見よう見まねで米を作って13年、1枚の田んぼから九枚五反にまで成長 - 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2025.08.09

    見よう見まねで米を作って13年、1枚の田んぼから九枚五反にまで成長

    見よう見まねで米を作って13年、1枚の田んぼから九枚五反にまで成長
    米作りをね、見よう見まねで始めたのが確か2012年のことだったと思います。

    あれから早いもので13年の月日が流れていきました。その一歩を踏み出したのが、つい昨日のことのように思えてならない今日この頃でありますが、積み重ねるってのはほんと素晴らしい恵がもたらされるものだと、改めて周りの皆さんに感謝しています。と言いますのも、一反にも満たない一枚の田んぼから始めたその歩みだったのですが、気付けば今や九枚の田んぼ、およそ五反を僕らが管理するようになったからです。

    ちなみに一反とはざっくり300坪。郊外を走ってると見かける、あのまあまあ広い真四角の田んぼ、あのサイズ感です。

    今でこそ上等なトラクターを使用していますが、かつては古い道具ばかりでトラブル続きでした。

    波瀾万丈、話題の尽きない米づくり

    振り返ってみるとほんと、最初の頃は右も左も分からないことばっかりで、トラブル続きでした。

    初期の頃、譲り受けた二駆のトラクターが、大雨の田んぼの中の深みにハマって動かなくなったり。ある年なんかは、熊本(田んぼ所在地)ではあまり栽培されていない品種に手を出したがために、秋の収穫を前にしてほとんどの稲がバタバタと倒れてしまったり。

    自分らよりも上流に位置する農家の方からなかなか水が落とされないので、田んぼがカラッカラに干上がってしまうこともしばしばでした。

    田んぼ
    13年前に一枚の田んぼから始まって、今では九枚五反にまで成長しました。

    曲がりなりにも無農薬でやっていますのでね、草刈りを怠るとすぐに虫に食われてしまいますしね。最近では中古で購入した田植え機が、あと少しで作業が終わるってとこで故障したりと、ほんともう、「田んぼトラブル事典」とか「田んぼの歩き方」が編纂できるくらい、ハプニングについては枚挙にいとまがありません。

    日照りが続き、誰よりも雨を待ちわびる今年

    とはいえ諸々の作業に慣れてきた数年前からは、苗作りもスタートしました。それまで購入によって賄っていた苗でしたが、自分たちで育てるようになって、田んぼへの愛着はより一層増したように思います。

    種まきから始まって、苗床を作り、腰が砕ける想いをしながら手運びで100枚以上のパレットを田んぼの一画に並べます。均一に育てるのはなかなか難しく、毎年試行錯誤を繰り返しているところです。

    苗床
    数年前から苗床も作っています

    「お米ってこんなふうに育っていくんだ〜素敵っ!」なんて純朴な心丸出しで感心している暇などないほどね、面白くて切なくて、ちょっとほろ苦い出来事が次々に起こるの、うんマジで。

    だから13年の時を経たからこそね、実感するのです。気候や天候、草木や水、そして生き物たち…田んぼを取り巻く大自然を相手に「取っ組み合いの日々」、それが米づくりなのだと。

    ただ今年はいつもと様子が違います。それは他ならぬこの日照りです。熊本辺りだと、梅雨は6月上旬から7月の中旬まで、約1ヶ月半ほど続きます。特に7月の上旬なんかは、バケツをひっくり返したような雨が降る日が数日間必ずあるものです。

    本当にバケツをひっくり返してそれを表現するとなれば、世界中のバケツを集めてひっくり返しても足りないのは確実なくらい、すこぶるよく降ります。

    苗
    青々と成長した苗は、見ているだけで元気をもらえます。

    田んぼを始めるまではね、ジメジメとした長い梅雨なんてどちらかというと苦手でしたが、田んぼにとって雨ほど頼りになる「優れた助っ人」はいないのです。

    なぜならば田植え前の「シロカキ」というセットアップの作業などにおいては、田んぼの中に水が溢れるほど豊富に流入しないことには話になりません。水路からの水だけでは心許ない時などは、わざわざ雨の日を選んでトラクターを出してそれを行なったりもします。

    ところが今年の梅雨は、あろうことかこのシロカキに入る前に明けてしまったのです。

    いやこれには参りましたよ、ほんとに。

    田んぼ
    シロカキの作業に没頭する筆者。

    さてそろそろシロカキに入ろうかなと思い天気予報を開いてみるとね、ずっと先まで晴天マークがずらりと刻まれているではありませんか。なんだか拍子抜けして転調までした感じです、音楽的に言えば。

    AメロからBメロを待たずしていきなりサビに行っちゃうみたいな。っていうかイントロからいきなりサビで終わりみたいなね。まるでサビだけ聴かされて歌の全体の印象やストーリーが掴めない感じでした。いいえ、むしろイントロからそのままアウトロに流れてフェイドアウトした感じに近いかもしれません。まるっきり歌がなっかったかのようなね、しつこいか…。

    “田んぼ先生”から多くを学ぶ日々

    とにかく今年の梅雨のこのトリッキーな蒸発は、未だかつて経験したことがありません。田んぼと向き合っているだけに、僕はもしかしたら他の人よりも雨に関して敏感になっているのでしょう。ですから8月になった今もってしても、これほど雨を待ち侘びる日々は経験ありません。

    ところで僕らの田んぼはとても有難いことに、近くの神社の境内からこんこんと湧き出る水が流れ込むことで潤っています。ただその水量にも限りがありますので、天から降り注ぐ雨によって田んぼの水はバランスが保たれてきました。

    雨が少ないからこそ、あらためて水の大切さが身に染みています。しかしね、「我田引水」とばかり自己中心に考えるのではなく、こんな時こそ分かち合う心を持ちたいものです。田んぼについてまだ何もわからなかった初めの頃は、何がなんでも自分の田んぼに水を引くということに熱心でした。今考えればそれはとても恥ずかしいことです。

    田植え
    「一般社団法人 Change the world 」主催のRice Field Fes.田植えの様子。

    次第に幾つかの田んぼを任されるようになってきたから、少しだけの余裕と責任感が増してきたからかもしれません。最近では、まずは他の人の田んぼに水が行き渡ってそれから自分たちのところだな、と自分に言い聞かせているところです。

    この精神は、一般社会でも大事な教訓となり得るかもしれませんね。このように田んぼと向き合うことで、様々なことを学ばせてもらっています。

    ところで僕らは自分たちのお米づくりと同時並行で、被災地支援のお米づくりも行っています。過去のエッセイでもお話したことのある

    「一般社団法人 Change The World」がそれです。

    自分を含む4人の有志によって立ち上げたのですが、僕はその代表理事を務めています。

    福島県南相馬市の「よつば保育園」の子どもたち、そして能登半島地震で被災した輪島の子どもたちに送るためのお米作りをするのが主たる目的です。

    集合写真
    「一般社団法人 Change the world 」の主要メンバーはミュージシャン、デザイナー、消防士、法人経営者など多彩な顔ぶれです。

    法人化したことで企業の協賛もたくさんいただいています。KEEN、Go Hemp、遠藤製餡、Hemp Foods Japan、ケンチャンソースのタイシン、コールマンなど、心強いサポーターばかり。

    心を込めて想いを伝え、そして行動に移して続けていれば、ちゃんと形になるんだなって実感しています。

    つい先日、僕ら一般社団法人 Change The World主催で、「Rice Field Fes.」と銘打って田植えを行いました。小さなお子さんからご年配の方までたくさんの方に集まっていただいて、とても盛り上がりました

    。被災地支援のお米づくりという呼びかけに、毎回多くの方が共感してくださってね、このイベントもスタートして6年目となりました。秋には「Rice Field Fes.」の稲刈りバージョンも行う予定です。

    田んぼライブ
    田植えのあとはLiveやチャリティーオークションで盛り上がります。

    連綿と受け継がれていく田んぼ物語

    お米に注目が集まっている今の時代。しかし僕らの世代で実際にお米づくりにまで手を伸ばせる人って、そう多くはありません。

    僕には有難いことにその環境がありますし、今日のことを知ってかしらずか、山あり谷ありだったとはいえ無我夢中で積み重ねてきた経験がありますのでね、何がなんでも続けていきたいと思っています。

    自分や自分の家族、あるいは被災地の子どもたちのためだけではなく、これから先未来の日本を生きていく人たちのためにも、この田んぼを残していけたらとも思うようになりました、最近特にね。

    看板
    これからも被災地支援の米づくりを続けます。

    日本人がお米を常食するようになって3000年くらいが経つと聞きます。それだけ長く続いているってことは、先人たちはきっと僕らのことにまで思いを馳せて田んぼを造成し、守ってきてくれたのでしょうね。

    何代も後の世の人々のことへの愛がなければ、国中の至る所にこれほどまでに立派に田んぼが残されることはなかったでしょう。

    モノやお金も大事だけど、それ自体では腹を満たすことはできませんものね。

    田んぼの前に立っているとね、遠い昔の日本人たちと、どこかつながっているような、そんな気がしてならないんです。

    ミュージシャンの僕だけど、田んぼというステージでの物語はまだまだ続きそうです。

    今月のアウトドアにおすすめの一曲
    ボビー・コールドウェル「Open your eyes」
    歌詞に出てくる「ライト」が「ライス」に聴こえてくるのは僕だけでしょうか。

    一般社団法人 Change The World インスタグラム
    https://www.instagram.com/gia_change.the.world?igsh=MTcyNXViYmV5ZDU5eQ%3D%3D&utm_source=qr

    東田トモヒロNEWS

    2025 “なつ旅” スケジュール
    今年の夏も北海道を旅します。ご都合のつく方はぜひ遊びにいらしてください。

    8月9日(土)興部CLC
    インフォメーションcoming soon…
    チケット問合せ: Instagram: @city_lights_coop_okp

    8月10日(日)Trial手稲山 (手稲)
    open: 11:00
    Live: 14:00
    エントリー:前売 ¥2500
    当日 ¥3000※高校生以下無料
    GARAKUによるスープカレー販売、drink販売あり
    チケット問合せ:Instagram: @trial_teineyaama_groove

    8月15日(金)居酒屋りしり (東川町)
    open:17:00
    Live:18:00
    エントリー:前売¥2500
          当日¥3000※高校生以下無料
    drink&軽食販売あり
    チケット問合せ:Instagram: @spray166 @shinya_nakagawa

    8月16日(土)TACとかちアドベンチャークラブ (十勝)
    イベントインフォメーション
    https://higashidatomohiro-tokachi.peatix.com/view

    8月17日(日)petetok (ペテトク) 弟子屈sawarna sup
    open:10:00
    Live:14:00
    エントリー:前売¥2500
          当日¥3000※高校生以下無料
    チケット問合せ:Instagram: @petetok_hokkaido

    東田 トモヒロさん

    シンガーソングライター

    1972年生まれ熊本市在住。ニューヨークでのレコーディングを経て2003年にメジャーデビュー。旅とサーフィン、スノーボーディングをこよなく愛し、そのオーガニックなサウンドを通して「LOVE&FREEDOM」を発信し続けるシンガーソングライター。

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