「インターナショナル・アパラチアン・トレイル」の終点へ。そこで僕は何を思うのか? | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2017.03.27

    「インターナショナル・アパラチアン・トレイル」の終点へ。そこで僕は何を思うのか?

    【その先のアパラチアン・トレイルへVol.12】

    僕は、翌日ハイウエイを歩きながらヒッチハイクをしました。そしてハイウエイが終わるオウルスボロウロードから歩き出すことにしました。

    車通りは少ないですが、ガイドブックでも紹介されるほどアップダウンがキツイ。予想通りテントが張れるような状況ではありませんでした。

    途中、この舗装路ルートの中で唯一あるシェルターの脇を通過するのですが、ルートからシェルターまでは遠くてまったく見えませんでした。

    わずかに水量のある川で水を補給したのですが、民家付近を流れる川でゴミだらけのロードサイドに少し躊躇します。

    長い下りを歩き、ハイウエイとの合流地点手前で、地元のおじいちゃんに声を掛けられたので、話していると、その先もテントはおろか、交通量の多いハイウエイになるというではないですか。危ないから交通量の少ない場所まで乗せて行ってあげるといわれ、素直に車に乗り込みました。

    車内から見える景色は、路肩が少なく、勢いよく車が走っていました。

    「こんな道歩いちゃいけないよ」そういいながら、いろいろとバクスター州立公園周辺の事を教えてくれました。

    彼は以前、バクスター州立公園で木材の伐採をしていたそうで、とても詳しかったのです。

    この時期はムースが繁殖時期で、道路でもオス同士が喧嘩をしてるそうで、巻き込まれないように注意しなさいとも教えてくれました。

    バクスター州立公園にほど近いシンポンドから先は交通量も一気に少なくなるらしく、僕はシンポンドを過ぎた綺麗な水場で降ろしてもらいました。まだまだ、舗装路が続くから乗せてくよと言ってくれたのでしたが、なんとなく歩くことに決めたのでした。

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    バクスター州立公園までのダートロード。

    〇ホールトンエリア
    カントリーロードとハイウエイがミックスされた道。そして舗装路は、バクスター州立公園の入り口、マタガモンウィルダネスキャンプまで続きます。一部交通量も多くテントが張れそうなスペースもない。いちばん問題になるのは、水場がほとんどないことです。

    〇バクスター州立公園エリア
    トレイルは、州立公園園地沿いの道になります。マタガモンウィルダネスキャンプまでは、ずっと舗装路。マダガモンウィルダネスキャンプを過ぎしばらくすると、車両乗り入れ可能なダートロードが続きます。

    そのうちに車両乗り入れ禁止にされているダートロードに入ると、ルートには草が生え、藪も一部濃くなり始めました。いわゆるトレイルらしいルートから、ダートロードにミックスした道のりに変わり、だんだんルートは自然に戻りつつありました。

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    バクスター州立公園までの舗装路。

    やはり舗装路を歩く事に意味を見いだせませんでした。ふと、カナダと話していたことを思い出していました。
    それはアメリカンボーダーを歩いている時の事です。

    「MASA、きっとここの道も、シェルターも作られた当時から何のメンテナンスもされていないのだろうね。作るだけ作ってそのままのようだね」

    それは、僕も感じていました。ATVのルートは、木が伐採されて作られています。

    この道をルートにすれば、メンテナンスはいらない。木が生えない限り、ルートだというとは一見してわかるからです。そしてメンテナンスのされていない道は、一部ものすごい藪に覆われています。それでも道だろうことは分かります。

    ダートロードも、舗装路もこのなだらかな地形の前では、どれだけ進んでもまったく同じ景色しか見えず、車が多く往来する舗装路に至っては、まったく自然との関りもありません。

    はたして、この様な道を歩く事に意味があるのだろうか? と思い歩き続けていました。当然、歩くハイカーがいないことが、意味のないことを示しているのかもしれません。北向きに歩くハイカーは、メイン州を歩き、ニューブラウンズウィック州で歩くのを止めるそうです。こんな道のりなら誰でもそう思うかもしれません。

    マタガモンウィルダネスキャンプを過ぎると、ようやく舗装路からダートロードに変わりました。おそらく以前は、森林伐採で使われただろう道を歩きます。

    やっぱり、人とは出会いませんでした。湿度の多い森歩きに、少しだけアパラチアン・トレイルを思い浮かべます。
    景色のハイライトになるだろうエリアを歩くのですが、やはり開けた景色もなく、ガイドブックの写真と比べ、明らかに見劣りする実際の景色を見ながら、ただ先に進むしかありませんでした。

    やがて川を渡り、再びダートロードに出て、ゆったりとした坂を登りきると、遠くにマウントカタディンが見えたのでした。

    ようやくダートロード歩きも終わる。もう、そんな気持ちしか残ってはいませんでした。

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    どこまで歩いても変わらない舗装路。

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    メイン州も舗装路が続く。

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    トレイル沿いの風景。

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    マタガモンウィルダネスキャンプ。

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    車両乗り入れ禁止のダートロード。

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    日々濡れたものを乾かす。

     

    つづく

     プロフィール

     

     

     

    【Profile】
    斉藤正史 山形県在住
    LONG TRAIL HIKER
    NPO法人山形ロングトレイル理事
    トレイルカルチャー普及のため国内外のトレイルを歩き、山形にトレイルを作る活動を行う。

    ブログ http://longtrailhikermasa.blog.fc2.com/
    山形ロングトレイル https://www.facebook.com/yamagatalongtrail

     

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