憧れの「氷河特急」に乗る冬のスイス旅!ツェルマットからサンモリッツへ
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    2023.01.31

    憧れの「氷河特急」に乗る冬のスイス旅!ツェルマットからサンモリッツへ

    車窓から見るアンデルマットの村

    車窓の向こうに広がるアンデルマット村の景色を眺めて。

    憧れの氷河特急・最新車両に乗って

    スイスのツェルマットとサン・モリッツを結ぶ人気の氷河特急。最新のパノラマ列車は座席も広く、素晴らしい車窓が望めます。7つの谷、291の橋、91のトンネルを抜けてスイス・アルプスを横断していきます。

    全行程の路線は2つに分かれます。1つ目がマッターホルン・ゴッタルド鉄道の路線(ツェルマット~ディゼンティス)。2つ目がレーティッシュ鉄道の路線(ディゼンティス~サン・モリッツ)です。1930年に開通した人気のルートはアルプスの名峰、美しい森や牧草地、山間の急流や渓谷を抜けていきます。息をのむほど美しい絶景が広がり、景色の変化に富んでいます。

    ベルニナ・エクスプレスと共通区間でもある、トゥージス~サン・モリッツ間のアルブラ線は、100年以上の歴史を誇る伝統の路線。2008年には世界遺産に認定されました。ハイライトは山の稜線に沿って標高差を克服していく、高架橋とループトンネルです。

    今回は、ツェルマットからサン・モリッツまで、氷河特急の最新車両や冬景色の魅力をご紹介します。

    マッターホルンの麓・ツェルマットからスタート

    ツェルマット駅から見るマッターホルン

    ツェルマット駅から見るマッターホルン。

    氷河特急が走るツェルマットからサン・モリッツまでの乗車時間は約8時間。ツェルマットは環境に配慮しガソリン車乗り入れ禁止の村。静かで澄んだ空気が保たれています。冬はスキーやウィンターハイキング、夏はハイキングや高所登山を求めて世界中から観光客が訪れます。

    サンモリッツ行の氷河特急

    ツェルマット駅の構内。サン・モリッツ行きの氷河特急。

    駅構内には見やすい看板があります。氷河特急の走行距離は291km。最高地点はオーバーアルプ峠の2,033m。乗車前はどんな景色が広がるのか、お食事も車内でいただけるので楽しみです。

    氷河特急の中の案内板

    氷河特急のなかの案内板。到着時間や標高も表示されます。

    パノラマ車両は天井まである大きな展望窓があり、絶景を存分に楽しむことができます。エアコン完備の車内、テーブル付きの広い座席、日本語を含む6カ国語で説明が聞けるイヤホン、できたての食事を座席まで運んでくれるサービスがあります。1等と2等があり、どちらも快適な電車の旅時間を過ごせます。

    車内のWi-Fiに繋ぐと便利なサイトに繋がる

    車内のWi-Fiに繋ぐと見ることができる便利なサイト。

    便利なお役立ちサイト

    筆者が便利と感じたことは社内で使えるWi-Fiやメインのサイトです。利用するにはショートメッセージのコード認証が必要となります。通過する村の説明やお土産物、食文化、地元の人々のストーリーなど、情報が満載で飽きることなく楽しむことができました。

    氷河特急からの車窓

    ゆったりとした座席と車窓

    ゆったりとした1等車の座席と大きな窓。

    ツェルマットを出発して下っていくと、谷が開けて山の斜面に葡萄畑が見えてきます。ワインの名産地フィスプです。ヨーロッパで最も標高の高いブドウ畑で作られた白ワインの「ハイダ」が有名です。スイスとイタリアの国境シンプロン峠がある通商で栄えたブリークの町も通ります。列車は進み、ローヌ川の流れる谷をアレッチ地方へ。メレル、ベッテン、フィーシュからはロープウェイに乗り世界遺産のアレッチ氷河を望む展望台が人気です。

    カラマツで建てられた木造の民家が特徴的なゴムス地方を抜け、ヴァレー州最後の村オーバーヴァルトへ。旧路線とは異なり、現在はフルカトンネルを通過してレアルプへ走ります。

    車内からみる車両後方と景色

    車内からの写真撮影も楽しい時間。

    ウルゼレン谷に入り、ホスペンタール村を抜けると、古くからの交通の要所アンデルマットに到着します。乗客の皆さんは、車窓からの景色を楽しみながら撮影する手にも力が入ります。

    アンデルマットのハイライト

    高台から見る村と谷の絶景は素晴らしい。

    ハイライトのアンデルマット

    列車がアンデルマットから上っていくと眼下には村の絶景が広がり、車内では感嘆の声が響きます。その先は悪魔の橋があるシェレネン峡谷を通り抜けます。列車は山の稜線に沿って何度もカーブを蛇行しながら約600mの標高差を上っていきます。

    雪原が広がる美しいオーバーアルプ湖のギリギリを走り、ルート最高地点の標高2,033mとなるオーバーアルプ峠へと到着。ウーリ州とグラウビュンデン州の境になり、夏には山々に囲まれた山上湖が印象的です。そしてフォーダーラインの流れに沿って美しい修道院があるディゼンティスへ進みます。ここまでがマッターホルン・ゴッタルド鉄道の路線です。

    車内での贅沢ランチ

    チキンのストロガノフ

    車内でいただくランチは3コース。おかわりも自由。

    予約をしてランチをいただくこともできます。今回のランチはジャガイモとネギのスープ、鶏肉のストロガノフとライスと温野菜。デザートはリンゴケーキのバニラソース添えかチーズの盛り合わせを選ぶことができます。スイスワインやビールも乾燥した空気によく合い、景色を楽しみながらいただくコーヒーも格別に美味しく感じました。

    レーティッシュ鉄道の路線スタート

    機関車を交換する様子

    ディセンティスで行なう機関車の交換。電車好きにはたまらない瞬間です。

    ディゼンティスからはグラウビュンデン州を結ぶレーティッシュ鉄道の路線に変わります。スイスの公用語のひとつロマンシュ語の伝統が息づくスルセルヴァ地方へ。美しい森と小さな教会が点在する印象的な区間です。スムヴィッチ、スルライン、画家カリジェの生地トゥルンなどのかわいい山村を通ります。

    イランツを過ぎると 「スイスのグランドキャニオン」と称されるライン峡谷へ。約1万年前の氷河期末期におこった大規模な山崩れで形成された自然の造形美に圧倒されます。さらにライヒェナウを抜け、古都クールへ到着します。

    雪景色のなかを進む氷河特急

    雪景色のなかを進む美しい氷河特急。©Railservice Glacier Express

    クールを出発して列車は2つのライン川の源流が合流する鉄道の分岐点ライヒェナウまで戻ります。古い城塞が崖上に点在しているドムレシュク谷を南下。列車はトゥージスで向きを変え、世界遺産のアルブラ線へ。

    深い峡谷に架かるソリス橋を渡り、白い教会が印象的なティーフェンカステルやスラーヴァなどの小さな村を抜けていきます。列車は有名なランドヴァッサー橋を大きくカーブしながら渡り、崖の中のトンネルへと飛び込んでいきます。

    高級リゾート地のサン・モリッツへ

    サンモリッツの村と湖

    高台から望むサン・モリッツの村と湖。©Engadin St. Moritz Tourismus AG.JPG

    フィリズールからアルブラ谷を南下して素朴な山里ベルギューンへ。アトラクションのようなルートにはトンネルやカーブが続き約400m上っていきます。冬期は、プレダからベルギューンまで約6km、標高差400mを下るソリコースが有名です。プレダからアルブラ峠を越える全長5,866 mのアルブラトンネルを抜けるとエンガディン地方へ。森の木々が美しいビーヴァー谷を走り、サメーダン、チェレリーナを通り、有名な観光地サン・モリッツに到着します。

    サンモリッツの老舗菓子店ハンゼルマン

    美しい外壁の菓子店ハンゼルマン。©Engadin St. Moritz Tourismus AG.JPG

    おすすめ菓子店

    サン・モリッツにあるコンフィセリー・ハンゼルマンはオードリー・ヘップバーンもお気に入りだった有名な菓子店です。特産品であるヌストルテはタルト生地にキャラメルとクルミがぎっしりと詰まり、数か月、日持ちするのでお土産に最適です。

    村にあるセガンティーニ美術館

    村にあるセガンティーニ美術館。©Engadin St. Moritz Tourismus AG.JPG

    美しい美術館

    ぜひ訪れて頂きたい場所はセガンティーニ美術館。スイスアルプスを愛した画家セガンティーニの代表作は「生成(生 )」「存在(自然)」「消滅(死)」の三部作。目にすると神聖な気持ちになります。マローヤ、シャフベルク、ブレガリア谷など、セガンティーニが描いてきた風景を訪ねてみるのもおすすめです。

    夏も冬も魅力あふれるスイスの氷河特急の旅。観光業も少しずつ回復してきているので、絶景のスイス旅も計画のひとつに組んでみてくださいね。

    取材協力

    私が書きました!
    日本山岳ガイド協会認定登山ガイド&スキーガイド・ヨガ講師
    西村志津
    スイス在住、2児の母。スイスの山岳観光地やアクティビティ、ギア、トレンド、文化をお伝えします!ヨガを通して心と体のメンテナンス方法もお届けし、より快適な山行のお手伝いができれば嬉しいです。美味しいものとカフェ巡りが好き。スイスと日本の架け橋となる活動に努める。オンラインにて「スイスツアー」や「登山者のためのヨガ」を発信中! instagram@seas_yoga_hiking_skiing

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