私たち夫婦はキャンピングカーでヨーロッパをめぐりながら、「各国の最高峰にチャレンジする」というユニークな旅をしており、今回はそんなチェコの“てっぺん”を目指すことにしました。多くの人がケーブルカーで楽々アクセスする中、私たちは自分の足でこの山をじっくりと登ることに。チェコの自然と文化を感じながらのハイキング体験、その魅力をたっぷりとお届けします。
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チェコの一番高い山「スニェシュカ」とは?

Sněžka(スニェシュカ)は、標高1,603mを誇るチェコの最高峰で、北東部にあるKrkonošský国立公園内に位置しています。ポーランドとの国境にまたがる“国境の山”でもあり、山頂ではチェコとポーランドの国境線をまたぐという、ちょっとユニークな体験もできるのが魅力のひとつです。

登頂ルートは、チェコ側・ポーランド側の両方からアクセス可能ですが、今回ご紹介するのはチェコ側からのルートです。ふもとの町は、標高約750mに位置する小さなリゾート地のPec pod Sněžkou(ペツ・ポド・スニェシュコウ)。夏はハイキング、冬はスキーと一年を通してアウトドアアクティビティを楽しめる、地元の人々にも観光客にも人気の場所です。また、首都プラハから車で約2時間半とアクセスも良好で、日帰りも可能です。
ケーブルカーを使ってスニェシュカ山頂へ

ペツ・ポド・スニェシュコウの町からケーブルカーが出ており、時間がない人や体力に自信がない人でも、楽々頂上を目指せます。ケーブルカーは2区間方式で運行されており、頂上までの直通か、山の中腹までの途中駅かで選べます。
一気に頂上へ登る直通ルートも人気ですが、行きは途中駅の(Růžová hora)で降りて、残りの300m弱を徒歩で登り、ハイキング感覚を味わってから、帰りは直通のケーブルカーで下りるというスタイルの人もたくさんいました。それぞれの体力やスタイルに合わせて、頂上へのアクセス方法を自由に選べるのも魅力のひとつです。がっつり歩きたい人も、軽くハイキング気分を味わいたい人も、楽に頂上を目指したい人も、自分のペースで楽しめます。
スニェシュカ山のケーブルカー公式サイト:https://www.snezkalanovka.cz/en/
ハイキングルートを歩いてスニェシュカ山頂へ
ケーブルカーを使わず、ハイキングルートから頂上を目指すことも可能です。出発はペツ・ポド・スニェシュコウの町からで、ここから頂上までは、片道約6.5km、標高差約800m、所要時間は休憩含めて2時間半〜3時間程度です。
途中にはベンチやトイレ、休憩もできる小屋もあるので、マイペースで進めば初心者でも登頂可能なコースです。おすすめの時期は、雪の積もっていない6月~10月ごろになります。
実際に登ってみた!徒歩で目指すチェコの最高峰

私たちはケーブルカーを利用せず、自分たちの足で頂上まで登ってみました。本来のルートのスタート起点はペツ・ポド・スニェシュコウからですが、ここはキャンピングカーの駐車が禁止されており、隣町のVelká Úpaに車を停め、そこから歩くことに。キャンピングカーは自由な旅ができる一方で、このような規制もあり、思わぬところで手間や費用がかかることもあります。

少し長めのアプローチになりましたが、ようやく登山口のペツ・ポド・スニェシュコウに到着し、ここからが本格的なスタートです。登り始めは、森の中を進む緩やかな登り坂で、道幅も広く、足元もしっかり整備されています。

歩き進めるにつれ、標高も上がり、傾斜が少しずつきつくなってきます。実はこの最初の森の区間が、一番の踏ん張りどころ。ここを越えれば、以降は比較的なだらかな道が続きます。

ルート全体がしっかり整備されているので、初心者やファミリー層にも人気があり、小さなお子さん連れの家族もたくさんハイキングを楽しんでいました。

今回のトレイルで残念だったのが、道中のゴミの多さです。スニェシュカは手軽に登れる人気の山ということもあり、普段登山をしない観光客も多く訪れているようで、自然への配慮があまりないのか、至る所にゴミや紙クズが…。トイレが設置されているにもかかわらず、そこら辺でようをたし、紙くずなどがそのまま放置されていたり、いわゆる“自然のトイレ”になってしまっている場所も見かけました。

海外の山ではよくあることなのですが、こうした光景を見ると、「やっぱり日本の山はきれいだったなあ」と改めて感心させられます。ハイキングをする一人ひとりが、マナーを守って自然を大切にする意識を持つことの大切さを、実感させられました。

歩き始めてから約1時間ほどで森を抜け、「Decinska Bouda」の山小屋に到着です。ここでは牛たちがのんびり放牧していて、のどかな風景が広がっており、思わずほっこり。小屋には宿泊施設の他、軽食やドリンクを提供する売店、ベンチ、トイレも完備されているので、ゆっくり休憩することができます。外のベンチで景色を堪能しながら一息つき、山頂へ向けて気合いを入れ直しました。

終盤はケーブルカーを眺めながらの絶景ルートを歩く

山小屋を過ぎると、歩きやすい石畳のような遊歩道が続いているので、足元の不安はほとんどありません。少し進むとケーブルカーの中間駅の(Růžová hora)に到着します。ここには清潔なトイレもあるので、安心して立ち寄れます。

このあたりから、ケーブルカーで途中まで登ってきた人々と合流するため、登山道も少しにぎやかになってきます。ここからは視界が開けて、山頂まではケーブルカーに沿うようにして進む尾根道。頂上もようやく見えてきて、長い石畳の階段が続きます。後ろを振り返ると、ケーブルカーがゆっくりと登っていく様子とチェコの広大な森林と田園風景が広がります。

チェコの最高峰に登頂!1,603mからのパノラマはポーランドまで見渡せちゃう

登山口から歩くこと約2時間半、ついにスニェシュカ山の山頂に到着です!標高としてはそこまで高くはないけれど、歩いて登った分、じわじわと感じる達成感でいっぱいです。山頂に出た瞬間、ぐるりと視界が開け、チェコだけでなく、遠くポーランドの平原地帯まで見渡せる360度の大パノラマが広がっていて、思わず「おぉ〜」と声が出てしまいました。

山の山頂はチェコとポーランドの国境線でもあり、両国のケーブルカーで登ってきた観光客たちも多く、けっこうなにぎわいで国際色豊かでした。実際に、数歩歩くだけで「ポーランドに入国」した気分を味わえるのが面白いポイント。パスポートもチェックももちろんありませんが、山の上での国境越えは、旅人心をくすぐります。

山頂はとても広く、円形のクラシカルな木造の礼拝堂や円盤型の気象観測所、山小屋、展望台など、みどころスポットがもりだくさんで、思わず探検したくなります。


せっかく登ったからには、山頂標識での記念撮影を…と思って探し始めたのですが、これがなかなか見つからない(笑)。頂上は広く、いろんな方向にベンチや展望台があり、「えっ、どれが最高地点??」とウロウロしてしまいました。
しばらく探して、ようやく見つけたのが、小さな標識。いろんな方角を記した標識達と共に小さく「Sněžka 1,603m」と書かれたプレートがあり、数人がここで記念撮影をしていたのでどうやらこれが山頂標識のようです。派手なモニュメントではなく、どちらかというと殺風景な感じでしたが、私たちも記念写真も撮り、スニェシュカ登頂をしっかりと心に刻みました。

お手軽に登れる「スニェシュカ」で最高峰体験
国の最高峰、と聞くとハードな山も多い中で今回のスニェシュカは、ちょっと一息つける“ご褒美系の山”という感じでした。登山道はしっかり整備されており、誰でも無理なく挑戦できるのが魅力で、景色を楽しみながらチェコの自然を味わえる場所です。
これからも、ヨーロッパ各国の最高峰を目指すキャンピングカーの旅は続きます。次はどんな山が待っているのか?次回はポーランドの最高峰をお届けしますのでどうぞ、お楽しみに!








