目印は木星。放射点が天頂近くになる深夜がおすすめ
1月のしぶんぎ座流星群、8月のペルセウス流星群とともに三大流星群に数えられるふたご座流星群。今年は12 月14日の夕方17時ごろに極大を迎えます。ですが、この時間は日本各地で日の入り前か薄明中にあたり、ふたご座の姿を見つけることはできません。
流星群は放射点(流星群のすべての流星の軌跡を逆に辿っていくと到達する1点)が高くなるほど、たくさん流れます。ふたご座の放射点は兄の星である2等星カストルの近くです。22時くらいになるとだいぶ高くなってきますが、15日の1時半くらいがもっとも高くなるでしょう。2時くらいになると下弦を過ぎた月齢24の月が昇ってきますが、明るい流星であれば十分見えます。


今年はふたご座の中に明るい木星がいます。23時頃には冬の星座たちも勢ぞろい。キラキラの星空に流れ星が飛ぶ、すばらしい夜が楽しめそうです。
ふたご座流星群の母は彗星ではなく小惑星
ふたご座流星群のユニークなところは、流星の元になる天体が彗星ではなく小惑星であることです。ペルセウス流星群の母となる彗星はスイフト・タットル彗星、オリオン座流星群の母はハレー彗星。流星群は、彗星が地球軌道を横切るときに残していったチリが材料になっています。
一方、ふたご座流星群の元になっている天体はファエトン(Phaethon)という小惑星です。あまり聞いたことがない名前でしょう。火星と木星の間にある小惑星帯(アステロイドベルト)から地球の軌道を通過して太陽をまわる軌道の小惑星なのです。周期はわずか1年半ほど。約134年かけて太陽を回るスイフト・タットル彗星、約76年かけて太陽をまわるハレー彗星などと違って、ファエトンは頻繁に地球軌道を横切っています。
しかし、小惑星は彗星のように尾を引きませんし、氷のチリも持ちません。ファエトンは写真で見ると、ボッテリした岩の塊のようです。ファエトンは元々彗星だったとも、蒸発しやすい物質を含む小惑星だったとも言われていますが、今では活動してないと考えられてきました。
ところが近年、ふたご座流星群の流星数が増加傾向にあります。また、2013年にはファエトンに彗星のような尾が観測されたこともあります。ファエトンの活動とふたご座流星群の関係についてはまだまだわからないことだらけです。

今年も町明かりの少ない開けた場所であれば1時間あたり20個くらい見られると予想されています。多少町明かりがあっても、木星やオリオン座、冬の大三角など、キラキラと見飽きない夜空です。しっかり防寒対策を取って、温かい飲み物なども用意して観察してください。
構成/佐藤恵菜







