いろいろ試せる、手軽な塩糖水(えんとうすい)漬け
肉や魚をふっくらジューシーに調理できる塩糖水(塩と砂糖と水を混ぜた液体のこと)は、いろいろな食材に応用できる。
たとえば、脂肪分の少ない豚もも塊肉。下準備をしっかりして塩糖水に漬け、冷蔵庫で2〜3日ねかせから弱火でじっくり茹でると、しっとりやわらかなハムに変身。野菜も食べやすい大きさに切って、塩糖水に半日ほど漬けておくだけでOK。浅漬けと同じ考え方だが、塩味が穏やかなので、ほかの食材と合わせて和物やサラダにも活用できる。白菜やキュウリなど水分の多い野菜の場合、塩を5gにすると味が安定する。昆布やカツオ、柚子など旨みのもとや香りのもとを一緒に漬けると味の変化も楽しめる。ほかにも、卵や豆腐、豆類などを漬けておくと、ちょうどいい塩加減になる。
カプレーゼ
(1)モッツァレラチーズの塊を塩糖水に漬ける。塩糖水の分量は、塩小さじ2/3(約3g)、砂糖大さじ1/2(約5g)、水100ml。空気を抜き、この状態で半日おく。
(2)水気を拭いてチーズをちぎり、ひと口大に切ったトマト(1個)、バジル(適量)と一緒に、オリーブオイルで和えればできあがり。モッツァレラチーズは包丁で切るより、手でちぎった方がガサガサ感が出て、オイルがよく絡む。
「塩を振るよりも均一に味が回ります。キャンプ場についてサイトを作ったら、まずはこれを作って、ワインを開ける。料理って調味することがいちばん頭を使うから、ササッと一品作れると、あとが楽。野菜も漬けておけば生はもちろん、サッと煮る、焼く、茹でるなどなんにでも使えるし、味付け要らず。パパッとできるからキャンプにも最適です。調味料として持っていくなら、私はコショウがオススメ! キャンプの朝のたかがトーストも、焼いたパンにオリーブオイルをかけてコショウを振るだけで、朝からワインが飲めます(笑)」
上田淳子さん
家庭でも再現しやすいフレンチレシピや、無理しない普段の食事をベースに料理家として幅広く活躍中。じつは学生時代ワンダーホーゲル部で、数々の山を闊歩。ひとり暮らしのときはコッヘルで料理を作っていたとか。「山の上でオイルサーディンの缶詰をそのままバーナーでぐつぐつ煮て、レモンを絞ってワインで乾杯、なんてのも結構いけますよ」かなりのワイン通でもある。『おいしくなって保存もきく!塩糖水漬けレシピ』(世界文化社刊)など著書多数。
撮影/黒石あみ 取材・文/大石裕美