“あの最高峰”の前に古墳に登頂! 戸山公園は都電駅からの寄り道がおもしろい【鈴木みき「都立公園へ行こう!」2】 | 日本の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

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2026.09.02

“あの最高峰”の前に古墳に登頂! 戸山公園は都電駅からの寄り道がおもしろい【鈴木みき「都立公園へ行こう!」2】

“あの最高峰”の前に古墳に登頂! 戸山公園は都電駅からの寄り道がおもしろい【鈴木みき「都立公園へ行こう!」2】
私が「登山好き」なことにちなんで、1回目の取材(連載は2回目)に選んだのは、新宿区にある「戸山公園」です。こちらは登頂できる都立公園。しかも「とある最高峰」があるんです!
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東京最後の路面電車でアクセス

最寄り駅は…ちょっと簡単に言えないくらいたくさんあって、どこから歩いても10分以上。新宿区という都心にありながらも、ちょっと死角のようなエリアといえるでしょうか。私はアクセスを思案した結果、都内に住んでいても滅多に乗る機会に恵まれなかった乗り物で向かうことにしました。

JR山の手線「大塚駅」南口を出て、目的の路線に乗り換えです。
これだ、これだ!JR線の下がホームなんだね。
かっこいい~。
東京さくらトラム「大塚駅前駅」から乗車したのは……。
東京を走る最後の都電(路面電車)です。
知らぬ間の2017年に「都電荒川線」から名称が変わっていました。
車との並走や縫うように進む閑静な住宅地の景色を楽しみながら、12分で終点「早稲田駅」に到着。
折り返していく車両に、大人だけど「さようなら~ありがとう~」と小さく手を振る。
大通り(新目白通り)の真ん中に降り立てるのは路面電車ならではの楽しさ。

寄り道①水稲荷神社――江戸最古の富士塚はどこ?

ここから公園までは徒歩15分程度。ほかの最寄り駅に比べると少し距離がありますが、そこまでに何があるか散策しながらいくとします。ちなみに早稲田界隈の土地勘がまったくないといっても過言ではないため、このあと寄り道が続き公園になかなか辿り着かないことをご期待……間違えた、ご了承ください。

当たり前ですが、早稲田はほぼ大学の敷地なんですね!
その関係か、歩いている人が全員賢そうに見えます。
「水稲荷神社」か……。
なんで「水」なのか気になるから行ってみよう。
階段を上がると意外と平坦で広い参道。
奥に突き当たると右側に鳥居がある。
ひっそりと静かに鎮座する拝殿と対照的に、境内には蝉の声が響き渡っていました。

なんでも「水稲荷」の「水」の由来は、現在地にご遷座される前の江戸時代(1702年)に、ご神木であったムクノキの根本から湧水が出て、それが眼病に効くと評判になったことからだそうです。以来、「水」にちなんで、消防関係者、水商売関係者が多く訪れるようになったとか。老眼にも効くかな?しっかりお参りしていくとしよう!

1963年にこちらに遷座(移転)する前は、現・早稲田大学の構内にあったことから、
かの早稲田大学創設者・大隈重信がよく参詣していたのだそう。
それにもあやかりたいものです。
拝殿の裏手には「富塚古墳」。
こちらも神社と一緒に引っ越してきたらしい!
飛び交うカナブンにぶつかられながら古墳に登頂(?)。
奥宮のまわりではたくさんの狐さんたちが舞い踊っていました。

そしてなんと、引っ越してきたのはこれだけではありません。実は、どこにあるか探せなかったのですが、境内には富士塚(高田富士)もあります。しかも江戸最古の、つまり富士塚の第一号! いつもは立入禁止で、富士山の山開きに合わせた7月の2日間しか登山はできないそうですが、一目見たかった!いやいやまったく、何も知らず立ち寄ったのはもったいないことだったかもしれませんね~。でもこれから「とある最高峰」を登頂しに行くのですから、先に富士山に行ってしまうというのも先方に失礼かもしれないから今回は致し方ない。うん、そういうことにしておきましょう。

ほかにもいくつもの御末社があるので、
ちゃんとお参りしようと思ったら時間の余裕を持って訪れてください。
神社と隣り合わせにあった「新宿区立 甘泉園公園」にも立ち寄ってみました。

寄り道②甘泉園公園――お茶に適した水が湧いた

もともとは江戸時代に造られた清水徳川家の下屋敷(別荘)にあった回遊式庭園なのだそう。たしか戸山公園も徳川家の……? 「甘泉」の名前の通り、ここにはお茶に適したおいしいお水が湧いていたとのこと。「水稲荷」といい、この早稲田界隈は「水」に恵まれていたんですね。私ここでピンと来たことがありましたが、今後その不思議を紐解くことができる都立公園に行くので今回は割愛します。

のんびり日本庭園を味わっている大名のような亀。

寄り道③穴八幡宮――クスノキの巨木、黒い拝殿!

「最高峰」に登る前に古墳に登頂したり、「都立公園」を紹介する前に「区立公園」に寄ったり脱線が止まりませんが、だって、見てください。もう少しで戸山公園というところまで歩を進めたのに、デデンと現れた立派な鳥居。立ち…立ち、立ち寄る!立ち寄らせてください!

早稲田通り(旧鎌倉街道)に面した大きく黒い鳥居。

ここは「穴八幡宮」。ただならぬ立派な雰囲気が伝わってきます。 「八幡」さんだから源氏と深いかかわりがあるのは察せるとして……「穴」ってなにかしら?

まるで城のような迫力がある八幡さんです。

「穴八幡宮」の「穴」の由来は、山裾を切り開いた際に神穴が出現したことによるものだそうです。それを機に、当時この地に住んでいた幕府の右筆(今でいう書記官)大橋龍慶が土地を献じ、壮大に造営しはじめたとあります。

「壮大に~?こんな都会に~?」とあまり期待せずに坂道を上がると……。
本当に壮大でした。
想像を超えた空間にちょっとビックリ。
拝殿前の大きい大きいクスノキ。
幾度となくあった災いから再建したという拝殿も美しい。
屋根の装飾金具がレースのよう…。
拝殿の黒漆に対して楼門や鼓楼の赤が鮮やかなコントラスト。
布袋さんのお腹なでられ過ぎでツヤツヤ。
神輿庫がずらりと並ぶ。
14の町会神輿が出るという9月の例大祭は賑やかだろうな。

その後、三代将軍家光が「江戸城北の総鎮護」を命じ、お祭りも盛大で当時憧れの観光名所でもあったようです。八代吉宗のころからは流鏑馬が奉納され、明治に入って途絶えていましたが昭和39年に(会場を「水稲荷神社」に移し)復活。昭和54年(1979年)からは「戸山公園」にて毎年スポーツの日に行われている…とっ!「戸山公園」!? まずい!今日が終わってしまう。行かなくちゃ‼

本題の戸山公園。めざすは「箱根山地区」

「穴八幡宮」から数分で、本日の目的地「都立戸山公園」の石板がありました。 東京メトロ東西線の「早稲田駅」から来ていれば、ここから始まっていたはずです。大変お待たせしました。

やっと着いた~。
と思いきやすぐに車道に。
渡った先が公園のようです。
おっ!「箱根山通り」とな?

「都立戸山公園」は2つのエリアからなる公園です。 車道などでエリアが分かれる都立公園はほかにもありますが、戸山公園がめずらしいのは、それらが“かなり離れている”こと。最短距離でも約800m離れていて、もし1つのエリアの端にある入口から、もう1つのエリアの端まで歩こうとすれば直線距離で約1.5キロあります。もはや別々の公園だと思って利用している方もいる気がします。

そして、今回私が目指している「とある最高峰」があるのは「箱根山地区」。 私はまさにその入口、いわば登山口に辿り着いたようです。

ここで間違いなさそう。
ここは「早稲田口」になります。
泳いでいるカエルのようなかたちの「箱根山地区」。

登る山は、エリアの名前にもなっている「箱根山」。

「とある最高峰」の正体は、ずばり「”山の手線の内側”の最高峰」です。

様々なメディアで紹介されることもあるのでご存知の方も多いかもしれませんが、私は初見初登。どういうかたちの山なのかも知りません。果たして登頂できるのか!

さて……。
さてさて……。
さて……?
いやん、かわいい♡……ではなく。

「山」というより、都立公園のなかでもキッズ、ファミリー層向けのような……?平らで整然としていて、山らしい盛り上がりも見当たりません。遭難したんでしょうか。どうなんでしょうか。

入口で見た地図を憶えていますか。カエルが手足を広げたようなちょっと変わった敷地でしたよね。そのせいで目の前の景色が二手に分岐していくような効果が生まれ、こっちかな?でもあっちにも行ってみたいな?と誘われていくうちに方向感覚を失ってしまいました。

放水時間の制限はありますがせせらぎを感じられる小川や滝もあります。
急に覆い被さってくるような緑。
こもれびにうっとり。
かと思えばすぐ隣は住宅地。
あきらかに人の手で造られたであろう梅林もありました。

尾張徳川家の下屋敷「戸山荘」(の一部)

今日は奇しくも徳川家とゆかりが深いスポットに立ち寄ってきましたが、実はこの「戸山公園」も尾張徳川家の下屋敷の一部でした。「戸山荘」と呼ばれたこの下屋敷は江戸随一の広さを誇ったそうで、その総面積は約13万6千坪(44.9ヘクタール)。どんな単位で表してもピンとこないと思いますが一応東京ドーム換算すると、およそ10個分にも及んだそうです。尾張徳川家といえば、徳川御三家の筆頭格。さぞかし贅を尽くしていたんでしょうね。現在の園内のレイアウトがそのときのままでないにしても、人工的な川や滝、梅林もどこか庭園的に感じたのは、意識的にその名残を残しているのかもしれないなぁ、なんて思いました。

さて、次回はいよいよ「箱根山」へ! 無事に「登山」できるんでしょうか!お楽しみに。

戸山公園

JR山手線「新大久保」「高田馬場」・東京メトロ東西線「高田馬場」下車徒歩10分(大久保地区)・徒歩25分(箱根山地区)
東京メトロ副都心線「西早稲田」下車徒歩6分(大久保地区)・徒歩8分(箱根山地区)
東京メトロ東西線「早稲田」下車徒歩10分(箱根山地区)
都営地下鉄大江戸線「若松河田」、東京さくらトラム「早稲田」下車徒歩15分(箱根山地区)

著者画像

鈴木みき

イラストレーター

1972年東京生まれ。イラストレーター、執筆家、防災士、ウィメンズヘルスアドバイザーⓇ。24歳のときに訪れたカナダで山旅の魅力にはまり、帰国後に自ら登山専門誌の取材同行モデルに応募し本格的に登山をはじめる。山小屋やスキー場のアルバイトをしながら、全国の山に取材に出かけイラストや山行記を雑誌に寄稿。コミックエッセイ『悩んだときは山に行け!』(平凡社、2009年)以降、山に関する著書を多数出版。近著に『キャンプ気分ではじめる おうち防災チャレンジBOOK』(エクスナレッジ、2023年)、『知っている山からはじめよう! 大人の日帰り登山』(講談社、2024年)、『更年期の歩き方――アラフィフ山女子、不調と向き合う』(講談社、2026年)。国内外での登山ツアーの企画同行、講演、メディア出演なども行っている。

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