【世界でいちばん美しい村・中編】放牧、ハニーハンティング……自然に溶け込むように暮らすラプラック村の日常 - 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2017.03.15

    【世界でいちばん美しい村・中編】放牧、ハニーハンティング……自然に溶け込むように暮らすラプラック村の日常

    2015年4月にネパールで起こった大地震のあと、大きな被害を受けた山間部の村、ラプラックで、取材と支援に取り組んでいた写真家の石川梵さん。アシュバドルという少年とその家族と出会ったことをきっかけに、石川さんはラプラックを題材にしたドキュメンタリー映画『世界でいちばん美しい村』を撮影することを決意しました。インタビューの中編では、自身初の監督作品となるこの映画の撮影時のエピソードについて、詳しくお話を伺いました。

    (注:この記事には、映画の内容に関する記述が一部含まれています。鑑賞前に映画の内容を知りたくないという方はご注意ください)

    ——石川さんが映画を撮ろうと考えたきっかけの一つになった、アシュバドルの家族は、どんな人たちなんですか?

    石川梵さん(以下石川):アシュバドルにはプナムという妹がいるんですが、本当にかわいくてフォトジェニックで、みんなメロメロなんです。性格も面白くて、バイタリティがあって。プナムは地震のとき、がれきで足をケガして、一緒に遊んでいた子は亡くなってしまったんです。プナムはヘリコプターでポカラという街にある病院に運ばれて治療を受けていたので、僕が最初にラプラックに行った時には、避難キャンプにはいませんでした。村の人たちは「プナムはもう歩けなくなるかも」と心配していたんですが、山を降りて、ポカラの入院先を訪れると、ケタケタ笑いながら走り回っていて驚きました。そんなエピソードから、僕は「不死身のプナム」と呼んでいます。彼女の目線で村や周囲の自然を見ていると、すごく感情移入できるんです。

    ——彼らのお父さんは、山の中で水牛を放牧するのが仕事だそうですね。

    石川:そう、村から1週間も2週間もかかるような、すごく遠くまで放牧に出かけるので、普段はあまり村にいないんですけど、たまに帰ってくる。震災で家が壊れてからは、放牧先で木を切って、水牛に積んで少しずつ持ち帰ってきて、自分たちでトンテンカンテン家を修理しはじめて。半年後にはすっかり建て直してしまいました。お父さんの大きな両手の中に包まれるようにしてプナムが抱かれている場面は、この映画の中でも象徴的なシーンの一つですね。

    ——こういった場所で生まれ育った子供たちは、生命力もすごそうですよね。

    石川:本当にみんな野生児で、いつも裸足で走り回ってます。畑に埋まっている大根を引っこ抜いて、泥のついたままかぶりついて「うまい」と言ったり。アシュバドルなんて、パチンコで鳥をバンバン仕留めてしまいますし。お父さんが仕事をしている山の中に行ったときとか、彼らは水牛の小屋の中で一緒に寝るんですが、朝になると、水牛がアシュバドルの頭をべろべろなめてるんです。彼もなめられながら、幸せそうにしている。ここでは、自然と動物と人間が一緒になって生きているんだなあ、と感じました。

    ——震災の後で大変な状況とはいえ、そういう一家と同じ時間を過ごすというのは、何だか楽しそうですね。

    石川:そうですね。かわいそうというより、うらやましくてしょうがなかった。こいつら、なんて楽しそうに暮らしているんだろう、と思って。彼らも僕のことを家族のように扱ってくれましたし、「行く」というより「帰る」という感覚でしたね。

    ——観ていても、震災だけがこの映画のテーマではないんだな、と感じました。

    石川:最初は、村の支援のために映画を撮ろうと考えていたんです。でも、撮影を続けるうちに、震災はだんだん背景になっていって、彼らの素朴な生き方に焦点が移っていきました。彼らは家族の絆という、ベタベタしてはいないけど、すごく深い絆で結ばれている。そして、ラプラックという村自体も、一種の家族なんです。喜びも悲しみも、みんなで分かち合いながら暮らしている。東日本大震災の後、東北の被災地では孤独というのが非常に大きな問題になって、自殺する人もたくさんいました。ラプラックの共同体は本当に逆境に強くて、村人同士でしっかり支え合って生きている。その姿に僕は心を動かされました。

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