カリフォルニアで絶滅したはずのオオカミが1世紀ぶりに復活した理由とは?生態も【動物ドッキリクイズ・その12】
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    2024.11.01

    カリフォルニアで絶滅したはずのオオカミが1世紀ぶりに復活した理由とは?生態も【動物ドッキリクイズ・その12】

    カリフォルニアで絶滅したはずのオオカミが1世紀ぶりに復活した理由とは?生態も【動物ドッキリクイズ・その12】
    かつてオオカミは北米大陸に広く分布していましたが、徐々にその生息域は狭まっていき、少なくとも1920年代までにはカリフォルニアでは絶滅したと信じられていました。理由は人間社会との確執です。

    まず人間がオオカミの主食となる鹿など野生の草食動物を奪い、やむなくオオカミは生存のために牛や羊といった家畜を襲うようになりました。すると人間はオオカミを「害獣」とみなし、見かけ次第に駆逐するようになったのです。

    『シートン動物記』中の名作『狼王ロボ』も、シートンが何頭もの牛を繰り返し襲ったロボの捕獲を牧場主から依頼された経緯から物語が始まります。舞台はカリフォルニアではありませんが、そこから遠くないニューメキシコ州。時代は19世紀の終盤です。

    1924年に最後の1頭がカリフォルニア州北部のラッセン郡で殺されて以来、ほぼ1世紀に渡って同州内ではオオカミが発見されることはありませんでした。ちなみに日本でニッポンオオカミが最後に発見された頃とほぼ同時期です。

    しかし、1973年に米国連邦議会で制定された「絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律」(Endangered Species Act of 1973)を契機として、イエローストーン国立公園でオオカミを再導入する試みが開始され、遠く離れたカリフォルニア州にも変化が訪れようとしています。

    まず、2011年に1頭のオオカミがカリフォルニア州北部に現れたことが大きな話題になりました。この個体はオレゴン州から1,000マイル(約1,600キロ)ほど移動したと考えられていて、OR-7と名付けられました。ORはオレゴン州(Oregon)の略称です。

    その後も何回かカリフォルニア州内でオオカミの発見例が続きました。2023年にロサンゼルスのすぐ近くの山中にまで南下してきた、しかも群れを形成していたということで、確実にオオカミの存在が生態系に復活しつつあることを示しています。

    アメリカ・カリフォルニア州ではキャンプ場に出た熊を追い払わない?【動物ドッキリクイズ・その10】

    ということで、オオカミにまつわるクイズ4問です!

    【第1問】群れのリーダーになるのは?

    a) 賢いオス
    b) 女王的なメス
    c) 強いオス
    d) 大きいオス

    日本語で「一匹狼」や「はぐれ狼」という言葉があるように、英語でも同じように”Lone wolf”という表現があります。

    洋の東西を問わず、オオカミには孤独のイメージがつきまとうようなのですが、実際には群れを成す社会的な動物です。雄雌のカップルとその子どもを含む数家族単位で行動を共にします。その群れを率いるリーダーにはどのような個性と属性をもったオオカミがなるのでしょうか?

    “gray wolf” by U.S. Fish and Wildlife Service – Midwest Region is licensed under CC BY 2.0.

    正解は「a)賢いオス」です。シートンの「狼王ロボ」は人間が仕掛けた罠を嘲笑うほどの知性をもったリーダーでした。けっして大きくて強いだけのオスではありません。ジャック・ロンドンの名作『野性の呼び声』も、元々は飼い犬だったバックがその知恵と勇気を活かしてオオカミの群れを率いるようになる物語です。

    【第2問】仲間とコミュニケーションをとる方法は?

    a) 遠吠え
    b) 表情
    c) ボディ・ランゲージ
    d) 上のすべて

    集団行動をとる以上、仲間とのコミュニケーションは必須なはずです。役割分担を含む協力体制を作るための高度な表現が必要になることは自明の理だからです。オオカミたちはどのような方法で意思を伝達しあっているのでしょうか?

    “Mexican Wolf Pack” by Eric Kilby is licensed under CC BY-SA 2.0.

    正解は「d) 上のすべて」です。オオカミと言えば遠吠えを思い浮かべますが、それだけではないようです。きっとオオカミたちの間には様々なコミュニケーション方法が発達しているのでしょう。

    【第3問】1日にどれくらい移動できる?

    a) 1㎞以内
    b) 1~5㎞
    c)  10~30㎞
    d)  30㎞以上

    オオカミは肉食動物です。獲物を追って歩き続けることは彼らのネイチャーです。群れごとの縄張り意識も強いので、自分たちのテリトリーを求めて長い旅をすることもあります。その移動距離はどのくらいなのでしょうか?

    “Gray Wolf in Spring” by Eric Kilby is licensed under CC BY-SA 2.0.

    正解は「d) 30㎞以上」です。OR-7は群れからはぐれて、たった一匹でオレゴン州からカリフォルニア州までやってきました。

    【第4問】狩りのときにどうやって獲物を見つける?

    a)  視覚
    b)  聴覚
    c)  嗅覚
    d)  味覚

    オオカミは集団で狩りをします。北米大陸においてはエルクや鹿が主な獲物です。彼らはどのように獲物を見つけるのでしょうか?

    “Gray wolf in Denali National Park” by Matt-Zimmerman is licensed under CC BY 2.0.

    正解は「c) 嗅覚 」です。オオカミは何キロも離れた獲物の匂いを嗅ぐことができるそうです。

    逆に言えば、オオカミを追跡するハンターは自分の匂いをオオカミに嗅ぎつけられないよう、常に風上に立たないよう細心の注意を払わないといけない、という話をどこかで読んだ記憶があります。ヘミングウェイだったような気がするのですが、「ゴルゴ13」だったかもしれません。

    オオカミと人間は共存できるか

    カリフォルニア州魚類野生生物局(California Department of Fish and Wildlife, 略称CDFW)は2024年5月時点の発表で、州内にオオカミの群れを7つ確認していると明らかにしました。

    つい最近ではタホ湖南岸から車で30分ほど離れたHope Valley付近で4頭のオオカミを目撃したという複数の通報がCDFWに寄せられ、現在調査中とのことです。

    オオカミ発見を報じる記事:
    https://www.sfgate.com/renotahoe/article/4-wolves-reported-sighting-hope-valley-lake-tahoe-19829369.php  

    どこかで聞いたことがある地名だと思い出してくれると嬉しいのですが、私がほんの数か月前にキャンプをした、まさにその場所なのです。オオカミはすぐそこまで迫ってきているのかもしれません。

    アメリカ有数の風光明媚なリゾート地「タホ湖」。その魅力をキャンプで堪能してきました

    いったんは絶滅したオオカミが戻ってきた。都会に住む私にとっては素晴らしいニュースだと思うのですが、家畜やペットが襲われる危険に怯える人たちもいることは容易に想像がつきます。

    かつてオオカミを絶滅に追い込んでしまってから1世紀以上を過ぎた今、私たち人間は今度こそ野生動物との共存方法を見出せるほど進化しているでしょうか。

    カリフォルニア州魚類野生生物局(CDFW)公式ウェブサイト内のオオカミに関するセクション:
    https://wildlife.ca.gov/Conservation/Mammals/Gray-Wolf

    私が書きました!
    米国在住ライター(海外書き人クラブ)
    角谷剛
    日本生まれ米国在住。米国で高校、日本で大学を卒業し、日米両国でIT系会社員生活を25年過ごしたのちに、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。日本のメディア多数で執筆。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。

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