
春に咲く身近な花を楽しもう!
春の雑草観察の楽しみとは?
気温が上がると、雑草は一気に大きく育ちます。以前に紹介したロゼット(バラの花弁のように葉が並んでいる)のかたちが変化したり、何も生えていなかった畑が、雑草の緑色の絨毯で覆われます。
通勤や通学でいつも通る道や、散歩をするときにはぜひ、足元にも目を向けて雑草の変化を観察してみてください。
その際は、上から見下ろすよりも雑草の目線に合わせると雑草の世界に入り込めます。
リアルな季節感を知る楽しみ

ミチタネツケバナ
雑草は温度や、光にすごく敏感な植物です。例えば、稲の苗をつくる際、種子を水に漬けますが、タネツケバナ(種漬花)という雑草の開花が作業開始の合図となっていました。
現代では、温度計や詳しい天気予報がありますが、昔の人々はタネツケバナの性質を農業に生かしていました。
どういった場所を探すと良いか?

ハコベの芽生え
普段の生活の中で、実は多くの雑草を目にしているはずですが、意識していないと記憶には残りません。なので、雑草を意識して周囲を見れば、たくさんの雑草が浮かび上がってきます。
冬の時期は、日当りのよいところを重点的に探してみてください。よく見ると、小さな雑草が密集するように生えています。
その他にも、風を避けることができる建物の下や、周囲よりも温度が高い落葉やコンクリートの隙間にもよく雑草が生えています。
群生を楽しむ

セイヨウタンポポ
普通は、色々な雑草が混ざり合って育っていまですが、稀に同じ雑草が一面を覆うことがあります。特に春先は、絨毯のように広がる雑草の群生を楽しむことができます。
野の花をスマホで撮影してみよう
最近のスマホは高画質なので、気になった雑草を撮影しておけば、後でゆっくり調べることができます。
あとで調べるときに重宝する写真の撮り方

ホトケノザ
雑草を撮影する場合は、全体の写真だけでなく、花や葉を拡大した写真があると後で名前を調べやすくなります。特に、花の色で雑草の名前を絞り込むことができるので、ぜひ撮影しておいてください。
魅力を伝える野の花撮影のコツ
雑草が一面に広がる様子や、花のアップ写真も魅力的ですが、石垣や、樹木を保護する金属蓋の隙間などに生える姿は、いかにも雑草という感じで面白い写真になります。
ゲーム感覚で、意外な場所に生えている雑草探しをしてみませんか?
公園や道端でよく見かける春の野草を深掘り
ここでは、ほぼ全国で見ることができる春の代表的な雑草を紹介します。ちなみに、春の雑草の多くは11月や12月頃から芽を出しており、小さいまま冬を越しています。
ホトケノザの特徴と観察のポイント

シロバナホトケノザ
「ほとけのざ」と聞くと、春の七草を思い浮かべるかもしれませんが、現在、ホトケノザと呼ばれている雑草とは別物です。春の七草として食べられている「ほとけのざ」は、キク科のコオニタビラコという雑草を指します。
ホトケノザはシソ科で、ピンクの花を咲かせますが、中には白い花を咲かせるものがあり、シロバナホトケノザと呼ばれています。白花は珍しいので、ぜひ探してみてください!
白花はまとまって生えていることが多いので、1本見つければ、その周囲でも見つかります。
また、ホトケノザは、街路樹の下や建物の周辺などにも生えているので、街中でもすぐに見つかります。関東では、日当りのいい場所だと1月頃から花を咲かせるので、花を目印にすると探しやすくなります。
オオイヌノフグリの特徴と観察ポイント

オオイヌノフグリ
ちょっと変な名前のオオイヌノフグリですが、フグリは陰嚢のことです。果実のかたちが犬の陰嚢に見えたということで名付けられたのですが、ちょっとかわいそうな気もします。
今から100年以上前に海外からやってきた外来種です。花の色はコバルトブルーで、とてもきれいです。
また、オオイヌノフグリと似ているイヌノフグリという雑草もありますが、こちらは絶滅危惧種に指定されているのでレア雑草です。ちなみに、イヌノフグリの花は淡いピンク色をしています。
カラスノエンドウの特徴と観察ポイント

カラスノエンドウ
正式な和名はヤハズエンドウですが、カラスノエンドウという名前がよく使われます。成長すると、フェンスに絡んだりするつる性の雑草です。エンドウマメよりもだいぶ小型ですが、見た目がよく似ています。
カラスノエンドウはピンクの花を咲かせますが、中には白花も存在します。
ヒメオドリコソウの特徴と観察ポイント

ヒメオドリコソウ
ヒメオドリコソウは100年以上前に帰化した雑草で、葉が紫色をしているので、とてもよく目立ちます。空き地や畑、道端に生えています。
春の野草観察に役立つ図鑑・アプリ・WEBサイト
ここでは、春の雑草探しに便利な方法をご紹介します。
おすすめの図鑑
書店には多くの図鑑が並んでいるのでどれにするか悩むと思いますが、まずは、できるだけ薄くて持ち運びしやすいものを選ぶと便利です。普段の生活の中でよく見る雑草の種類は限られているので、最初は1冊あれば大丈夫です。
例えば、全国農村教育協会から出版されている「ミニ雑草図鑑 雑草の見分けかた」や、小学館の「花と葉で見わける野草」がおすすめですが、まずは書店でお気に入りの1冊を見つけてください!




監修/近田文弘 写真/亀田龍吉 編/文/有沢重雄
花と葉で見わける野草
似ている野草の違いがわかる!白バック写真で、花と葉で見わける野草図鑑。日本に昔からある野草から、まだ多くの図鑑に掲載されていない、最近急増している最新の帰化植物まで、身近な約330種を掲載。
おすすめのアプリ
何度かご紹介していますが、やはりGoogleレンズが一番のおすすめです。写真さえあればすぐに検索することができます。
その他にも、日本農薬株式会社が開発した「レイミーのAI病害虫雑草診断」というスマートフォン用のアプリでは、文字通り作物の害虫や病気、そして雑草を調べることができます。
以前、開発した企業の方に話を聞いたところ、90%近い精度があるようですが、写真の角度や光の具合で判定が変わることがあるそうです。なので、写真を何枚か撮影しておけば、精度を上げることができそうです。
おすすめのWEBサイト
もし、X(旧Twitter)をやっているようならば、撮影した雑草の写真を掲載して名前を尋ねてみてください。ネットの向う側には雑草の名前にもの凄く詳しい方達がたくさんいるので、丁寧に教えてくれます。
それから、Yahoo! JAPANの画像検索も便利です!コツは検索ワードの入れ方で、例えば「雑草 黄色い花 2月」のように、情報をできるだけ詳しく入れると画像を見ながら絞り込むことができます。