アルプスの楽園!マッターホルンを望むスイス・ツェルマットで楽しむ花と動物の絶景トレイル | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

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2026.10.02

アルプスの楽園!マッターホルンを望むスイス・ツェルマットで楽しむ花と動物の絶景トレイル

アルプスの楽園!マッターホルンを望むスイス・ツェルマットで楽しむ花と動物の絶景トレイル
今年の夏、スイスのあちこちの山岳地帯で小旅行をしていた我が家。今回滞在したのはスイスのヴァリス州にあるツェルマット(Zermatt)です。

すでに何度か訪れたことがあるツェルマット。数年ぶりの滞在となる今年は夏休みと重なり、国内外の観光客で大にぎわい。周囲の放つ高揚感がこちらまで伝わってきます。
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日本と深い絆も?心地よい空気が漂うツェルマットを歩く

標高1620mのツェルマットに到着した時、気温は21~22℃で気持ち良い風が吹いていました。ホテルにチェックインしてひと息ついた後、いつものツェルマット一周散策へ出かけることに。

山小屋風の店舗やホテルが立ち並ぶツェルマットの大通り。

夏のツェルマットは日本からの旅行者に最も人気が高い観光地の一つ。それだけに通りを歩いていると日本語がよく耳に入ってきます。

水飲み場の新鮮な清水も汲み放題(そして無料!)。

雄大な自然に囲まれ、和やかな情調あふれるツェルマットに魅了され、長年にわたり交流を重ねてきた日本の自治体も存在します。遠い国同士だけど似た風景があり、何となく郷愁感があるところも深い絆で結ばれやすいゆえんなのかもしれません。

通りの花壇で見かけたエーデルワイス。スイスの国花ですが、ヒマラヤ山脈など中央アジア原産で氷河期にヨーロッパアルプスまで分布拡大。

さてぐるっと村を一周してマッターホルンに挨拶をしたり、道沿いに植えられたアルプスの花々の横を通り過ぎたりしながら、夫と一緒に明日の具体的なルートを作戦会議。

山岳鉄道の線路を渡る時はつまずかないようご注意。

翌日は数年前にできたばかりのある場所と、この地域原産の動物たちが暮らすエリアへ足を延ばします。

希少なアルプスの花を守る、ローテンボーデンの「小さな植物園」

次の日、ホテルで朝食を済ませたらさっそく目的地へ出発!

ツェルマットでよく知られた名所といえば、ゴルナーグラート(Gornergrat)。スイス初のラック式電気鉄道で、1898年から運行を開始したゴルナーグラート鉄道に乗り、標高3089mの展望台で氷河の絶景を楽しんだり、ハイキングを楽しみながらアルプスの花々や動物を観察したりと、自然の魅力が凝縮されています。

とはいえ今回私たちが目指すのは頂上駅ではなく、途中駅のローテンボーデン(Rotenboden)。

ゴルナーグラート鉄道の車窓から見えた、青空の中のマッターホルン。

ローテンボーデンは、リッフェル湖(Riffelsee/リッフェルゼー)の湖面に映る“逆さマッターホルン”の景色でよく知られますが、私が見てみたかったのは2024年にオープンした高山植物園「(Alpingarten/アルピンガルテン)」でした。

この周辺では100種を超える高山植物が見られるらしく、特に7月~8月半ば頃にしか開花が見られない種や、ここでしか見られない希少なものもあるそう。

標高2815mのローテンボーデン駅で下車。

ところが、ローテンボーデン駅からリッフェル湖を目指す多くの観光客によって高山植物が傷つけられてしまい、土地も荒れてしまっているのだとか。

もちろんここを訪れる人たちは故意に高山植物を踏んでいるわけではなく、草地や岩場にひっそり生えているがゆえに、気付かずうっかり踏んでしまうようです。

マッターホルンが映る湖を目指し、みんな一斉に坂を下りて行きました。

さらに駅からリッフェル湖への道は、石が多い砂地の道で不安定。歩いて降りていく時に「足を滑らせるのでは」という恐怖心から、多くの人が歩きやすい草むらを通っていたのかもしれません。

滑りやすく足元の悪い急な下り坂の道。

そういった背景から新しくできたミニ高山植物園「アルピンガルテン」は入場無料。木製の柵とロープで囲んで植物を守り、その横に小道が設けられています。

高山植物の写真や名前が書かれたプレートも至る所に立っており、ここでたくましく生きる植物のことを学べるようになっていました。

「アルピンガルテン」は、木製の入り口からロープで囲っただけのシンプルな作り。

こうして花を観察していた私ですが、ダメージを受けている草地では花の姿もやや少なく思えます。その時横で花を見ていた男性2人が「ここにエーデルワイスの説明プレートがあるのに、エーデルワイスが見当たらないねぇ」と話しているのが聞こえました。

観光客に一番人気があるエーデルワイスですが、土地が踏み荒らされた結果、この地から姿を消してしまったそうで、現在再導入を試みている最中なのだとか。そのためアルプスの自然の中で咲く「高貴な白い花」は見られませんでしたが、他の様々な高山植物が私たちの目を愉しませてくれました。

7月下旬でしたが、春のアルプスを代表するゲンチアナ・ベルナに会えました。
他の可憐な花たちとは異色の“ダイ・ハード系”なクモノスバンダイソウ。
険しい岩場に咲いていたコケマンテマ。山ヤギ並みの足さばきで下って撮影。

リッフェル湖のほとりにたどり着いた後は、白いふわふわのワタスゲで彩どられた風景の中散策を楽しみ、ときおり小休止を挟みつつ贅沢な時間を味わったのでした。

何時間でもぼーっとしていられそうな至極の時。

“世界一カワイイヒツジ”不在…その直後に遭遇した愛すべき動物たち

ローテンボーデンに別れを告げ、次に目指した目的地はリッフェルアルプ(Riffelalp/標高2211m)。

ヴァリス州原産で“世界一カワイイ”と言われる「ヴァレーブラックノーズシープ(ヴァリス州の黒鼻ヒツジ)」ことヴァリザー・シュヴァルツナーゼンシャーフ(Walliser Schwarznasenschaf)に会いたかったのです。

リッフェルアルプは下り列車で2駅先にあります。

なんでも夏の間放牧されているヒツジたちがどこにいるか分かるサイト『Meet the Sheep(ミート・ザ・シープ)』によれば、この日はリッフェルアルプ周辺にいるらしい。

しかし念のため、朝列車に乗る前に駅近くにある観光案内所も訪れていました。

地元で育ったのであろうメガネの若い男性スタッフが「『Meet the Sheep』が示している場所にいるはずですよ!あ、でも絶対会えるとは限りませんヨ、ヒツジたちは自分の意志で動きまわるので」とニッコリ。――果たしてヒツジたちに無事会えるのでしょうか。

夏の野花が咲き乱れるリッフェルアルプの小道。

さっそくリッフェルアルプの散策路を歩き回り、ヒツジがいそうな場所を手当たり次第に探してみるものの、姿はどこにもありません。ふと見ると、同じように愛犬連れの夫婦らしき二人も何かを探すようにうろうろしています。ちょっとあの二人に話しかけてみようか。

その途端、1台の車が山の上の方からゆっくりと坂道を下って来ました。リッフェルアルプのホテル所有の車です。すると二人連れの女性の方がその車を呼び止め、運転していた男性に何か質問し始めました。

私たちが遠くから耳を澄ませて会話を聞いていると、どうやら女性はヒツジがこの辺にいるか尋ねているよう。

「カイネ・アーヌン(ドイツ語で「全く分かりません」の意)!上の方にはいませんでしたよ」と申し訳なさそうに肩をすくめる男性。がっくり肩を落とす私たち。

この辺りにヒツジたちの群れがいると思ったのですが…。

後日分かったことですが、ヒツジたちは主に火曜日~日曜日に放牧されていて、月曜日は「休業日」なのだとか。そしてまさに私たちがヒツジに会いに行ったのは月曜日。

スイスアルプスの山の天気以上に予測が難しかった、ヒツジたちの“勤務スケジュール”でした…実に悔しい。

ツェルマットのスーパーで調達したおやつに傷心を癒してもらう。

失意の中ツェルマットへ戻り、通りをぶら歩きしていると、どこからともなくガランガランと大量の鈴の音がします。何事かと様子を見に行くと、「ヴァリザー・シュヴァルツハルスチーゲ(Walliser Schwarzhalsziege)」が村の大通りを闊歩(かっぽ)しているところでした。

直訳すれば「ヴァリス州の黒首ヤギ」と呼ばれるヴァリス州原産のヤギで、白黒のツートンカラーが特徴です。首のみならず上半身全体が黒いので、なんだか白ヤギが黒い上着を着ているかのよう。

足並みを若干乱しつつ、家路につくヤギたち。

そういえばホテルのチェックイン時に、「夏の間ヤギたちが村の通りを歩いて牧草地まで行き来するんですよ。この時表通りの花をつまみ食いするので困ってるんです」とスタッフが話していましたっけ。

ちなみにこのヤギたちは搾乳や食肉用というよりは、景観保護目的もしくはペットとして飼育されることが多いのだとか。

こうして思いがけずヒツジの代わりに、またしてもヤギを引き寄せた私。思えば数年前のサース・フェーでも、マーモットに振られてヤギに頬ずりされた記憶が…。どうやらヤギとは相性がとても良いようです。

Zermatt – Matterhorn:
https://www.instagram.com/zermatt.matterhorn/?hl=en

著者画像

小島瑞生さん

スイス在住ライター

1998年~2009年までアイルランドで暮らした後、2009年からスイス在住。スイス始め欧州の国々のさまざまな興味深い情報を雑誌やウェブサイト、ラジオ等のメディアにて発信中。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員

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