オーストリアのダッハシュタインで心ゆくまで堪能!世界最大級の「氷の洞窟」へ | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

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2025.12.10

オーストリアのダッハシュタインで心ゆくまで堪能!世界最大級の「氷の洞窟」へ

オーストリアのダッハシュタインで心ゆくまで堪能!世界最大級の「氷の洞窟」へ
オーストリアに接するドイツ、バイエルン州に住む吉村美佳です。

実は私、自然の美しいオーストリアに行くのが大好きです。自然の美しさ、もっと言えばこれでもかと思うくらいの山と湖の美しい国、そして食べ物もとっても美味しいのです。

今回はそんなオーストリアの自然の中に隠れる洞窟と、見晴らしスポットをご紹介します。
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年中凍っている氷の洞窟

アウトドアってちょっとドキドキする響きですよね。「仲間さえいればどこまででも歩くよ」タイプの私は、この氷の洞窟の訪問をすごく楽しみにしていました。

今回の目的地である洞窟は、ザルツブルクから南に50kmのところにあります。オーストリアの中央部、東アルプスに位置しています。

その洞窟の名前は、ドイツ語では「アイス・リーゼン・ヴェルト」、直訳すると「氷の巨人の世界」です。洞窟の長さは合計42km、幅の広い場所では30mと、氷の張った洞窟の中では世界最大級。1kmにわたって年中凍っているらしいのです。

その仕組みは、簡単にいうとこんな感じです。

まず、春先まで内部は凍っています。やがて外気が上昇し、地上の雪解け水が隙間から洞窟内に流れ込みますが、洞窟内の温度は低いので、また凍ります。そうして夏にはさらに分厚い氷に覆われるのだそうです。まるで天然の冷凍庫。

いざ出陣!

私は今回、ザルツブルク州観光局主催のインターナショナルプレスツアーでの参加でした。私たち一行はバードイシェルのホテルに宿泊していて、朝食後にそこから洞窟に向かいました。朝10時前にロープウェイの駅へ到着。

ロープウェイ乗り場。朝はまだ曇りがち。

標高1640mにある洞窟の入り口までは、ロープウェイを中間駅で降りて、15分程度の軽いハイキング。

まずは平坦なところからスタート。このあと登っていきます。

今年の紅葉は特に綺麗です。ロープウェイ乗り場まで運転をしてくれた地元のタクシー運転手の話では、この日までに氷点下以下になったのが一回だけ。つまり、紅葉が長く保てるということなんですよね。

素敵な秋の景色。山と湖、まさにオーストリアの私の好きな風景。

赤や黄色の葉っぱの美しさや、途中で見下ろせる湖の美しさを楽しみながら、洞窟入り口に到着。

さりげない洞窟の入り口。

事前に公式ホームページなどで調べたところによると、ロープウェイを降りてから軽くハイキング。そのあと、700段もの階段が洞窟内に待っています。途中滑りやすい所もあるので、しっかりしたハイキング用の靴を履きましょう!となっています。実際に案内してくれたキリアンさんによると500段だそうですが。

私事ですが、実はこのプレスツアー参加が決定したあとに、かかとを骨折。完治を間際に松葉杖でのツアー参加となりました。心配してもどうしようもないので、ダメならダメ、と割り切ってオーストリアに出かけた私。

前夜に初めて顔を合わせたプレス仲間で唯一、以前にも洞窟に行ったことがあるというオランダのカメラマン、ヴィンツェントさん曰く、「多分大丈夫だと思うよ。滑るとか心配不要」とのこと。ロープウェイを降りてからこの洞窟の入り口まで、まずは仲間に迷惑をかけず歩き続けることができました。

この「ダッハシュタイン」地区一帯のガイドであるマークスさんも、そこまでの私の歩きっぷりを評価し、氷の洞窟のガイドであるキリアンさんに太鼓判を押してくださいました。そして、氷の洞窟に無事入ることができました。

内部は天然の氷のショールーム

実際に洞窟内に入ると、ところどころに階段があるものの、一度に20〜40段くらいなので松葉杖の私でも大丈夫そうです。

洞窟内を歩き始め5分ほど経ったとき、いきなり大きなクマのぬいぐるみが照らし出されました。

突然照明を浴びさせられたクマ。慌ててカメラを構えました。

するとガイドのキリアンさんが、ここには昔、草食のクマが住んでいて、体長が3mくらいまで成長していたんだよ、と解説してくれます。安っぽい演出だなと思うものの、日本ではクマに襲われる事件が多発しているご時世。実際ここで開拓者が何も知らずにクマに遭遇したら怖いだろうな、と余計な心配をしたりして。

この洞窟が発見されたのは1879年のこと。20世紀になって本格的に調査が始まり、登山道が整備されることによって観光客も増え始めました。1969年にはロープウェイが出来、さらに観光客が増加。観光洞窟としては100年程度の歴史ですが、キリアンさんによるとここにある氷は500年前のものにまで遡ることができるのだそうです。

この日は0.69度と洞窟内の温度が表示されていましたが、寒い時にはマイナス10度まで下がるらしい。耳をすっぽりと覆うことができる帽子は必需品です。

洞窟内は歩きやすくなっていて心配無用。階段もこんな感じでちゃんと手すりがあります。

この階段を上がっていくと、カテドラルと呼ばれる大空間に出てきました。つまり大聖堂のことですが、それでは昔の人が宗教的な目的で使っていたのかしら?とふと思わなくもありません。

この洞窟の入り口は、険しいアルプスの標高1640mにあります。昔は登山道もないので、普通に人が出かけられるような場所ではありませんでした。実際にここでミサが行われていたのではなく、この洞窟の天井が高くひらけていて、音響もよく、大聖堂を思わせる造りだからそう呼ぶようになったのだそうです。

赤や青などに照らし出される光のショー。

ドラマチックに赤や青など様々な光のショーと仕立てられていますが、仮に条件がそろい、自然光が入って神秘的な印象を与える可能性があるのならば、そういう一筋の太陽光線的な演出をもっと強調してほしいと思いました。

洞窟内に、雪が平坦にならされているところがありました。そこにはピアノが置けるんだよ、とキリアンさん。音響がいいからコンサートも開けるのだそうです。誰がどうやってここにピアノを運ぶの? と思うのですが、確かにピアノを置いたらしき場所があり、その説明の後、クラシック音楽が流れるという演出付き。

そのあとは吊り橋が渡されている箇所に向かいます。その下には、一部雨が溜まっていました。

吊り橋の装飾が素敵ですね。このおかげで洞窟がしっかり観察できます。

まだまだ洞窟探検がしたいと思うのに、気がついたらもう出口。氷の洞窟から一歩外へ出ると、秋晴れの美しいオーストリアの山と湖の風景が広がります。ビバ、オーストリア。オーストリア、万歳!

洞窟を出ると……あ、外は秋だった。

どの時期に行くか、天候がどうであったかにもよって氷の状態は異なるようですが、私が訪れた10月末は通常より氷が少ない状態であったから、滑る心配もなく歩きやすかったのでしょう。次回はもっと氷のある時期に松葉杖なしで来たいな、と思う私でした。

それにしても、地球温暖化からこの氷の洞窟をどこまで守っていくことができるのでしょうか。

ちなみにこの氷の洞窟は年中行くことができるわけではなく、5月から10月までの半年だけガイド付きツアーで見学が出来ます。その半年で15〜20万人もの人が訪れる人気スポットです。徒歩で、バスで、ロープウェイで、とアクセスするにもたくさんの選択肢がありますから、いろいろな楽しみ方ができると思います。

見晴らしの良いレストラン「マウンテン・レストラン」

さて、一通り歩いたらもうお腹がすいてきました。さらにサクッとケーブルカーに乗り、標高2100mにあるマウンテン・レストランでランチをいただくことにしましょう。

ケーブルカーは頻繁に運行されており、道中も山を上から眺められるので最高!

目指すレストランは、ケーブルカーで降りてすぐ。パノラマを楽しむための構造です。アウトドア派にも、小さな子供やお年寄りと一緒の家族連れにもお勧め。

写真左側がケーブルカーの発着所、右に見える低い木目、円柱型の部分がレストラン。

この日は青空が広がる最高の天気。ガラス越しに太陽が差し込む眩しい昼下がり。ああ、ここでぐいっとビールを!と思うところですが、今回はお仕事だから我慢。リンゴジュースをレモネードで割ったリンゴのショーレにしました。オーストリアの国民的清涼飲料、ハーブを使ったアルムドゥードゥラーもおすすめです。

食事は南ドイツやオーストリアのショートパスタ、シュぺッツレにたっぷりのチーズを載せてオーブンで焼いたものを注文しました。しっかりした味付けにカリッカリの玉ねぎと大胆に刻んだパセリ。このパセリの力強さがアクセントになっていて最高。そしてグリーンサラダ。正直どこのレストランでもシュペッツレは盛り付け量がとても多いのです。見た目は少ないのですが、チーズも贅沢に使われているのでお腹にたまるんですよね。

アウトドアにはやっぱり美味しい食事も欠かせない。
ここからはオーストリア最高峰も見えます。

美しい自然を見下ろせるスポット、ファイヴ・フィンガーズ

お腹が満たされ体力が補充できたところで、次の目的地へ歩いていきます。素晴らしい眺めが期待できるスポット、ファイヴ・フィンガーズです。

そう、片手の指5本を見立てて造られたとっておきの場所です。壊れたら400m下まで落下? と高所恐怖症の方なら心配しそうですが。

まさに5本指。

観光客たちは、一生懸命SNS向けの動画を撮影していたり、お互い写真を撮りあったりしながら、オーストリアの自然の美しさを堪能しました。

写真はいらないといいつつも、結局つられて撮ってもらった。誰もがなんとなく写真を撮りたくなる雰囲気の写真スポット。
ファイブ・フィンガーズからの眺め。

すぐそばに十字架があります。普通は山の頂上に立つ十字架ですが、これは1954年に15〜17歳の学生10名と先生3名が亡くなった悲惨な事故を偲んで立てられたものだそうです。

一般的に山にある十字架は頂上を表すものですが、このハイルブロナークロイツ(ハイルブロナー十字架)はとある事故を偲んで立てられたもの。

道中には360度見渡せる見晴台やチャペルもありました。チャペルも1954年の事故と関連して建てられたものだそうです。

この辺りは軽いハイキングコースなので、小さな子供連れでも大丈夫。実際に子供連れの家族にもたくさん出会いました。お母さんに、「ほら、松葉杖の人も歩いてるじゃない。頑張りなさいよ!」と声をかけられている子供もいました。私は目的地に到着した後、再びロープウェイに向けての帰り道。ドイツ語の会話だから私には分からないと思っているのでしょうね。

大丈夫、そんなに遠くないよ、とドイツ語でにっこり教えてあげました。

上から見下ろしたチャペル。

そんな道中には、アルプスの山の上でよく見かけるカラスの仲間、黄色い嘴の鳥が飛んでいます。先日アルプスの山を訪れたときもたくさん飛んでいて、人懐っこく餌を手から食べていた鳥でとっても気になっていました。

ガイドのマークスさんに鳥の名前を聞いた時、彼らはあまり歓迎されない鳥だと教えてくれました。どうやら高所での生活に順応した体を持つけれども、カラスのように残飯をあさって食べたりする習性があるようです。ドイツ語でアルペンドーレ、日本語訳だとキバシガラスと呼ばれています。

この地区は、ロッククライミングやパラグライダー、スキーなど、いろいろなアウトドア活動が楽しめます。

オーストリア観光局(日本語サイト)
https://www.austria.info/ja/

ザルツブルク観光局(日本語サイト)
https://www.salzburg.info/ja

吉村美佳さん

ドイツ在住ライター

バックパッカー生活に終止符を打った後、2002年12月からドイツ・バイエルン州に在住、ドイツ生活を満喫中。世界遺産都市レーゲンスブルクの日本語公認ガイドをしつつ、町の素晴らしさをもっと知ってもらいたいと思ったのをきっかけに執筆活動を始める。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員

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