開通したばかりの新道を抜けてたどり着いた、秘境ザンスカールの雄大な光景
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    2022.11.03

    開通したばかりの新道を抜けてたどり着いた、秘境ザンスカールの雄大な光景

    標高4805メートルの峠、シルシル・ラからの眺望。

    世界各地を飛び回る著述家・編集者・写真家の山本高樹氏。今年、ライフワークとするインド北部の山岳地帯を訪ねた。美しく、険しい秘境の旅をレポートする今回は、ザンスカールという地域。開通した新しい道を使い、たどりついた先には、圧倒的な景色が広がっていた。

    標高5000メートルの峠を越えて

    ラダックの南西に、ザンスカールと呼ばれる地域があります。ラダックよりもさらに険しい山々に取り囲まれた秘境で、外界との間を結ぶ車道はかつては1本しかなく、ラダックの中心地レーから最短でも1泊2日はかかる道のりでした。

    しかし、ごく最近になって、従来より短い距離でラダックとザンスカールの間を結ぶ新道が開通しました。大半が未舗装路な上、標高4000〜5000メートル級の峠を複数越えなければならない険しい行程ですが、従来はトレッキングでしか訪れることのできなかったリンシェ村などに車で行けるようになったというメリットもあります。今回の取材ではこの新道を通って、ラダックからザンスカールを目指すことにしました。

    ぬかるみにはまったトラックを助ける人々

    この時は前日に少し雨が降った影響で、未舗装の道路のところどころにぬかるみができていて、うっかりはまって立ち往生していた車もありました。ヌブラに引き続き今回も僕を乗せてくれた友人ロブザン・ツルティムの車も、ぱっと見はわからないようなぬかるみにはまりかけて、車を降りて押す作業をした僕も、結構な泥まみれの姿になってしまいました。

    標高5000メートルに達する峠、センゲ・ラの頂上。

    鋭利な岩峰がそびえるセンゲ・ラ直下の山々。。。

    険しい山々の狭間にぽつぽつと点在する集落。

    標高4805メートルのシルシル・ラを越え、さらに南に進むと、車は標高5000メートルに達する巨大な峠、センゲ・ラにさしかかりました。みぞれ混じりの冷たい風が渺茫と吹きすさぶ中、撮影もそこそこに車内に戻り、先を急ぎます。このくらいの標高の峠になると、夏でも雪が降ることは珍しくありません。

    青々とした麦の段々畑が連なる、リンシェ村。

    泊めてもらった民家の軒先からの風景。

    リンシェからザンスカールまでの遥かな道のり

    今回の旅では、新道の行程の中間地点にあたるリンシェ村で、ロブザンの友人の実家に1泊、泊めていただくことにしました。7、80軒ほどの民家が点在する、この一帯ではかなり大きな村です。夕刻、雲の切れ間から射してきた光が、青々とした麦畑を鮮やかに照らし出していました。

    1000メートルもの高低差を一気に下る道の入口。

    急降下の後、ザンスカール川に架かる橋を渡る。

    翌朝、リンシェの村の手前にあるムルグン・ラという峠の付近から、新道を一気に1000メートル近く下っていきます。未舗装路の土質は非常に柔らかく、ちょっとの雨で土砂崩れが頻発しそうな脆さです。ザンスカールまで行き来はできるけれど、主要な道路にはならないだろう、危なっかしいから、と地元の人々も話していました。

    道を下り切り、リンシェ川沿いを進むと、ザンスカール川との合流地点に出ます。川沿いを少し遡ると鉄橋があり、渡ってさらに進むと、次第にましな道路になっていきました。

    ザンスカールの雄大な空。

    やがて視界が一気に開け、蛇行する川の先に、ザンスカールの雄大な風景が広がるようになりました。秘境の旅は、まだまだ続きます。

    私が書きました!
    著述家・編集者・写真家
    山本高樹
    1969年岡山県生まれ、早稲田大学第一文学部卒。2007年から約1年半の間、インド北部の山岳地帯、ラダックとザンスカールに長期滞在して取材を敢行。以来、この地方での取材をライフワークとしながら、世界各地を取材で飛び回る日々を送っている。著書『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』(雷鳥社)で第6回「斎藤茂太賞」を受賞。最新刊『旅は旨くて、時々苦い』(産業編集センター)発売中。

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