スペイン本土の最高峰、標高3,478mのムラセン山にチャレンジ!絶景と達成感の登山レポート - 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2025.06.01

    スペイン本土の最高峰、標高3,478mのムラセン山にチャレンジ!絶景と達成感の登山レポート

    スペイン本土の最高峰、標高3,478mのムラセン山にチャレンジ!絶景と達成感の登山レポート
    私たちは、キャンピングカーで暮らしながらヨーロッパを周遊している夫婦です。旅をスタートしてから2年半が経過し、これまでに18カ国を巡り、それぞれの土地でさまざまな出会いや発見を重ねてきました。山登りが大好きな私たちは、自由気ままに旅を続けながら、各国の最高峰を登ることを目指しており、これまでに8カ国の最高峰を制覇することができました。

    今回挑戦するのは、スペイン本土で最も高い山、標高3,478mのムラセン山です。登山中に感じたことや、途中で出会った景色をお届けしていきます。これから登る方にも参考になれば嬉しいですし、どんな冒険が待っているのか、一緒に体験していきましょう。

    ムラセン山とは?ポピュラーな登山ルートをご紹介

    ムラセン山の頂上からは、シエラ・ネバダ山脈の雄大な雪景色が一望できます。

    Mulhacén(ムラセン)は、スペイン本土およびイベリア半島で最も高い山で、標高は3,478m。アンダルシア地方のシエラ・ネバダ山脈に位置し、登山者にとって憧れの一座です。

    スペイン全土では、カナリア諸島のテイデ山(3,718m)に次いで2番目に高い山ですが、本土としては最高峰です。標高こそ高いものの、無雪期であれば技術的に難しい箇所が少なく、体力さえあれば比較的登りやすい山とされているため、夏になると多くの登山者が訪れます。

    登山ルートはいくつかあり、最もポピュラーでアクセスしやすいのが、Capileira(カピレイラ)の町からスタートするルートです。夏季には、カピレイラから標高2,700mのAlto del Chorrillo(アルト・デル・チョリージョ)までシャトルバスが運行されており、このバスを利用することで登りの距離や標高差を大きく短縮することができます。

    山頂までの往復所要時間はおよそ5〜6時間、標高差は約800m、歩行距離は約14km。登山道は整備されており、天候が安定していれば初級〜中級者でも挑戦しやすいコースです。

    カピレイラは宿泊施設やレストランも充実していて、ムラセン登山のベースに最適な町です。

    シャトルバスの運行期間は残雪の状況により前後することがありますが、例年6月中旬~10月中旬頃。運行はカピレイラの観光協会が管理しており、事前予約が必要です。料金は1人あたり往復で14ユーロ~(約2,200円~)となっています。

    「行けるって言ったじゃん…!」登山口までの悪路をキャンピングカーで大奮闘

    登山口までの道は荒れていて、穴や石ころがゴロゴロ。

    私たちが訪れたのは4月下旬のオフシーズンだったため、シャトルバスは残念ながらまだ運休中でした。そのため、一般車でもアクセス可能な標高2,100mの「ホヤ・デル・ポルティージョ(Hoya del Portillo)」まで自前のキャンピングカーで向かうことに。しかしここで、ちょっとした“試練”が待っていました。

    事前にカピレイラ観光協会に「この道、キャンピングカーでも行けますか?」と問い合わせたところ、「全然問題ないよ!」とあっさりOKの返事。安心していたのも束の間、いざ走ってみると、そこには舗装されていない凸凹の土道が延々と続く登り坂が待ち構えていたのです。

    3.5トンのキャンピングカーにはなかなか過酷なコンディションで、車体を揺らしながらヒヤヒヤ運転。途中、何度か車を休ませつつ、10kmの未舗装路を約40分かけてゆっくり登りました。

    そしてようやくホヤ・デル・ポルティージョに到着。そこにはすでに10台近くの車が停まっており、皆ムラセン山を目指しているようでした。案の定、キャンピングカーは私たちだけ。ほかは全て乗用車やSUV、「…ですよね」って思わず苦笑い。

    ホヤ・デル・ポルティージョには車が15台ほど停まれる広めのスペースがあります。

    それでも無事にたどり着けたという安心感と、山に一歩近づけたワクワク感で、胸がいっぱいに。この日はここで一泊して、翌日の登山に向けて準備を整えました。どこでも泊まれるのが、キャンピングカー旅の大きな魅力!

    ホヤ・デル・ポルティージョからムラセン山に向けて登山スタート

    標高が高いため朝晩は冷え込みも厳しく、防風・防寒対策が必須です。

    ホヤ・デル・ポルティージョから頂上を目指す場合は、標高差約1,300m、距離約23kmの往復コースです。なかなかの長距離なので、私たちはまだ暗い、日の出前の時間にスタートすることにしました。また、4月のこの時期でも残雪があることがあるため、アイゼンとピッケルをしっかり装備して臨みました。

    序盤は木々に囲まれた森の中で、暗くて周囲がほとんど見えず、静まり返った空間は少しだけ怖さも感じました。30分ほど登ると森林限界に達し、視界が開けて、星空や月がしっかり見えます。

    月明かりに照らされた雪山の景色が、とても幻想的で美しかったです。

    さらに歩みを進めると、やがて夜が明け始め、空が刻々と明るくなっていきます。普段は山で夕日を見ることが多い私たちにとって、暗いうちから歩き始めて日の出を拝む登山スタイルも、また格別な体験でした。

    地平線がオレンジ色に染まり、その日の出の美しさに思わず言葉を失います。

    登山道にはしっかりと標識や道案内などの整備がされており、迷う心配はありません。危険な箇所もなく、広くて緩やかな登りが続くのでとても歩きやすかったです。

    登山道にはしっかり印がありとてもわかりやすかったです。
    ところどころ雪が残っている場所もありましたが、アイゼンなしでも安全に通過できました。

    約2時間半歩いたところで、夏季にシャトルバスが下ろしてくれる「アルト・デル・チョリージョ」に到着。ここからスタートすると登山がかなり楽になるんだなと実感しました。ここまでは穏やかな登りでしたが、ここからがいよいよ本格的な登りのスタートです。

    アルト・デル・チョリージョを過ぎると一つ目のピークが見えてきて、いよいよここからが勝負です。

    風に打たれながらも、ついに念願のムラセン山の頂上へ

    ムラセン山には実はピークが2つあり、まずは一つ目のピーク、標高3,360mの「ムラセンII」へと向かいます。このあたりから登山道は岩がゴツゴツとした足場に変わり、斜面も少しずつきつくなってきますが、焦らず一歩ずつ進めば危険はありません。

    一つ目のピークのムラセンIIへ到着!

    ここでひと息ついて、最後の登りに備えます。標高もずいぶん上がってきたこともあり、風が一気に強くなってきたので、手袋を厚手のものにチェンジして再スタートです。

    気温はそこまで低くなかったものの、風が強く、手がかじかむほどの寒さ。厚手の手袋を持ってきて本当によかった。

    強風が顔を打ちつけ、一歩進むのもやっとという状況でしたが、ふと周囲を見渡すと、そこには圧倒的な絶景。白く染まった山々がどこまでも連なり、その光景が私たちの背中を押してくれました。

    頂上まであとちょっと!最後の一踏ん張りです。
    やったー!スペイン本土のてっぺん、ムラセン制覇!!

    そして、最後の力を振り絞り、ついに標高3,478m、スペイン本土の最高峰・ムラセン山の頂上へ到着!登り始めてから約6時間(途中の休憩を含む)、ようやくたどり着いた山頂は、疲れも吹き飛ぶような美しさ。さっきまで容赦なく吹いていた風も、まるでご褒美のように穏やかになり、そこには360度広がる大パノラマが待っていました。

    雪をまとった雄大な山々が目の前に広がり、言葉にできないほどの達成感と感動に包まれました。

    幸運なことに、この日は他の登山者がいなかったため、頂上は貸し切り状態。誰にも邪魔されることなく、ゆっくりと写真を撮ったり、お昼ご飯を食べたりしながら、景色とこの瞬間を心ゆくまで味わうことができました。

    最高峰への一歩が、次なる冒険の背中を押してくれた

    ムラセン山への登頂は、私たちにとって新たな達成感とともに、キャンピングカー旅ならではの自由さを再確認させてくれる体験となりました。天候や体調に合わせて柔軟に行動できる車中泊スタイルだからこそ、ベストなタイミングで挑戦できたことも、大きな成功の鍵だったように思います。

    今回のムラセン山登頂は、私たちの旅における大きな節目であり、次なる挑戦への力強い後押しにもなりました。これからも、キャンピングカーで旅を続けながら、体力と技術の許す限り、各国の最高峰を目指していきたいと思いますので、次なる冒険も、どうぞお楽しみに!

    ルアナさん

    トラベルライター

    2023年1月から夫婦でキャンピングカーに暮らしながらヨーロッパを周遊中!登山、キャンプなどのアウトドアが大好きで、ヨーロッパでもアルプスや色んな地域の山を登っています。夫婦の長年の夢だったキャンピングカー暮らしで旅をして、有名観光地だけでなく、ガイドブックにも載っていないような秘境スポットをどんどん巡り、キャンピングカーライフや海外登山などリアルな体験談をお届けします。

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