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【焼く】基本の塩焼きや応用レシピも
魚料理の基本といえば「焼き」ではないだろうか。「魚の伝道師」と呼ばれる上田勝彦さんやアウトドアライターの志田こうたろうさんにおすすめの焼き魚レシピをおしえてもらったほか、エッセイストの国井律子さんには炙って作る映えレシピを紹介いただいた。
煙で燻すスズキの板焼き

幼少期から魚好き。漁師から水産官僚へ。退職後、魚食を盛り上げる活動に勤しむ。魚の伝道師と呼ばれ、愛称はウエカツ。好きな魚はサバ。魚のプロ
焼き網不要。板ごと焚き火で焼くウエカツ流。煙に燻された魚の野趣あふれる香りは衝撃的。キャンプでしか味わえない究極の塩焼きだ!

材料
- スズキ…骨付きの半身
- 塩…適量
用意するもの
4~5cm角の角材(薬剤を使っていない無垢材)…2~3本

作り方
1.スズキの皮面に、中骨に到達するまで3cm間隔で切り込みを入れる。
2.水で濡らした手のひらに塩をなじませ、両面をまんべんなくさわる。切り口の中も行ない、2~3分置く。
3.焼く直前、爪先で、はじくように塩をふる。
4.焚き火のおき火に、数mmあけて角材を2~3本並べ、皮面を下にスズキをのせる。
5.ときどき上下を返しながら焼く。切り目から骨が見えてきたら火の通った証。完成。



塩は2回に分けてふる。最初は、表面を優しくさわる“さわり塩”をし、芯まで味を染み込ませる。

魚の大きさに合わせて角材を何本か並べる。火加減調節のために少し隙間をあける。
※構成/安井洋子 撮影/猪俣慎吾
(BE-PAL 2025年8月号より)
▼参考記事
アユの塩焼き
家庭用のグリルでも美味しくいただくことはできるが、アユを塩焼きにするのであれば炭火が断然おすすめだ。炭火でじっくり中まで火を通すことで骨まで柔らかく焼くことができ、頭から丸ごと頂ける。
作り方
アユの美味しさは、香りに加えてワタの風味にもある。
石についた藻を食すことから香りやワタの風味は河川ごとに異なり、地域ごとの味わいの違いを楽しむこともできる。ぜひワタごと塩焼きにして風味を楽しんでみよう。
天然もののアユは、河川の状況によっては食した藻の中の砂利が含まれていることがあるが、尻に向かって絞るように腹を押すことで腸内の藻を排出することができる。
また、加熱調理するのであればアユは鱗を落とす必要はない。
串に刺しておくことで、焼いている最中に身が反ってしまうのを防げる。さらに(後述するが)、串を立てて焼くことで、より一層美味しく仕上がる。
また、串に刺す際にアユの体を少しずつ曲げながら串を通す工程を繰り返すことで、アユが体をくねらせて泳いでいるような形に仕上がる。この刺し方は「踊り串」と呼ばれ、見た目にも風情があり、焼き上がりの魅力を引き立てる。
味付けは塩のみで行う。ヒレには、覆うようにたっぷりと塩を振ることで、焼いたときに焦げて崩れるのを防ぐことができる。一方、身の部分は、手に残った塩を軽くまぶす程度で十分だ。
家庭用ガスコンロのグリルで焼く場合、食べごろの20cm前後であれば寝かせた状態かつ弱火で片側20分、途中で返して合計40分ほどで完成。
炭火で焼く場合は、金網に乗せても美味しく焼けるが、もしグリルに串が立てられれば一層美味しく焼くことができる。
串を立てることでアユ自身の脂がしたたり、頭がちょっとした素揚げの状態となり、食べごろサイズのアユであればバリバリと丸ごといただける。
炭火で焼く時間の目安としては炭からアユを15cmほど離した状態で、腹側を下にして20分程度、途中で返して背中側を20分程度、合計40分程度。
大きなアユであれば焼く時間を各5分~10分ほど長くしてしっかり火を通す必要があるが、ヒレや皮が焦げることがある点には留意しよう。
▼参考記事
アユの味噌焼き

アユの味噌焼きは、塩焼き同様に1尾まるまるいただくレシピだが、ワタを取り除いて調理する特徴があり、ワタまでいただくことに抵抗のある方などにおすすめだ。
作り方
1.アユの腹を開いてワタを取り除く。
2.広げたアルミホイルに薄くサラダ油を塗りアユを乗せる。
3.腹に味噌と酒を1:1で混ぜた調味料を詰め、身にも薄く調味料を塗る。
4.アルミホイルごとグリルに入れて、弱火で片側20分、途中で返して合計40分ほど焼いて完成。
焦げやすい味噌を腹に詰めることで直火を避け、焦げ付きを防いで時間をかけて焼くことができる。
▼参考記事
【煮る】味噌汁や甘露煮の作り方
汁物やアクアパッツァなど魚を煮て食べる料理は旨みを逃さずおいしくいただける。「Ristorante ACQUA PAZZA」のシェフ日髙良実さんや魚の伝道師の上田勝彦さん、アウトドアライターの志田こうたろうさんにおすすめの魚を「煮る」レシピを教えていただいた。
イサキのアクアパッツァ

日髙良実さん
東京・南青山「リストランテ アクアパッツァ」のオーナーシェフ。日本のイタリアンブームを牽引したひとり。著書多数。
シンプルで最高に美味い、日髙シェフの十八番。コツは強火でぐつぐつ沸かしながら煮汁を乳化させること。素材の旨み満載な煮汁も極上。最後の一滴まで酒の肴に。

材料(3~4人分)
- 丸イサキ(下処理する)…1尾
- あさり(砂抜きをする)…10個
- チェリートマト(横半分に切る)…5個
- ブロッコリー(ひと口大に切る)…1/4個
- 塩…適量
- オリーブオイル…40~50ml
Point

丸一尾で作れば絵になるし、頭から出汁も出て旨み倍増。鯛でもアジでも、キャンプ場近くでゲットした鮎でもOK。
作り方

1.下処理済みのイサキは、キッチンバサミで尾ビレ、背ビレ、胸ビレを切り取る。

2.フライパンに丸ごと入らなければ魚を斜め半分に切る。魚の重さの1%の塩を両面、腹の中にもふり、10分ほど置く。

3.フライパンを強火で熱し、底全面に広がる量のオリーブオイル(分量外)をひき、魚を置く。

4.両面の皮を香ばしく、身に2割程度火が通るまで焼いて、魚の旨みを閉じ込める。

5.魚の厚みの半分まで水を加える。沸いたら、お玉で煮汁をかけながら煮る。途中で、身の厚い頭のほうは上下を返す。

6.8割方火が通ったら、ブロッコリー、あさりを加えて、さらに煮汁をかけながら煮る。

7.あさりの口が開いてきたら、トマトを加えて軽く煮る。

8.仕上げにオリーブオイルを加え、ぐつぐつと煮る。煮汁が乳化してきたら完成。
※構成/安井洋子 撮影/森本真哉
(BE-PAL 2025年8月号より)
▼参考記事
スズキ&イナダのアラの塩煮汁

幼少期から魚好き。漁師から水産官僚へ。退職後、魚食を盛り上げる活動に勤しむ。魚の伝道師と呼ばれ、愛称はウエカツ。好きな魚はサバ。魚のプロ
材料は身の少ない頭と骨。アラを使いこなす塩煮汁だ。骨からたっぷりダシが出てさらに骨周りの身も旨い!
材料
- スズキ、イナダの頭…各適量
- イナダの骨…1尾分
- ジャガイモ…4個
- タマネギ…1個
- 長ネギの青い部分…2本分
- ライム…適量
- 塩…適量
- 薄口醤油…適量
作り方
1.ジャガイモは皮をむき、厚めのくし切りに。タマネギは幅1cmに、長ネギの青い部分はななめ細切りにする。
2.鍋に水を張り、ジャガイモを水からゆでる。
3.ボウルに魚の頭と骨を入れ、塩をたっぷりふり混ぜ、すぐにザルにあげる。
4.ジャガイモが柔らかく煮えたら【3】を加え、強火で煮る。沸いたらアクを取り、弱火にする。タマネギを加え、半透明になったら、醤油少々で味を調える。器に盛り、長ネギ、好みでライムをしぼる。

アラにふる塩の量は上記写真の程度。この塩が味の土台を作る。

沸いたら茶色いアクをしっかり取り除き、澄んだ汁に仕上げる。
チダイの下処理

1.軍手をはめた手で頭を押さえ、鱗取りで鱗を取る。取り残しのないよう包丁でも丁寧に取る。

2.お尻から包丁を入れて腹に切り目を入れ、エラ蓋の下から包丁を入れてエラを取る。内臓をかき出す。

3.腹の中の血合い部分に切り目を入れ、エラもと、腹の中をブラシで洗う。表面はたわしで洗う。布で水気を拭く。
▼参考記事
スズキ&イナダのアラで骨ごろごろアヒージョ

幼少期から魚好き。漁師から水産官僚へ。退職後、魚食を盛り上げる活動に勤しむ。魚の伝道師と呼ばれ、愛称はウエカツ。好きな魚はサバ。魚のプロ
たっぷり肉のついたアラはアヒージョに。イカも加えれば旨さ倍増。香りの移った油もご馳走だ。パン必須!

材料
- イナダとスズキのアラ…各適量
- イカ(小)…3杯
- ニンニク(みじん切り)…2片
- 赤唐辛子(輪切り)…適量
- 塩…適量
- 粗挽き黒コショウ…適量
- ライム…適量
- 万能ネギ…適量
- ピュアオリーブオイル…適量
作り方
1.イカは足とワタを抜き、ワタを切り取る。骨も取り除く。胴体は幅1cmの輪切りに。足の吸盤は手でしごき取り、縦半分に切る。
2.フライパンに深さ1cm分のオイルを注ぎ、中火にかける。180度Cになったらニンニクを加え、一部がきつね色になったらアラを投入。
3.ときどき上下を返し、アラに火が通ったら、イカ、赤唐辛子を加える。イカに火が通ったら、塩2~3つまみを加え混ぜる。
4.火を止め、コショウ、万能ネギの小口切り、ライムの搾り汁をふって完成。

イカの吸盤は口当たりが悪いので、しっかりしごき取る。

香ばしく焼く。アラの代わりに大きく角切りにした魚の身でもOK。
※構成/安井洋子 撮影/猪俣慎吾
(BE-PAL 2025年8月号より)
▼参考記事
アユの甘露煮

甘露煮は塩焼きに並ぶアユの定番レシピ。煮つけに近いレシピだが、名前の通り甘く仕上がるのが特徴だ。
材料(4人分)
- 生アユ…4尾
- 生姜…1かけ
- 調味料…水300ml、酒大さじ4、みりん大さじ4、砂糖大さじ3、醤油大さじ3
作り方
1.フライパンにアユと輪切りにした生姜、調味料を入れる。
2.中火で加熱して沸騰したら落とし蓋をして弱火で20分ほど煮る。
3.落とし蓋を取り、調味料をアユにかけながらとろみが出るまで煮詰めて完成。
▼参考記事
【蒸す】魚をふっくら美味しく仕上げるレシピ
魚をふっくら美味しくいただける「蒸し」料理を紹介。魚の伝道師・上田勝彦さんに屋外でも簡単かつ本格的に作れるレシピをうかがったほか、料理研究家の柳澤英子さんにはメスティンで作れる、ダイエットにもおすすめなヘルシーお魚レシピを教えていただいた。
チダイの浮かせ蒸し

幼少期から魚好き。漁師から水産官僚へ。退職後、魚食を盛り上げる活動に勤しむ。魚の伝道師と呼ばれ、愛称はウエカツ。好きな魚はサバ。魚のプロ

フライパンでつくる蒸し魚。アルミホイルの舟に魚をのせ、お湯に浮かせて蒸せばOK。野外でつくったとは思えない上品な美味!
材料
- チダイ…1尾
- タマネギ…1個
- ニンジン…1本
- えのき茸…1袋
- 万能ネギ…1/2袋
- 塩…適量
- オリーブオイル…適量
用意するもの
厚手のアルミホイル
作り方
1.タマネギは横半分に切り、幅1cmに。ニンジンは5mm角のせん切りに。えのき茸は長さを半分に切り、根元のほうは適当に裂く。万能ネギは長さ5cmに切る。それらをボウルに入れ、さっくり混ぜる。
2.チダイは両面、中骨に到達する深さまで3cm間隔で切り込みを入れる。濡らした手のひらにたっぷりの塩をなじませ、表面、腹の中にまんべんなくさわる。
3.フライパンよりひと回り大きく切ったアルミホイルを鍋底に敷く。野菜に軽く塩を混ぜてから敷き詰め、チダイをのせる。魚の周囲や切り目の中に野菜を詰める。
4.アルミホイルの端を内側に折り込む。アルミホイルの下に水を注ぎ、プカッと浮かび上がる水量になればOK。
5.強火にかけ、オリーブオイルを回しかける。沸いたら蓋をして、蒸気の上がる火加減で、湯量を確認しながら20~30分蒸す。
6.切り目から中骨が見えたら火の通った証拠。完成だ。

魚にさわるように塩を優しくあてる。すり込んではダメ。

普通のアルミホイルを使う場合は、破れぬよう2重にして使おう。
※構成/安井洋子 撮影/猪俣慎吾
(BE-PAL 2025年8月号より)
▼参考記事
鮭のネギ味噌蒸し

材料(2人分)
- 長ネギ…1/2本
- エリンギ…2本
- 生鮭…2切れ
- バター(有塩)…10g
- 味噌…小さじ2
- 本みりん…大さじ1
作り方
1.長ネギは斜め薄切りに(飾り用に青い部分は細切り)。エリンギは半分の長さに切り、薄切り。バターは半分に切る。
2.メスティンに長ネギ、エリンギを敷き、鮭を並べ入れる。味噌とみりんを混ぜ合わせてかけ、バターをのせる。
3.蓋をして中火にかける。8分ほどしたら火からはずし、蓋をしたまま5分ほど蒸らす。飾り用に切っておいたネギを散らす。
やせ飯POINT

食物繊維が豊富なエリンギは消化吸収のスピードを抑えてくれる。砂糖を使わない甘さ控えめな味付けで、糖質も制限。
※構成/風間 拓 撮影/木村文吾
(BE-PAL 2024年11月号より)
▼参考記事
【漬ける】ひと手間かける魚料理
アウトドアライター・釣りYouTuberの志田こうたろうさん直伝の魚を「漬ける」レシピを紹介! 南蛮漬けやマリネなど、ひと手間かける料理は一品あるとキャンプでの食事が本格的になるだろう。
アユの南蛮漬け

遡上して間もない小型のアユや遡上前の稚鮎は、焼くと簡単に焦げてしまうことから、揚げ物料理がおすすめ。
材料(4人分)
- 小鮎…8尾~12尾程度
- 人参…1/2本(千切りにしておく)
- 玉ねぎ…1/2玉(薄切りにしておく)
- 片栗粉…適量
- サラダ油…適量
- 調味料…醤油大さじ2、穀物酢100ml、砂糖大さじ2、水大さじ2
作り方
1.人参と玉ねぎを少量のサラダ油で軽く炒め、混ぜ合わせた調味料に浸けておく。
2.小鮎に片栗粉をまぶし、170度Cほどのサラダ油で揚げる。
3.揚げた小鮎に浸けておいた人参と玉ねぎを乗せ、浸け置きに使用した調味料を適量かけて完成。
▼参考記事
アユのマリネ

アユのマリネは、南蛮漬けに近いレシピだが調味料の違いにより洋風に仕上がる。
材料(4人分)
- 小鮎…8尾~12尾程度
- 人参…1/2本(千切りにしておく)
- 玉ねぎ…1/2玉(薄切りにしておく)
- 片栗粉…適量
- 調味料…オリーブオイル大さじ1、穀物酢大さじ1、砂糖小さじ1、塩少々、コショウ少々
作り方
1.人参と玉ねぎを耐熱容器に入れ、レンジで加熱する(500Wで2分)。混ぜ合わせた調味料に浸けておく。
2.小鮎に片栗粉をまぶし、170度Cほどのサラダ油で揚げる。
3.揚げた小鮎に浸けておいた人参と玉ねぎを乗せる。その上から浸け置きに使用した調味料を適量かけたのち粗熱を取る。
4.粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やして完成。
▼参考記事














