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    2023.12.18

    まるで「ドラクエ」! ポルトガル・世界遺産の街にある妖しい宮殿の庭を探検

    レガレイラ宮殿の道

    かつてポルトガル王家の避暑地だった山間の街「シントラ」は、英国の詩人バイロンが「この世のエデン」と称したほど美しい地区。いくつもの王宮の残る街全体が世界遺産に登録されています。しかも首都リスボンから日帰り可能なので、観光客が絶えません。

    そんなシントラで、アウトドア好きのBE-PAL読者に特におすすめしたい場所が「レガレイラ宮殿」です!

    「ドラクエの世界」「冒険者になれる」などという声も聞こえるこの場所を探検してきました。

    「魔宮」の異名をもつ「レガレイラ宮殿」とは?

    レガレイラ宮殿

    広大な敷地に立つレガレイラ宮殿。

    レガレイラ宮殿があるのは、もと王族の荘園(キンタ)内。ポルトガル語だとレガレイラ宮殿は「Quinta da Regaleira(キンタ・ダ・ヘガレイラ;レガレイラ荘園)」と呼ばれ、宮殿はもちろん荘園全体が観光地になっています。

    王族の手を離れたあと、この荘園の所有者は、名前の由来でもあるレガレイラ男爵、「モンテイロ・ザ・ミリオネアー」と呼ばれたブラジルの億万長者アントニオ・アウグスト・デ・カヴァーリョ・モンテイロ氏、日本の青木コーポレーションなど何度も変わったのですが、1998年にシントラの自治体が所有権を獲得し、一般公開されるようになったんだとか。

    レガレイラの塔

    塔に上ることもできる。

    4ヘクタールの荘園には、現在も富豪モンテイロ氏の美意識が色濃く残っています。

    というのも、彼が所有した際にイタリアの建築家兼舞台美術家のルイジ・マニーニ氏を起用し、大金を注ぎ込んで自分の人生哲学、また趣味嗜好をおもいっきり反映させたから。さまざまな建築様式を織り交ぜた宮殿はもちろん、庭、門、塔、洞窟、湖、滝……、いろいろ作りました。

    完成までには1904 年から1910年の6年を費やしたそうです。

    レガレイラ宮殿

    霧に包まれた荘園。

    このモンテイロ氏の関心は、詩人ルイス・デ・カモンイス、テンプル騎士団、薔薇十字団、フリーメイソン、錬金術などだったらしく、大航海時代のモチーフや秘儀秘教のシンボル、秘密の通路などが敷地内のあちこちにみられ、独特の雰囲気を醸し出しています。ベストセラー小説「ダ・ヴィンチ・コード」を思い出す人も多いのではないでしょうか。

    では、早速見て行きましょう!

    天と地をつなぐ「地下塔」

    イニシエーションの井戸

    螺旋状の井戸。

    それほど予習せずにやってきた我々ですが、それでも知っていたのが、「イニシエーションの井戸(Poço Iniciático)」。

    井戸といっても水を汲むために使われたことは一度もなく、地下に向けて伸びる「逆さ塔」ととらえる人も多いようです。そして、名前が示唆するように秘密結社のイニシエーション(通過儀礼)に使われていたそうです。

    井戸が作られた理由については諸説あるようですが、イギリスの公共放送局「BBC」の記事によると、この場所は、フリーメイソンが蘇えらせた古いテンプル騎士団に入団するための通過儀礼に使われていたんだとか。

    目隠しをされた入団希望者は、剣を心臓の近くに構えて創設メンバーの9人を象徴する9階分の階段を降り、真っ暗な井戸の底に取り残されます。そこから迷路を抜けて光ある地上に出て来れたなら、水を渡り、礼拝堂で「兄弟」としてテンプル騎士団に迎えられた、とのこと。

    秘密結社、剣、目隠し、地下迷宮、となかなかのキーワード揃い。異世界ダンジョンに潜る話が好きな方もグッとくるかもしれません。もちろん現在はそんな儀式に使われておらず、訪問者も螺旋階段を降りていくことができます。

    井戸に水が満ちているわけではありませんが、かなり湿度は高く、苔むしていたり、水の滴がぽちょん、ぽちょんと滴る場所もあります。ぐるぐると地下へ地下へと進んでいくと、底にはフリーメイソンのシンボルが。井戸は深さが27メートルあるそうですが、底から見上げる丸く切り取られた地上の光はとても遠いです。

    井戸から上を見る

    井戸の中から地上を見上げる。

    9階ある井戸は、9つの圏からなるダンテの「神曲」にインスピレーションを得ている、天国と地獄、もしくは生と死を象徴している、などいろいろ言われていますが、どれもミステリアスで少し怖い感じがしませんか?

    「水族館」や「迷路の洞窟」

    荘園の道

    荘園を巡る道。

    さて、イニシエーションの井戸は1番の人気スポットなので、どうしても少し混雑してしまいます。けれども広くて入り組んだ敷地内には、思いもよらぬ場所に出て、誰とも出会わず不安になるような場所もありました。

    地下の湖

    地下の湖。

    例えば、迷路の洞窟や地下の湖エリア。中は懐中電灯がないと何も見えないほど真っ暗です。

    スマートフォンの光を頼りに進むものの中は迷路のように分岐していて、3人で一緒だったのですが、1人が道を曲がると真っ暗な中に取り残されてかなりドキドキします。水たまりに落ちて、思わず叫ぶようなこともありました。ただ、その分地下湖に出たり、「水族館」を見つけたりしたときの喜びもひとしおです。

    水盤

    奇妙な魚の水盤。

    観光地とは思えない案内の少なさもあって、地下通路、塔、分かれた階段や隠し扉などを辿っていくと、「ここは……どこ?」と迷うことも多いはずです。奇妙な「魔物」の像やシンボルに気を取られている間に仲間が先に行ってしまったりすると、おそらくかなりの間、再会できないと思います。

    これらの「仕掛け」は全てモンテイロ氏が意図的に作ったものです。けれども、建造物のデザイン自体が有機的なことや、屋外に放って置かれて自然に溶けこんだ感じになっているので、「人工的な作り物は苦手」という方もスッと楽しめるはずです。

    さらに妖しさを増す夜のレガレイラ

    夜の宮殿

    ライトアップされたレガレイラ宮殿。

    すっかりレガレイラ宮殿の虜になってしまった私たちですが、さらにその不思議さを増し増しで体験する機会がありました。夜の荘園探索です!

    通常は夏場でも19時半まで、と日のあるうちしか訪問できないのですが、参加した「モンテ・ダ・ルア(Monte da Lua)ナイトラン&ウォーク」の通路にレガレイラが含まれていたのです。

    番人の正門

    魔物が番人を務める正門(ポータル)。

    20時にシントラ宮殿を出発し、レガレイラ宮殿に着く頃には辺りは真っ暗。ライトアップされた宮殿が妖しく浮き上がっています。さすがに自由に探検するわけにはいきませんでしたが、トランペット奏者が奏でるジャズ、トロピカルな植物、浮かび上がる異形の像などが不思議な空間を作り上げていました。

    昼間とは別の顔をみせる世界遺産の街シントラ、そしてレガレイラ宮殿。夜のガイドツアーに参加してみても楽しいのではないでしょうか。

    rikah
    私が書きました!
    フリーライター
    東リカ
    アウトドアが盛んなオレゴン州ポートランドからポルトガル・リスボン近郊へ移住したフリーライター。著書に「好きなことして、いい顔で生きていく ~風変わりな街ポートランドで、自分らしさを貫く15の物語~ 」(イカロス出版)など。旅行、お酒、食事、キノコ狩り、カヌーなどが大好きです。

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