シェルパ斉藤の新刊は全国145軒の山小屋滞在記! バスで行ける乗鞍の山小屋2選を特別に紹介
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    2024.07.17

    シェルパ斉藤の新刊は全国145軒の山小屋滞在記! バスで行ける乗鞍の山小屋2選を特別に紹介

    シェルパ斉藤の新刊は全国145軒の山小屋滞在記! バスで行ける乗鞍の山小屋2選を特別に紹介
    シェルパ斉藤が山岳雑誌で13年連載した山小屋滞在記が、このたび一冊の本になった。今回は発売を記念して、BE-PAL.NETの読者におすすめの山小屋を2軒紹介。

    BE-PAL8月号での紹介記事に加え、Web用にもおすすめの山小屋をセレクト

    BE-PAL8月号の特集記事で「シェルパ斉藤が厳選 気楽に行ける涼しい山小屋」と題したページを組んで、7軒の山小屋を紹介した。

    選んだ山小屋は次の7軒だ。

    ☆北海道 大雪山の大雪高原山荘(1260m) 

    ☆長野県 志賀高原の横手山頂ヒュッテ(2307m)

    ☆長野県 八ヶ岳の山びこ荘(2440m)

    ☆長野県 上高地の岳沢小屋(2170m)

    ☆長野県 木曽駒ヶ岳の西駒山荘(2685m)

    ☆岐阜県 御嶽山の二の池ヒュッテ(2900m)

    ☆徳島県 剣山の剣山頂上ヒュッテ(1920m)

    上高地を眼下に望む、景色抜群の岳沢小屋。上高地バスターミナルから整備されたトレイルを歩いて約2時間30分で行ける。

    どの山小屋も標高2000mレベルの高山にあって真夏でも涼しく(大雪高原山荘は標高1260mだが、北海道だから本州の2000m程度に匹敵する)、車道が通じていたり、ロープウェイなどがあったりして無理なく行ける。オンリーワンの個性的な山小屋であることもセレクトの条件に加えた。

    誌面の都合と地域バランスを考慮したため、7軒のみの掲載となったが、真夏でも涼しくて気楽に行ける個性的な山小屋は全国にたくさんある。BE-PAL.NETの記事ではバスで行ける乗鞍の山小屋を2軒紹介しよう。

    マイカー規制の乗鞍スカイラインと乗鞍エコーラインだが、1時間に1本程度バスが運行している。標高2702mの畳平バスターミナルは日本一高い場所にあるバス停だ。

    畳平から乗鞍岳山頂の剣ヶ峰までのコースタイムは1時間25分。小学生でも登頂できる日本百名山である。

    消灯時間なし! 冷泉小屋で大人の時間を満喫

    冷泉小屋はあのサラリーマン転覆隊の村田淳一さんが営む山小屋だ。村田さんはクラウドファンディングで寄付を集め、休業状態だった冷泉小屋の再生プロジェクトに着手した。 センスの良さだろう。リニューアルオープンした冷泉小屋は欧州のオーベルジュのように洗練されている。リノベーションされた室内は新築のような仕上がりなのに、以前の冷泉小屋で使われていた梁などの構造材が残っていて歴史も感じさせる。そのバランスが秀逸だ。 ダブルベッドやセミダブルベッド、ツインベッドの個室以外に相部屋のドミトリーもあり、各自のスタイルに合わせて部屋をチョイスできる。

    その名も「冷泉小屋」というバス停があり、小屋の前にバスが停まる。

    明るい食堂の窓から雄大な景色が望める。調度品や家具も部屋の雰囲気に合っている。

    ツインの個室。清潔なシーツが用意されていて、いい意味で山小屋らしさを感じない。

    ドミトリーもカーテンがあってプライバシーが保たれる。ベッドに照明はなく、バッテリー式ライトが装備されている。

    冷泉小屋のライブラリー。隠れ場所的なスペースが部屋の隅にある。その遊び心がいい。

    冷泉小屋は夕食のスタイルが一般的な山小屋とは異なる。メニューから選ぶアラカルト方式で、料理の種類が多く、都会のレストラン並みの食事が楽しめる。クラフトビールをはじめ、ワインやウイスキーの種類も多く、優雅なディナータイムが過ごせる。

    消灯時間はない。「夜の時間を楽しめるバルのような空間にしたかった」と語る村田さんの思いどおり、従来の山小屋では体験できない大人の時間を満喫できる。

    冷泉小屋の電力はオフグリッド。ポータブル電源でまかなっていて、夜はこんな雰囲気になる。

    何を頼んでもハズレがないメニュー。ワインやビールに合う食事がそろっている。

    管理人のトークもお楽しみ! 乗鞍白雲荘で山の奥深さを知る

    乗鞍白雲荘は畳平のバスターミナルから歩いてほんの23分の場所にある。明るく美しい木材で囲まれた建物内部は清潔感があり、受付の壁には乗鞍岳の自然や文化などを紹介した手書きの案内図なども貼られている。小学生でも理解できるやさしい言葉による解説だ。快適なだけでなく、宿泊者を温かい気持ちにさせてくれる。

    ハイマツに囲まれた建物の背後に魔王岳がそびえる。リゾートのような立地だ。

    明るい食堂の隅にはクラフト作家でもあるスタッフの手作り商品が販売されている。

    乗鞍白雲荘は風呂がある(冷泉小屋にも風呂あり)。ヒノキの香りが心地いい湯船だ。

    夕食も豪華だ。A5ランクの飛騨牛を使ったすきやきが食べられるのである。しかも食事中に管理人の小林さんが滑舌のいいトークで乗鞍を解説する。

    「乗鞍スカイラインは、戦前に日本軍が山岳航空実験所を建設する目的で軍用道路をつくったことにはじまります。あの鉄人28号は乗鞍研究所で開発した設定になっています」といった雑学や「乗鞍ではホシガラスもよく見られますが、ホシガラスは学習能力が高くて、ハイマツの実がどこにどれだけ成ったか記憶してます」といった話まで、わかりやすく説明してくれる。

    さらに各テーブルをまわって、各自が興味ある対象に関する話を掘り下げる。ここは花や鳥、星、写真などを目的に来る宿泊者が多いそうだが、小林さんはどのジャンルにも精通しており、どんな質問に対しても明確に回答する。山の奥深さが実感できる山小屋だ。

    極上の牛肉が標高2700mを超える山小屋で食べられるとは。道路が通じている山小屋の利点が活かされた食事内容だ。

    シェルパ斉藤、渾身の新刊は山小屋の内部や間取りがよくわかるイラスト付き!

    最後に新刊の案内を。

    テント泊が得意な僕だけど、じつは数多くの山小屋にも泊まっている。山岳雑誌PEAKSで山小屋の連載を13年間続けたおかげで、全国145軒もの山小屋を泊まり歩いた。

    その山小屋連載をまとめた単行本『シェルパ斉藤の山小屋24時間滞在記』が717日に発売される。300ページを超える新刊のウリは、全国145軒の山小屋の間取りを描いたイラストだ。

    山の地形や自然環境に合わせて建てられた山小屋は1軒として同じ建物が存在しない。それぞれに工夫と知恵がある。その内部や間取りをイラストで描いたらおもしろいはず、との思いから、同行したイラストレーターの神田めぐみさんが秀逸の図解イラスト145点を仕上げてくれた。

    一例として、今回紹介した冷泉小屋のイラストをお見せしよう。

    山小屋は登頂するための宿泊施設ではあるけれど、僕は非日常を体感する旅の宿として全国の山小屋を巡った。そして建物内部を隅々まで見学して、主人や小屋番たちの話にじっくり耳を傾けた。普通に泊まるのではなく、山小屋の世界にどっぷり浸かった滞在記であり、145軒の山小屋物語でもある。

    未経験の読者は「こんな山小屋があるのか」と憧れを抱くだろうし、泊まった山小屋を見て「懐かしい」と山の思い出が蘇る読者もいることだろう。

    山を愛するすべての人にこの本を捧げたい。

    『シェルパ斉藤の山小屋24時間滞在記』

    山と溪谷社 2,750円(税込み)

    北海道から九州まで、全国145軒の山小屋に24時間滞在したシェルパ斉藤の最新刊。登頂するための宿泊施設ではなく、非日常を味わえる旅の宿として全国各地の山小屋を描写している。個性的かつユニークな建物である山小屋の立体的な間取りイラストもオールカラーで全軒収録。山小屋大図鑑といえるほどの充実ぶりだ。

    山と渓谷社 公式ウェブサイト 新刊紹介ページ

     

    シェルパ斉藤
    私が書きました!
    紀行作家・バックパッカー
    シェルパ斉藤
    1961年生まれ。揚子江の川旅を掲載してもらおうと編集長へ送った手紙がきっかけで『BE-PAL』誌上でデビュー。その後、1990年に東海自然歩道を踏破する紀行文を連載して人気作家に。1995年に八ヶ岳の麓に移住 し、自らの手で家を作り、火を中心とした自己完結型の田舎暮らしを楽しむ。『BE-PAL』で「シェルパ斉藤の旅の自由型」を連載中。『シェルパ斉藤の行きあたりばっ旅』ほか著書多数。歩く旅を1冊にまとめた『シェルパ斉藤の遊歩見聞録』(小学館)には、山、島、村、東海自然歩道などの旅や、犬と歩いたロングトレイルの旅を収録。

     

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