五右衛門風呂みたいにずっとついていなくても良いし、チェーンソーや楔(くさび)を購入したので、薪作りも楽になった。

道具は大事だ。
寒い中、長い板をそのまま燃していた五右衛門風呂と違って、薪ストーブはチェーンソーや楔で作った薪を放り込むだけで、炎を楽しむ余裕が持てる。
あの当時は毎日何時間もかけて沸かす五右衛門風呂に、うんざりしていたような。それでも毎日炎を見ることの安らぎは持っていた。
竈で炊いたご飯はパリッとした感触で、すごく美味しい
森の家を建てた後、クッキングストーブの存在を知りました。
5年前、サンルームを作りました。そこへ、あこがれのクッキングストーブをつけたい、と思うようになった。しかし予算はなかった。
どうしても諦めきれず、設置場所をなんとか確保して、低予算で竈とオーブンロケットストーブを無理やり設置した。
壁側の鉄平石(てっぺいせき)は山にもらいにいき、自分で貼った。


そのせいもあるのかも、可愛らしい竈が大好きです。
これはご飯を炊くのによく使用します。竈で炊いたご飯はパリッとした感触で、すごく美味しい。この美味しさを言葉で表すのは難しい。でも、皆様にも体験して欲しい。
インスタントレンガ竈を作って、竈ご飯を炊きましょう
まず、下地に耐熱のものを用意してください。なければレンガを敷いても良いです。私は耐熱レンガを使いました。
用意するもの
- ︎下地にレンガもしくは断熱材など
- ︎他に竈用レンガ
- ︎約37cm x 29cmのバーベキュ-用金網など
- ホームカマド用部品天板(大きさはご自分のかまどや鍋に合わせて)※使用したのは︎三和金属製
作り方の順番

- 1:下地に火を遮断するものを設置します。
- 2:レンガを横に立ててコの字に一段置きます。
- 3:金網を置いてこの上で薪を燃やします。
- 4:2段目も横にして立てて積みます。

- 5:のせる物の安定を保つために3段目は、横にして立てないで置きます。
- 6:上に炎が漏れないようにカマド用天板を置きます。

レンガは大きさがそれぞれなので、個数などは調整してください。天板はネットやホームセンターで売っています。
では、ご飯を炊きましょう
ご飯炊きは燃料をそれほど使わないので、その辺で拾ってきた薪でも賄えます。天気が良かったので枯れた木などを拾ったり切ったりしました。

白樺の皮があったので、火付けに使用しました。白樺の皮は油分が多いので、焚き付けによく燃えます。中身はつまっていないのでじっくり燃す薪には向かないかも。

今回は、私の大好きな松葉を入れて「松葉ご飯」にします。松葉は中国4000年の歴史で、不老長寿の仙人の食べ物と言われているらしい。
まわりに雑草のごとくたくさん松があるので、葉っぱを引きちぎっては、黒ニンニクや納豆などに加えて、発酵の足しに愛用させてもらっています。
科学的根拠はともかく、気分は不老長寿の仙人です。
今回は、ご飯でいただきましょう。
まず火力を上げて吹きこぼれたら薪を出して、火力を調整して15分弱火および中火で炊きます。堅過ぎず柔らか過ぎず。美味しいおこげを作るのは、この15分の火加減で決まります。

15分経ったら新聞紙などで一瞬火力を上げて、まわりの水分をいっきに飛ばしてカリッと美味しいご飯に仕上げます。
蓋を取ると松葉の爽やかな香りがわずかに漂い、湯気とともにまるで仙人になった気分です。しかも、釜のまわりにはおこげが上手いことできました。美味しい!

そのままでも良いですが、たまたま冷凍庫で目があったタラコを解凍してしまったので、タラコおむすびでいただきました。
私は羽釜を使用しましたが、鍋や中華鍋など手持ちのものを使用してください。ただ、底に煤(スス)がすごくつくので注意してください。それから、火の取り扱いには十分注意し、周囲に可燃物がない場所で行なってください。

火は、少し不便で、少し汚れて、それでもやめられない。私の心の故郷です。
※文、写真/ウリウリばあちゃん





