「江戸時代最大の乱」に思いを馳せながら島原半島の海岸線をサイクリング | 日本の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2024.07.10

    「江戸時代最大の乱」に思いを馳せながら島原半島の海岸線をサイクリング

    江戸時代における最大の内乱とされる「島原・天草の乱」。約3万7,000人の一揆勢が原城に立て籠もり、10万人を超える幕府軍を相手に約3か月間の壮烈な攻城戦が行われたそうです。

    子どもの頃に日本の歴史の学習漫画を愛読していた私の中では、日本史でもっとも気にかかる事件です。岬に面した原城に立て籠もる一揆勢と攻めあぐねる幕府軍の絵がなぜか今でも脳裏に焼き付いています。
    歴史上の○○の「役」とか「戦い」と呼ばれる大きな出来事よりも、妙に「乱」とか「変」とかに惹かれるマイナー志向のせいでしょうか。

    その原城跡を訪ねてみることにしました。乱の後にこの城は徹底的に破却されましたが、その遺構が現在でも島原半島の南端近くに残っています。国の史跡文化財に指定されていて、2018年に世界遺産登録が決まった「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」のひとつでもあります。

    島原城から原城跡までの海岸線約30㎞、プラスちょっと迷い道

    悲劇の歴史を伝える遺構

    原城跡入口。ここから城郭広場までは1㎞ほどの坂道を登る。

    原城への公共交通によるアクセスはさほど便利とは言えません。付近に鉄道の駅はなく、もっとも近い島原駅から30㎞ほど離れています。そこからはバスに乗ってほぼ1時間なのですが、バス停からもさらに徒歩15分とあります(*1)。

    この原城跡へ、私はあえて島原駅からレンタサイクルで行ってみることにしました。安易にバスで運ばれるのではなく、たとえほんの少しでも肉体的な苦痛を味わうことで、強大な政府軍を相手の絶望的な戦いに殉じた反乱者たちを偲べるのではないかと思ったからです。といいつつ、私はこれくらいの距離を旅するとき、可能な限りは乗り物より自転車や徒歩を選んでいます。時刻表を気にすることなく、好きなときに好きなところで立ち止まることができますので。

    出発したのは島原駅。すぐ目の前に白亜の天守閣が聳える島原城が見えます。駅構内にある観光案内所で電動アシスト自転車を借り出し、まずは島原城の周囲を巡り、すぐ近くにある武家屋敷町も覗いてみました。このふたつは島原を訪れる人の多くが足を止める有名観光スポットです。島原駅周辺にはホテルも何軒かあります。

    島原城。

    レンタサイクルを貸してくれる人たちも、きっと利用者はその周辺を見て回ることを想定しているのでしょうが、私のささやかなサイクリング旅行はここからが本番でした。

    地図で見ると、島原城も原城跡も島原半島の海岸線を一周する国道251号線近くにあります。半島の東側にある島原城から南端に近い原城跡までは、この国道を道なりに南下するだけのシンプルな道のりです。左側に有明海、右側に雲仙の山を眺めながらのサイクリングになります(帰りは逆)。スマホのナビゲーションなどを使わなくても、道に迷うことはないはずでした。

    ところがと言うべきか、やっぱりと言うべきか、予想した通りには物事は進まず、私はどこかで道を間違えていました。ふと気がつくと、すぐ近くにあるはずの海岸線が遠く見えなくなり、前方には登り坂がどんどん険しくなってきていました。どうやら半島中央の雲仙岳へ向かう道に入り込んでしまったようです。

    グーグルマップのスクリーンショット。道に迷うことなどありえない、はずだった。

    海の方向に長い坂を下り、めでたく軌道修正に成功すると、3時間後くらいには原城跡に到着しました。少し遠回りをしましたが、これくらいならトラブルとも呼べるほどのものでもなく、あえて言うなら旅のスパイスです。

    原城跡遠景。

    前述しましたように、原城は一揆が鎮圧された後、2度と立ち上がれないように幕府の手によって破壊されました。現在の史跡には当時の建物は何も残っていません。広場に建つ十字架も天草四郎像も、ずっと後世になって作られたものです。

    それでも、他の高名な城によくあるようなコンクリート製の天守閣や記念館などはここにはなく、崩れた石垣と草の原っぱがそのままのように広がっています。

    海を背にした城郭広場は断崖絶壁の上にあり、前方に開けた斜面はかなりの傾斜です。遠くには雲仙岳が見えます。この地形を眺めているだけでも、さぞかし難攻不落だっただろうなあと想像力を働かせることができました。

    海側からみた原城跡。

    原城が陥落した後、天草四郎を含む一揆勢のことごとくは虐殺されたそうです。正確な数字は不明ですが、平成になってからの発掘調査では大量の人骨が地中から発見されたとのことです。

    そんな悲しい歴史があったことが信じられないような、青い海と緑の草原が織りなすコントラストが美しい風景を生み出しています。

    原城跡前方。遠くに見えるのが雲仙岳。

    松尾芭蕉の名句「夏草や 兵どもが 夢の跡」は奥州・平泉で詠んだものですが、私がそのときに抱いた心情もまさにその通りでした。それも城跡に過剰な観光化がなされていないせいでしょう。もしそこに復元した城や土産物屋などがあったなら、きっとそんな気持ちにはならなかったと思います。

    もっとも、この地形を使って、城郭広場をゴールにすれば、最後の坂道をハイライトにしたマラソンコースができるな。名付けて「島原のラン」・・・・・ なんて不謹慎なことも頭に浮かんだのですが、馬鹿は生まれつきなので仕方ありません。

    何はともあれ、原城跡にあえて余計なものを足さない(ゼロではありませんが)ことは素晴らしい見識だと思います。アクセスが不便なせいもあるでしょうが、長崎市内の観光スポットに比べると訪れる観光客の数もかなり少ないようでした。旅に賑やかさよりも静けさを求める人にはおススメです。 

    (*1)ながさき旅ネット: 原城跡 https://www.nagasaki-tabinet.com/junrei/558

    私が書きました!
    米国在住ライター(海外書き人クラブ)
    角谷剛
    日本生まれ米国在住。米国で高校、日本で大学を卒業し、日米両国でIT系会社員生活を25年過ごしたのちに、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。日本のメディア多数で執筆。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。

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