
(出典)photoAC
オスのカブトムシを探す方法
カブトムシの雌雄を見分けるシーンとして、幼虫を探すときが挙げられます。さらに、カブトムシの幼虫は他の虫とも似ているため、見極めは簡単ではありません。
まずは、カブトムシのオスの幼虫を見つける方法を解説します。
幼虫のオスとメスはお尻で見分けられる
カブトムシの幼虫の雌雄は、お尻に注目すれば見分けられます。オスの幼虫には、お尻の部分にV字のような黒い模様があり、メスにはありません。
ただし、V字が現れるのは、2回脱皮して体長が約4~10cmほどに成長した『三令幼虫』と呼ばれる状態になってからです。生まれたばかりの幼虫の判別は、困難です。
また、カブトムシの幼虫は丸まろうとする習性や、V字がはっきりと現れないケースもあることから、万能な方法とはいえません。心配なときは、オスと思われる幼虫を複数匹持ち帰るとよいでしょう。
他の虫の幼虫との見分け方
カブトムシの幼虫は、カナブンやハナムグリ、クワガタとも似ているため、採取の際はカブトムシの幼虫を特定する作業から始める必要があります。
カナブン・ハナムグリの幼虫との見分け方は、歩き方で見分けられます。カブトムシの幼虫は、他の多くの動物と同じく腹を下にして歩く傾向がありますが、カナブンやハナムグリの幼虫は逆です。背中を下にして歩くため、地面に置いて歩く様子を観察すれば判別が可能です。
クワガタの幼虫と見分けるには、お尻に注目しましょう。肛門が横に割れているのがカブトムシ、クワガタは縦に割れているのが特徴です。
カブトムシの幼虫は体が大きいため、単純に大きさだけでもある程度見分けが可能です。
カブトムシの幼虫の探し方
カブトムシの幼虫は、倒木の下や腐葉土のある場所に生息しています。腐葉土や倒木は、幼虫の餌であるためです。
倒木を探す際は、できるだけ腐食が進んでいる木が望ましいでしょう。腐食が進んでいる方が、幼虫にとっての栄養が豊富で、集まりやすいと考えられます。
また、日当たりのよい場所の方が見つかりやすい傾向にあります。腐葉土のある場所は、落ち葉の下がメインです。
カブトムシの幼虫は1カ所に集まる習性があるため、1匹見つけたら他にもたくさん見つかる可能性があります。なお、地域差はありますが夏よりも冬の方が幼虫を見つけやすいでしょう。
カブトムシの飼育方法【幼虫】
幼虫から寿命を全うするまで育てれば、より愛着を持てます。カブトムシを幼虫から育てる際の、飼育環境のつくり方や餌のやり方を解説します。
飼育環境のつくり方
成虫の大きさは、幼虫期にどれだけ餌を食べたかで決まります。大きな成虫に育てたければ、幼虫期の世話が重要です。
まずは、飼育ケースにクヌギマットを10~15cmほど敷き詰め、幼虫フードを混ぜます。複数匹の飼育も可能で、小さなケースでは4匹程度、中くらいのケースで8匹程度が目安です。
クヌギマットと幼虫フードは、湿気を保つのが重要です。手で握っても形が崩れない程度の湿気に保つよう、昆虫ウォーターで調節しましょう。幼虫は土の中で育つため、飼育ケースは直射日光の当たらない場所に置きます。
餌のやり方
カブトムシの幼虫の餌は腐葉土や幼虫フードのため、飼育環境を整えれば追加で餌を与える必要はありません。
大きな成虫に育てるためには、栄養価の高いマットやフードを選ぶのがおすすめです。糞の量や餌の減り具合にもよりますが、3カ月を目安に中身を交換しましょう。
4月ごろになると、土の中で蛹になります。蛹の状態にあるときは何も食べないので、特別の理由がなければ、餌やりもマットの交換も不要です。
蛹の状態でむやみに接触すると、正常に成長しない可能性があるため、静観を心がけましょう。
カブトムシの飼育方法【成虫】
幼虫期と成虫期では、飼育方法が異なります。カブトムシの飼育で特に楽しい時期なので、飼育方法をマスターして夏の思い出をつくりましょう。
飼育環境のつくり方
幼虫から引き続き飼育する場合は、今までの環境に加えて、朽木や樹皮・小枝を用意してあげましょう。これらは足場となり、転倒を防止する役割を果たします。
カブトムシは転倒状態が続くと自力で起き上がれず、弱った結果死ぬこともあるため、安定して動ける足場を設けることが大切です。
同じ理由から、餌台も用意してあげると親切です。転倒を防げるだけでなく、ゼリーがひっくり返ってケース内が汚れるのも防げます。
幼虫は複数匹一緒に飼えますが、成虫になると喧嘩をする可能性があるため、1匹ずつ飼育するのがおすすめです。
餌のやり方
成虫の餌は、昆虫ゼリーを与えておけば問題ありません。昆虫ゼリーは、カブトムシに必要な栄養を考えて作られているため、天然の餌を与えるよりも長生きさせられる可能性があります。
ゼリーの種類によっては、高たんぱくの製品が販売されていることがありますが、これは主に産卵前後のメスの体力回復を目的としています。オスの場合は、基本的に好みのゼリーを与えるだけで十分です。
ゼリーは餌台に置き、腐る前に交換して、ケース内を清潔に保ちましょう。
まとめ
カブトムシの幼虫は、お尻のV字模様の有無でオスとメスの見分けが可能です。観察しにくい場合もありますが、カブトムシの幼虫は集団で生活しているケースも多いため、判別しやすい個体を持ち帰るとよいでしょう。
ハナムグリ・カナブンの幼虫は歩き方で、クワガタの幼虫とは肛門の割れ目で見分けが可能です。
成虫の大きさは、幼虫期の食生活によって決まります。飼育環境をしっかりと整え、大きくて強い成虫に育てましょう。
撮影/矢島慎一