
今回は、家族での一泊二日の宿泊体験を通して、その進化した魅力をたっぷりレポートします。
自然に包まれる温泉リゾートが進化!

京都・るり渓温泉は、京阪神から車で約1時間。るり渓のハイキングコースである標高791mの深山(みやま)からは、360度パノラマで広がる眺望や、渓流沿いの散策も楽しめ、豊かな環境にあります。
2002年の開業から23年目を迎えた2025年4月24日、同施設は「ASOBIYUKU(あそびゆく)」としてリニューアルオープンしました。その名の通り、“遊びながら癒される場所”を目指し、大自然・アクティビティ・温泉の魅力を融合させた、新しい複合型リゾートへと生まれ変わったのです。
私たち家族にとって、るり渓は何度も訪れている馴染み深い場所。宿泊ではグランピングを一度体験し、日帰りでの利用にいたっては数えきれないほど。特に雨の日など、「今日は外で遊べないな…」というときには、必ず候補に挙がるお出かけ先です。
なぜなら、室内に温泉やプール、漫画コーナーがあり、屋内だけでも一日中楽しめたからです。ただ、その分、外遊びの印象はほとんどありませんでした。
このるり渓が、今回のリニューアルで外遊びのエリアを大幅に拡充。さらに、室内プレイエリアにはダーツやビリヤードといった大人向けの設備に加え、アルコールも楽しめるドリンクサービスが導入されたとのこと。これはもう行くしかない!と、私たちは家族で一泊二日の旅に出かけました。
この記事では、リニューアルした「ASOBIYUKU」を家族の視点から体験レポート。バンガロータイプの宿泊棟に始まり、BBQ、遊び場、温泉、夜のイルミネーション、渓流散歩まで、大人も子どももたっぷり満喫した、癒しと冒険の2日間をお届けします。
【DAY1】自然と遊びを満喫する1日
■ チェックインとバンガローへ

チェックインは14時からですが、私たちは少し早めに到着しました。フロントで名前を伝えると、温泉やプールで使えるICチップ付きのカードを受け取ることができ、チェックイン前でも館内を自由に利用できるのが嬉しいポイントです。

今回は、2022年11月に宿泊したドーム型グランピングとは異なり、バンガロータイプのお部屋に滞在しました。ドーム型は見た目の可愛らしさと非日常感が魅力でしたが、今回のバンガローは木の温もりが感じられる落ち着いた空間。広さもしっかりあり、ファミリーでゆったり過ごせる設計です。

室内には冷暖房や冷蔵庫、ポット、アメニティ類までしっかり揃っていて、「手ぶらで来ても大丈夫」と感じる快適さ。娘も「ここに住めたらいいのに〜」と大満足の様子でした。外には各棟専用のBBQセットとテーブルが設置されており、自然の風が心地よく吹き抜けます。これから始まる滞在への期待もじわじわと高まりました。
■ 遊び尽くせる!多彩なアクティビティ

今回のリニューアルの目玉ともいえるのが、遊びのエリアゾーン。まず子どもたちが目を輝かせて駆け出していったのは、広大なプレイングフィールド。ここには、ボルダリング、アーチェリー、ゴールキック、グローブとボール、的当てゲームなど、約50種類ものアクティビティがずらり。どれも無料で自由に楽しめるという太っ腹ぶりに、親の方が驚かされます。

最初は様子を見ていた大人たちも、いつの間にか子どもと一緒になってボールを投げたり、的に挑戦したり。特にアーチェリーやゴールキックのコーナーでは、子どもよりも本気になって楽しむお父さんの姿もちらほら。世代を問わず“遊び心”を呼び覚ます仕掛けが、至るところにあるのです。
私もアーチェリーに挑戦しましたが、見ているより難しく、なかなか矢が飛びませんでした。隣で男の子が上手に飛ばすと、周りから自然に歓声も上がり、また自分も練習してみようという意欲に駆られます。


子どもたちは遊具を見つけるたびに次々とチャレンジし、飽きる暇もなく動き回っていました。大人がブランコに座るとロープがたわみ、子どもからブーイングをくらったり、重すぎて地面に着きそうになり、みんなで笑ったりと、いつもの公園とは違う体験でした。

林を抜けると、ネットアスレチックやふわふわドームといった大型遊具も設置されており、どーんとした存在感で子どもたちの心をわしづかみに。高低差や揺れを楽しみながら、思いきり体を使って遊べるため、子どもたちは汗びっしょりになりながら夢中で飛び跳ねていました。
娘も「ここ、夢の国なの?」と言いながら、飽きることなく駆け回っていました。

そして何よりありがたかったのは、遊具の合間に設けられた親向けの休憩スペース。ベンチや日よけ付きのテーブルが随所に配置されており、子どもが自分のペースで遊んでいる間、親はゆったり腰を下ろして見守ることができます。飲み物やおやつを持参していれば、小さなピクニック気分も味わえますね。
遊び疲れた子どもたちは親のもとへ戻ってきて、水分補給をし、おやつをつまんで、また全力で遊びに走っていく――そんな理想的な循環が、自然に生まれていました。子どもは自由に、大人は穏やかに。それぞれが心地よく過ごせる空間づくりに、「ASOBIYUKU」の本気度を感じました。
■ 大人も夢中になる秘密基地「ウッドマンラウンジ」

子どもたちが外で思いきり遊ぶ一方で、大人にも“自分時間”を楽しめる場所があります。それが、リニューアルで誕生した「ウッドマンラウンジ」です。
チェックイン時に宿泊者には専用の番号が渡され、入り口にある端末に入力すると、まるで秘密基地のように静かにドアが開きます。中に一歩足を踏み入れると、落ち着いた照明に包まれた大人の空間が広がり、ワクワク感とリラックスが共存する不思議な雰囲気に包まれます。
営業時間は11:00〜23:00まで。宿泊者は無料で利用でき、日帰りの方も料金を支払えば入場可能。誰でも気軽に楽しめる“大人の遊び場”です。
私たちは夫婦でビリヤードに挑戦。どちらも初心者ですが、普段と違う遊びに思わず夢中になりました。ラウンジ内では、親子や友人同士で楽しむ姿も見られます。
そして特に印象的だったのは、70代ほどと思われる男女グループ。ゆったりとしたソファに腰掛けながら、男性が慣れた手つきでビリヤードのキューを構え、軽やかに球を落としていく姿には思わず見入ってしまいました。「遊びに年齢は関係ない」と実感できる、素敵なひとときでした。

ダーツマシンは、光の演出とデジタル機能で、本格的な“大人の遊び”を思わせる雰囲気。でも操作はシンプルで、子どもでもすぐに楽しめます。私がビリヤードに挑戦している間、娘はずっと夢中でダーツに打ち込んでいました。

先ほどご紹介した70代の男女グループが、今度は卓球で盛り上がっている姿も印象的でした。ラリーが続くたびに笑い声がこぼれ、ラウンジ全体が明るい雰囲気に包まれていました。

さらに嬉しいのが、充実したドリンクバー。ビールやハイボール、コーヒーなどのソフトドリンクに加えて、ちょっとしたおつまみも用意されています。好きな飲み物を手に、ゆったりとしたソファに座れば、それだけで落ち着いた時間に。そして、まるでホテルのラウンジのような空間で、自然と気持ちもゆるみました。

外で遊ぶ娘を交代で見守りながら、夫婦それぞれがほっとひと息つける――そんな「親の休憩時間」がとれるのが、このウッドマンラウンジ。遊びも休憩も、ちょっとした会話もできる、家族みんなにちょうどいい空間です。
気温や天候に左右されないのも嬉しく、私たちにとっていつまでものんびり過ごしたくなる場所でした。
■ 夕暮れのBBQタイム
たっぷり遊んだあと、いよいよ楽しみにしていたBBQタイムです。今回はバンガローのすぐ横にある専用スペースなので、移動も準備もラクで助かりました。グランピングらしく、手ぶらで気軽にアウトドアごはんができるのは嬉しいポイントでした。
まだ娘は遊びたがっていましたが、やっぱりお腹は空いてきたようで、みんなで夕食作りを始めることにしました。

チェックイン時と同じ建物で、15時からお肉や器具などのBBQセットを受け取ります。火起こしもあるので、余裕をもってこの時間に設定されているようです。外にある「野菜マルシェ」コーナーでは、好きな野菜を自分で選べる仕組みで、野菜が丸ごと並んでいます。
スーパーマーケットでの「野菜の詰め放題」にテンションが上がるように、ここでは「野菜取り放題」。これには興奮が抑えきれません。つい、空腹に任せてたくさん取ってしまいそうですが、「食べ切れる分だけ」と言い聞かせて。足りなければ19時まで追加できますし!


BBQセットの内容も充実。定番のお肉やソーセージ以外に、カレー風味のチーズフォンデュ、鉄板でサムギョプサルとそこにからめるバターライス。子どもにはハンバーグもついています。家族で“焼いて楽しい、食べておいしい”工夫が満載です。娘は始めから、焼きマシュマロを3本とも狙っていました。

自分で選んだ野菜を洗って、包丁でカットするのも楽しい時間。いつもは率先して包丁を触らない娘も、「わたしが切ったピーマン!」と誇らしげでした。自分で準備するとやっぱり美味しさも倍増ですよね。
「焼く係はパパ!」と自然に家族で役割分担ができて、スムーズに調理が進みます。

準備ができたら、起こした火の上に網をセットし、あとは焼くだけ。網の下には、アルミホイルで包んだ玉ねぎ、じゃがいも、さつまいもを並べ、1時間ほどかけてじっくり火を通します。その間に焼き上がったお肉や野菜から順に食べ始めました。
焼きたての肉や野菜、カレー味のフォンデュやサムギョプサル風のセットなど、テーブルには次々と料理が並びました。
ボリュームはやや多めでしたが、ひとつひとつをゆっくり味わいながら、家族で会話を楽しみつつのんびり食べられるのが、グランピングの醍醐味。娘は「ハンバーグ、おかわりしたい!」とおねだりするほど食欲旺盛で、最後にはマシュマロを食べて「もうお腹いっぱい〜」と大満足の夕食になりました。
■ 夜の幻想空間「シナスタジアヒルズ」へ

夕食後、暗くなってから訪れたのが、夜のイルミネーションエリア「シナスタジアヒルズ」。「共感覚」という意味で、例えば、音に色や形を感じたりすることだそうです。るり渓名物のナイトコンテンツ、これだけのきれいな写真が撮れる場所なので、宿泊の方は是非、温泉前に見てほしいです。実は雨の日は、地面にも光が反射して、さらに幻想的になるんだとか……。

先へ進むと、蛍のように点滅する光が広がる幻想的な空間や、まるで宇宙に迷い込んだかのような演出が現れ、娘も私も「ここ、すごいね!」とワクワクが止まりません。ブルーの光に包まれた「海」をイメージしたエリアでは、20分に一度のオーロラショーが開催されます。
ショーでは、音楽に合わせて木々がカラフルに照らされ、森の中で本物のオーロラを見ているような気分でした。特にアップテンポな曲が流れると、ダンス好きの娘が自然と体を動かし始め、誰もいない空間で、本人はステージに立っているかのように踊っていました。
■ リニューアルでより快適に!進化した温泉&パウダールーム

思いっきり遊び倒し、ようやく温泉タイム!大浴場には露天風呂こそないものの、新しく登場した「壺湯」がいい仕事をしてくれます。外の風を感じながら、ちょっと熱めのお湯に肩までじっくり浸かれば、それだけで「あぁ、今日もよく遊んだなぁ」と全身でしみじみ実感。壺の中でじんわりほぐれていく疲れに、「もう出たくない…」とつぶやいたのは私です。

特に「おおっ!」と思ったのが、女性の脱衣&着替えスペースの快適さ(男性はもう少しコンパクト)。ロッカーの数がどーんと増えて、なんと2階建て!そのおかげで、混み合う時間でもギュウギュウ感がなく、子どもと一緒でも周りを気にせず、のびのび着替えられるのがありがたかったです。

ドライヤーは20台以上もあって、混雑していても待たずに使えるのがありがたいポイント。さらに別室にあるパウダールームには、スチーム美顔器やストレート・カールなどのヘアアイロンがずらり!美容好きにはたまらない、“体験型のコスメカウンター”のような空間です。
しかも、ドライヤーは「ReFa(リファ)」など話題の人気ブランドも揃っていて、「ちょっと使ってみたかった!」というアイテムを気軽に試せるのが嬉しいところ。化粧水やヘアオイルも完備されていて、お風呂上がりのスキンケア&ヘアケアタイムが、まるでエステに来たかのような気分で楽しめました。
【DAY2】るり渓の自然とプールも満喫
■ アウトドア朝食と、チェックアウト後の自然散策
目覚めは、なんと屋根の上を走る猿の足音。カーテンを開けると、鳥の声も聞こえ、自然の中で過ごしていることを実感しました。

朝食も、バンガローの横で準備。昨日と同じ場所に材料を取りに行き、卵やベーコンは調理。サラダ、スープ、ジュース、コーヒーなども揃い、パンは1人2個のチョイス。シンプルながら満足感のあるメニューでした。

10時にチェックアウトを済ませたあとは、敷地を出て、るり渓の自然を満喫することに。「るり渓」は、通天湖から流れ出る清流が瑠璃色に見えたことから、明治38年に名付けられた渓谷。川沿いには小さな滝がいくつも点在していて、遊歩道をのんびりと歩きながら、清流と若葉を交互に眺め、散歩を楽しみました。

私が訪れたのは、新緑がまぶしくて、心地よい風もふわっと感じる時期でした。そんな中を歩きながら「ああ、自然のなかの散歩って気持ちいいなあ」と思わず上を向いて深呼吸ばかりしていました。が、足元も必ず見て歩くのをおすすめします。写真のようなヘビも、散歩コースに飛び出そうとしていました。
施設内でのんびり過ごすのもいいけれど、最後に少しだけ足を伸ばして、森の中を歩いたり、川の音に耳をすませたり――自然とのふれあいも、るり渓ならではの楽しみ方だなと感じました。ちょっとしたハイキングや散策は本当におすすめです。
■ 雰囲気のいいプールに大変身

朝の渓谷散策を終えて、次はリニューアルしたばかりのプールへ。宿泊2日目も無料で利用できるのがありがたかったです。以前は少し年季を感じる雰囲気でしたが、リニューアル後は全体的にシックで落ち着いた印象に。プールサイドのソファもふかふかで心地よく、のんびり寝ているお父さんたちの姿もちらほら見かけました。
水温は30度。訪れたのは5月でしたので最初はひんやりしましたが、すぐに体が慣れてきます。何より、娘が「鬼ごっこしよう!」と追いかけてくるので、水の中を走ったり泳いだり、気づけばけっこうな運動量に。大人も子どもも全力で楽しめました。

冷えた体をすぐに温められるのが、水着のまま入れる温泉エリアの魅力。男女一緒に入れるため、家族で一緒に温泉を楽しめるのもポイントです。
個人的にとても気に入っているのが、強めのジェットバス。お湯の温度も高めで、水深もやや深いため、子どもと一緒にゆっくり…というよりは、大人がひとりでしっかり浸かるスタイル。背中、肩、そしてお腹にまで強烈な水圧がかかり、多分これで日々の疲れが一気に吹き飛びます。もしかしたら、贅肉も一緒に吹っ飛ぶんじゃないかと思うほどのパワーです。

露天風呂も充実しており、開放感のある空間で、カップルや親子連れが賑やかにリラックスタイムを満喫していました。

■ 食も癒しも充実!フードパーク&ランタンテラス

遊びに夢中になっているうちに、気がつけばもう夕方。夕飯は、リニューアルで大きく変わった「フードパーク」へ向かいました。以前は和食中心でしたが、今は洋食や子ども向けのメニューも増えていて、選べる料理の幅がぐっと広がっています。家族それぞれが好きなものを選べるので、みんな満足できる食事になりました。

食後に向かったのは「ランタンテラス」。2万冊を超える漫画や雑誌に加え、植物や動物の図鑑、絵本なども揃った癒し空間です。今回はムーミンの特設棚ができており、かわいい絵本に立ち止まってしまいます。子ども向けの絵本部屋も完備されており、年齢に応じた本選びも可能です。

さらに、ランタンテラス内には50度の岩盤浴や、少し熱めの60度の部屋も設置されており、温泉前にひと汗かきたい人にもおすすめ。筆者自身は、岩盤浴でじんわり15分ほど汗をかくのが好きで、特に寒い冬には欠かせないパートです。
「1週間くらいいた気がする……」という筆者の言葉に夫も賛同。かなりのんびり、リラックスできました。
帰り際、鹿の親子に出会うという嬉しいハプニングも。最後まで「ここはやっぱり自然の中にあるんだなあ」と実感させられる締めくくりでした。
娘は車に乗るなり「次はいつ来るの?」を連発。親子ともにしっかりリフレッシュできた、理想的な一泊二日の時間となりました。
施設情報
- 施設名:ASOBIYUKU 京都るり渓温泉
- 所在地:京都府南丹市園部町大河内広谷1-14
- 電話:0771-65-5001
- 料金:公式HPを参照
- 公式HP:https://rurikei.jp/