オーストラリア国内で「リバーシティー(川の街)」と称されるように、町の中心部を蛇行した川が流れるブリスベン。その川沿いの印象的な遊歩道を紹介するシリーズの第4弾は、市の中心部の高層ビル群を対岸から眺めながら進む遊歩道です。ここは「人工砂浜付きのプール」とか「亜熱帯雨林を再現した木道エリア」とか「博物館や美術館」などが道沿いに並ぶ、なんとも誘惑が多いコースです。
「歩行者・自転車専用橋」から遊歩道へ
その遊歩道の名前はオーストラリア・ブリスベンにある「クレムジョンズプロムナード(Clem Jones Promenade)」。
ブリスベンの中心部から対岸に渡った「サウスバンク」という地区の北端から川に沿って南東に進む2キロメートルほどの遊歩道です。歩行者・自転車専用橋の「クリルパブリッジ(Kurilpa Bridge)」を渡ってくるのがオススメです。
ループ式になっているスロープを降りるとウォーキングトラックが始まります。だけど……スロープだけでなく階段も設置してくれても良かったんじゃないかな? すごく遠回りです。
最初は川側に木が生えていたりしますが、すぐに視界が開けてきます。床は板張りではないですが、手すりは木製でいい雰囲気を出しています。
「ヴィクトリアブリッジ(Victoria Bridge)」という橋の下を通ります。正式にはここから先が「クレムジョンズプロムナード」のようです。
しばらく行くと遊歩道と川と間に芝生のエリア。座ったり寝転んだりして人々は自由気ままに過ごしています。
遊歩道の左右には誘惑がいっぱい
しばらくすると右手になにやらアジア風の建造物。これは1988年にブリスベン国際レジャー博覧会(ブリスベン万博)が開催された際に建てられた「ネパール式平和塔」です。
続いて右手に出てくるのが「レインフォレストウォーク」。亜熱帯雨林の中にボードウォークや階段を通したものです。
遊歩道の途中にはあちこちにベンチが設けられています。対岸左手に建築中なのは「クイーンズワーフ(Queen’s Wharf)」という建物。1000室以上のホテル、2000室近い居住用マンション、50以上の飲食店、地上100メートルの展望スペースなどができるそう。
じつはこのあたりで右手にはラスボスレベルで最強の誘惑が立ちはだかっているのですが、そちらには目を向けずに先に進みましょう。
遊歩道周辺には緑もいっぱい配されて、芝生のエリアも多いです。
そして最大の誘惑は……
そしていよいよ終点。そのまま引き返してもいいですが、今度は川沿いではなく内陸側にある遊歩道を進んでみましょう。「サウスバンクバンクパークランズ(South Bank Parklands)」という1988年のブリスベン万博のあとにつくられた広大な公園の中を通ります。
「サウスバンクバンクパークランズ」の中には様々な遊歩道があります。公園は南北に細長く幅はせいぜい100メートル程度なので、どのルートを通っても迷うことはありません。
そしていよいよ登場するのが、さきほど通ってきた「クレムジョンズプロムナード」にも面している人工砂浜のあるプールです! あれこれ誘惑の多い遊歩道ですが、ここが最強のラスボスでしょう! いやいや、水着姿がどうのこうのという話ではなく、暑い日にウォーキングついでにサクッとプールなんて最高じゃないですか、ねえ?
海岸だと向こうは大海原なのに、ここは高層ビル。ちょっと不思議な感覚を楽しめます。
小さな子も楽しめる浅いエリアも。
その後、劇場の脇を通って出発地点のそばに行くと、クイーンズランド州立美術館、クイーンズランド州立博物館、クイーンズランド州立現代美術館などがあるエリアへ。いずれも特別展エリアを除くと無料です。現代美術館以外、特別展スペースは限られたエリアなので、ほとんどの展示や作品を無料で楽しめます。
ただし開館時間は通常10時~17時なので夏場の夕方に今回紹介した「クレムジョンズプロムナード」を歩く場合は、先に見学を済ませたほうがいいでしょう。
川沿いの遊歩道を歩くだけでなく、亜熱帯雨林ウォークや高層ビルを眺めながらの人工砂浜ビーチ付きプール、さらには博物館や美術館と魅力満載の今回のルート。ブリジー(ブリスベンっ子)になった気分でお楽しみください。
次回は断崖絶壁脇の遊歩道とパブリックアートが楽しい「ザクリフスボードウォーク」を紹介します。
オーストラリア在住ライター(海外書き人クラブ)
柳沢有紀夫