
今回は、スイスの首都であるベルンの自然散策スポットを紹介。アクセスも手軽な街の中に森林や遊歩道があり、地元の人々に愛されています。
スイスアルプスの氷河が源流のアーレ川の魅力
季節によって神秘的に色を変える川
スイスで最も長い川の一つであるアーレ川(die Aare)は、ベルナーアルプスの氷河が水源。そこで川となり、渓谷や湖を経由した後に、スイスとドイツの国境を流れるライン川へと合流していきます。
氷河で生まれた川なだけに、季節や日によって深い緑色に見えたり、またときには神秘的なエメラルドグリーン、さらにはターコイズブルーの色にまで変化します。というのも川の水には氷河によって削り出された微小な鉱物粒子や堆積物が含まれていて、太陽光が水中に差し込むとこれらの鉱物粒子が反射するからです。
アーレ川はベルンの街を南北に流れ、その両岸には誰でも散策ができる小道もあります。場所によっては数キロから十数キロの長さがあり、30分ほどでさくっと歩けるところから数時間かかるところまでさまざま。
というわけで「今日はいつもより長いルートを歩くぞ!」「時間があまりないから、短い区間の遊歩道を軽く歩こうかな」など、その日の状況(と気分)によって好きなルートを選んでウォーキングが楽しめます。

都市部にいながら自然と一体化できる
私のお気に入りのウォーキングルートは、ベルンの旧市街からすぐ下の方へ降りた所にある、マルツィリ(Marzili)地区の遊歩道。
特に夏の期間は、川を泳いだりボートに乗ったりしている人たちを見やりながら、緑の木々や野花が咲く道を歩くのが楽しいです。そしてときおりその横を、キックボードや自転車を押す人、そしてジョギングをする人たちが追い抜いていきます。

遊歩道はまっすぐできれいに舗装されているので、小さな子ども連れファミリーの姿も。このエリアにはベルン動物園やキャンプ場などもあり、みんなそれぞれの目的で訪れているようです。
歩き続けていると、吊り橋にやってきました。

1906年にできたこの吊り橋は保護文化財になっています。橋ができるまでは川に渡し舟が出ていたのだとか。
橋を渡っていると、今まで川で泳いでいたらしい何人かの若い男性たちが佇んでる姿が。どうやらまだ泳いでいる仲間に何か声をかけているようでした。

橋の左側の遊歩道を進むとキャンプ場が。そして右側には屋外プールやレストランなどがあります。今回は右側の道へ歩を進めることに。

川を下る人々、川のほとりでくつろぐ人々

つり橋を渡ってさらにアーレ川のほとりを行くと、泳いでいる人たちの姿がより近くに見えました。水は澄んでいますが、遊歩道から川の水深は分かりにくく、流れも速そうです。みんな泳ぎに自信があり、川遊びに慣れている雰囲気でした。
またこの時期は、カヌーやゴムボートを漕いでいたり、SUPをしにくる人も結構います。

暑い季節ですので、とても泳いでみたくなる衝動に駆られますが、プールや海で泳いできた経験はあれど、こんな本格的な川で泳ぐのは浮き具があっても私には難しそう…。
そこで、遊歩道のところどころに設置されている手すり付きの階段を下り、川べりに座って水に足だけ浸してみました。

川の水は冷たく、「ここでスイカなんか冷やしたら美味しいだろうなァ」なんて食い意地のはった想像をしつつ、川を下ってゆく人々を眺めていました。

泳がなくとも、水辺の木陰に腰かけて、美しい色の水面を流れて行く人を眺めているだけでも飽きません。周りにはランチを食べたり、友だち同士で談笑している人たちがいました。

地元民の憩いの場!誰でも無料利用できる屋外プール
川の水でちょっぴり涼を取った後、さらに小道を歩いて行きます。今度はビーチバレーをしている人たちや、バー&レストランで食事を楽しんでいるグループがいる活気あるエリアへ来ました。

まるでどこか自然いっぱいで、開放感のあるキャンプ場でバカンスを過ごしているよう。それでも、いま自分が首都の中心部にいるのだと思うと、ちょっと不思議な気分です。

そして最後にたどり着いたのは屋外プール。ここは誰でも入場無料で利用でき、夏の営業シーズンは連日大にぎわいです。広々とした芝生には、色々な大きさのプールや飲食ができる売店などがあり、充実した施設となっています。
ただみんな水着姿で歩き回っているので、服を着ていると逆に目立ち、少し気恥ずかしく(?)思うことも。

自然の中で水遊びをする時は、しっかり安全対策を

最後に、スイスで夏を過ごしたり水遊びをしたりする際の注意事項を以下にまとめます。しっかり安全対策を行った上で、水辺で楽しい時間をお過ごしください。
- 日本でも厳しい夏の暑さがニュースになっているように、欧州でも年々夏の異常な暑さが問題になっています。今年スイスは雨があまり降らず、気温30℃以上の日が一週間も二週間も続いたりしています
- 湿度が低いので不快さはあまりないのが救いですが、扇風機はあってもエアコンがある家庭はほとんどなく、暑さしのぎに湖や川といった水場へ足を運ぶ人はさらに増えています。ただ市営プールなどと違い、川や湖には監視をしてくれるライフセーバーはいないので、基本的に危険管理は自己責任。
- この時期はスイスでも水難事故が増えるため、ベルンなど地元の警察は、人出の多い夏休み期間や週末にパトロールをすると同時に「救命胴衣など浮力補助具を着用」「一人で泳がない」「泳ぎに不慣れで自信がない場合は湖や川で泳がない」「飲酒をしたり体調不良の時は泳がない」「泳ぎに行く前に天気予報と川や湖の状況をチェック」「可能であれば泳ぐ時も携帯電話を帯同」といった対策を推奨しています。