- Text
- Source
植物珍百景 イラスト・写真・文 おくやまひさし
ソテツの英名はCycas revoluta
ソテツ科の常緑低木。葉は羽状複葉で、幹の最上部に束生する。雌雄異株。雌花は大胞子葉が多数重なって球形、雄花は小胞子葉が多数らせん状に並んで紡錘形をし、受精は精子による。
九州と沖縄に自生するが、庭木として各地で見ることができる。
ソテツはソテツ科の常緑低木で、雌雄異株の木だ。花期は6~8月ごろ。
太い茎の上部に葉を広げ、中心に花をつける。雄花は太い棒状に立ち上がり、雌花は頂部に広がる葉の中心部にかたまる。
大型の複葉の先は鋭く尖り、触れると痛い。秋から冬にかけて、実は朱赤色に熟す。
ソテツの実には毒性の配糖体サイカシンなどがあり、体内に入ると嘔吐やめまい、呼吸困難が生じる。
サイカシンは水にさらすことで除去でき、サイカシンを抜いたデンプンは食用にできるため、主に救荒植物として栽培されたが、今は樹形が面白いため、観賞用に広く植えられている。
秋田生まれの私は、東京へ来て初めてソテツを見た。九州と沖縄には自生するというが、いかにも南国の木らしいと思った。
太い幹の頂部だけに0.5~2mにもなる羽状複葉を広げる、何とも不思議な木だ。
秋から冬にかけて熟れる種子は、2~4㎝ほどの平らな卵型で赤く熟れるが、割ると中は真っ白。
この種子は蘇鉄実(ソテツジツ)と呼ばれる生薬だが、専門医の処方が必要だ。不十分な毒抜きによる食用で、多数の中毒者が出たこともあるという。
伊豆の友人の家にはソテツが2本あって、実がなっているというので送ってもらった。
赤い実を割ると中が真っ白。いかにも美味しそうだが、毒性のサイカシンを除去しないといけないからしばらく水にさらすことにした。サイカシンはよく加熱することでも除去できるという。
さて……、試食するにはなんだか勇気がいるなぁ。そうそう、ソテツは幹にも毒があるらしいぞ。

大きな葉を広げるソテツの木。

棒状に立ち上がる雄花。

丸くまとまってつく雌花。

種子は朱赤色に熟れる。
おくやまひさし プロフィール
画家・写真家・ナチュラリスト。
1937年、秋田県横手市生まれ。自然や植物に親しむ幼少期を過ごす。写真技術を独学で学んだのち、日本各地で撮影や自然の観察を開始。以降、イラストレーター、写真家として図鑑や写真集、書籍を数多く出版。
(BE-PAL 2026年5月号より)




