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ダニに刺されるとどうなる?
ダニに刺されると、かゆいだけでなく感染症になってしまう恐れもあります。まずは、ダニに刺されるとどうなるかを知り、ダニ対策の重要性を確認しましょう。
数日から10日間血を吸われる
屋外に生息しているマダニは、蚊と異なり、一度吸着すると数日〜10日間程度と長い時間をかけて血を吸い続けます。血を吸われている最中は、痛みやかゆみを感じにくく、よく観察しないと刺されていることに気付きにくいのも特徴です。
血を吸い終わるといなくなりますが、その後から痛みやかゆみ、熱さなどの症状が現れます。症状が現れるまでに時間がかかる上、患部はあせもにも似ているため、ダニに刺されたかどうかが分かりにくい点も厄介です。
感染症になることもある
ダニがウイルスを保有している場合、刺されたことによって以下の感染症を引き起こす可能性があります。
- 日本紅斑熱
- ライム病
- 回帰熱
- 重症熱性血小板減少症候群 (SFTS)
いずれも発熱や倦怠感、筋肉痛などの症状が現れ、重症化すると呼吸不全を引き起こす病気もあります。
野外にいるダニがウイルスを保有しているケースは少ないものの、治療が遅れると重症化する恐れがあるので、刺されたと分かったら早めに受診しましょう。
出典:ダニからの感染症 重症熱性血小板減少症候群 (SFTS)・日本紅斑熱・つつが虫病・マダニ・ライム病など| 和歌山市感染症情報センター
キャンプに行く前のダニ対策
キャンプでのダニ対策は、出発前から始まります。ここでは、出発前とキャンプ中にできる対策を三つ紹介します。
肌の露出を避ける服装にする
ダニ対策の原則は、肌の露出を避けることです。服は長袖・長ズボン、靴はサンダルは避けて足を完全に覆えるものがベストです。
すき間からダニが侵入する可能性もあるので、Tシャツをタックインしたり、ズボンの裾を靴に入れたりするとより効果がアップします。なお、ナイロンなどの化学繊維は、ダニが比較的付着しにくいといわれています。
また、明るい色の服ならダニに気付きやすいため、白に近い色を着るのもおすすめです。さらに対策をするなら、帽子をかぶったり、タオルを首に巻いたりといった方法もあります。
ダニ対策グッズを使う
ダニを寄せ付けないためには、スプレータイプの忌避剤や、忌避成分が入った洗剤で服を洗うのがおすすめです。ダニよけスプレーには、肌に直接吹きかけるタイプや、服に塗布するタイプがあります。
ダニよけスプレーを選ぶ際は、ダニが嫌がるディート入りの製品を選びましょう。ディートは、血を吸う害虫の血を感知する能力をかく乱させる効果があるため、ダニだけでなくアブやブヨ、ヒルなどの吸血害虫にも効きます。
日常生活でもダニ対策をしたいときや、服の隅々まで忌避成分を浸透させたい場合には、ダニよけ洗剤を使うのもおすすめです。
草むらに肌や服が触れないよう注意する
野生のダニは、草むら・茂みに生息しており、動物や人間の体温・体臭を感知すると付着しようとします。そのため、草むらに入らないことや、着替えを草むらに置かないことが重要です。
特に春から秋にかけては、ダニが活発に活動します。シカやイノシシ、ウサギなどの野生生物にも寄生するため、これらの動物が生息するエリアにはダニがいると思っておくのが賢明です。
キャンプ場を選ぶ際には、平野が多く草むら以外の遊び場があるところを選ぶと、子どもも安全に楽しめるでしょう。
キャンプから帰った後のダニ対策
どれだけ気を付けていても、ダニに刺されてしまったり、ダニが服に付着していたりする可能性はあります。キャンプから帰った後は、以下三つの対策を行いましょう。
明るい場所で確認する
キャンプが終わったら、家の中に入る前にダニが服に付着していないかを確認しましょう。マダニは肉眼でも見えますが、見落とす可能性を考慮して、明るい場所で確認するのがおすすめです。
服にダニが付着していたら、たたいて払ったり、ガムテープを使ったりすると除去できます。ただし、皮膚が刺されている場合は、無理に引き剥がすのはやめましょう。
犬や猫などのペットを連れて行った場合は、ペットの体もチェックし、もしダニが付着していたら目の細かいくしで除去してあげます。
入浴して確認する
ダニに刺されているかどうかは、入浴して確認しましょう。これはキャンプ後だけでなく、キャンプ中も同様です。入浴することで、肌が赤く腫れていたり、かゆみ・痛みがあったりすることに気付きやすくなります。
キャンプ場によってはシャワー施設がなく、ボディシートなどで済ませてしまう人もいますが、ダニ対策の観点では入浴した方が望ましいでしょう。
ただし、入浴しただけでダニは洗い流せないので、あくまで確認ができる程度にとどまります。
服は高温で洗濯する
キャンプで着用した服は、高温で洗濯しましょう。ダニは生命力が高いため、冷たい水で洗うだけでは死滅せず、洗剤に浸されても数日間は生き延びます。
しかし高温には弱く、50℃では30分程度、60℃ですぐに死滅するといわれています。ドラム式洗濯機の乾燥機能や、コインランドリーの乾燥機は、ダニを殺すのに十分な温度を出力可能です。
難しい場合は、洗濯後にアイロンがけをすれば、ダニを退治できるでしょう。ただし、ナイロン製の服は熱に弱いため、洗濯前に除去するなどの工夫が必要です。
ダニに刺されたときの対処法
万が一、ダニに刺されてしまった場合はどうすればよいのでしょうか?ダニに刺されたときの対処法は、吸着してからどれくらい時間がたっているかで変わります。
指でつぶすのは避けて
前提として、ダニに刺されたら病院へ行って除去し、薬を処方してもらうのがベストです。どうしても我慢できない場合は、吸着後それほど時間がたっていなければ、ピンセットで比較的容易に引き剥がせます。
ただし、以下のように除去するのは避けましょう。
- 指でつぶす
- ライターであぶる
指でつぶすと、口器の一部が皮膚に残ったり、ダニの体内にある病原体を取り込んでしまったりする可能性があります。また、ダニは熱に弱いからとライターであぶると、やけどの恐れがあります。
数日たった場合は病院を受診する
マダニは皮膚に吸着すると、セメント物質を出して強くしがみつきます。そのため、刺されてから数日以上たっている場合は、自力では安全に引き剥がしにくくなります。
無理に引き剥がすと、炎症・感染症を引き起こす可能性があるので、病院で取り除いてもらい、薬を処方してもらいましょう。
すでにダニがいなくなっている場合、刺された跡が痛んだりかゆみを感じたりしますが、見た目だけでは他の虫刺されやあせもなどと見分けるのは困難です。ダニに刺された心当たりがあれば、自分で対処するのではなく、病院へ行きましょう。
キャンプにおすすめのダニ退治グッズ
キャンプ前後で使える、おすすめのダニ対策グッズを紹介します。肌・衣服に吹きかけるスプレー剤やダニよけ洗剤、ダニ取り用のピンセットなど幅広くピックアップしました。
アース「サラテクト リッチリッチ30」
ダニの有効成分であるディートを30%配合した、国内でも最高水準の濃度を誇るダニよけスプレーです。濃度が高いため、12才未満の子どもには使えませんが、大人だけのアウトドアシーンにはおすすめできます。
ダニだけでなく、アブやブヨ・ノミ・ツツガムシなどにも効くため、1本あればキャンプでの害虫対策は十分可能です。効果は約5~8時間継続するため、1日1~3回の噴射をすればキャンプを通して効果が続くでしょう。
- 商品名:アース「サラテクト リッチリッチ30」
- 公式サイト:商品はこちら

エステー「ムシューダ ダニよけ」
寝具用のダニよけスプレーです。家の布団やベッドはもちろん、キャンプでは寝袋に使用できます。ダニよけ成分には、天然成分である除虫菊を使用しています。
除虫菊にはピレトリンと呼ばれる殺虫成分が含まれており、古くから殺虫剤や蚊取り線香に使われている、人間や動物にも優しい成分です。合成の殺虫成分では子どもや肌への影響が心配な人でも、安心して使えます。
無香料かつ皮膚刺激テストも行っているので、殺虫剤を使ったのが分からないほどストレスフリーで就寝できるでしょう。
- 商品名:エステー「ムシューダ ダニよけ」
- 公式サイト:商品はこちら

ウエキ「ダニクリン まるごと防ダニ仕上げ剤 Plus」
洗濯の仕上げに使うダニよけ洗剤です。殺虫成分や香料を使っておらず、肌への刺激が心配な人や子どもがいる家庭でも安心して使えるでしょう。医師監修のパッチテストも、クリアしています。
柔軟剤や漂白剤とも一緒に使えるため、いつもの洗濯に加えるだけで最長1カ月間ダニ対策が可能です。キャンプ前に洗濯をすれば、服自体がダニを寄せ付けにくくなり、他のダニ対策やグッズと併用するとより高い効果を期待できます。
- 商品名:ウエキ「ダニクリン まるごと防ダニ仕上げ剤 Plus」
- 公式サイト:商品はこちら

H3D「TickTwister」
ダニ取り用に特化したピンセットです。使い方はピンセットでダニをはさみ、2~3回くるくる回して取るだけです。
通常のピンセットでは、はさんだときにダニを圧迫しやすく、体液が逆流する恐れがあります。しかし、本製品はダニを圧迫しない設計となっており、比較的安全にダニを除去できます。
人間だけでなく動物にも使用でき、フランスでは多くの動物病院に取り入れらているアイテムです。ジップロック形式で保管しやすく、持ち運びも簡単なので、応急処置用として持っておきたいアイテムです。
- 商品名:H3D「TickTwister」
- Amazon:商品はこちら

まとめ

ダニに刺されると、強いかゆみを感じるだけでなく、感染症のリスクもあります。刺された場合は、早めに病院を受診するのが基本です。
キャンプでは、長袖・長ズボンの着用や忌避スプレーの活用、草むらを避けるといった、ダニを寄せ付けない対策が重要です。帰宅後は、肌や衣服にダニが付着していないかを確認し、高温で洗濯をしましょう。
夏は、ダニが活発に動く時期です。万全の対策を取り、安全で楽しいキャンプをしましょう。