今回は、都電荒川線の荒川車庫前〜新庚申塚停留場間を散策する「さくらトラム北・豊島区GREEN WAY」です。
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47th ルート:さくらトラム北・豊島区GREEN WAY
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30ある停留場を、三ノ輪橋から順番にめぐっている都電荒川線トレイル。今回は、前回歩き終えた荒川車庫前停留場から出発し、巣鴨方面に進みます。その名も「さくらトラム北・豊島区GREEN WAY」です。念のために記すと、さくらトラムは都電荒川線の愛称です。
前回の町屋駅前〜荒川車庫前間はほぼ住宅街で、ひたすら「書くことが見つからない」とグチりました。実は、今回の区間もしばらく住宅地が続きます。書くことがないとボヤくぐらいなら、いっそ次の大きな街までさっさと歩いてしまおうか…という考えが頭をよぎりました。でも、僕の良心が初心を呼び起こします。
これまでにも何度か書いていますが、僕は都内の身近な自然や意外な歴史にふれながら楽しく歩きたいと思って、この連載「東京GREEN WAY」を始めました。別に何かの記録に挑んだり誰かと競ったりしているわけではありません。
長距離を歩いたらすごいとか、珍しいものを発見したら偉いといったことでもありません。ただただ普通に心地よく歩ければOKなのです。
この都電荒川線トレイルも、誰かに命じられて歩いているわけではありません。自分発信で、何となく面白そうだからと歩き始めたのです。何もなさそうな住宅街だからと早足で通り過ぎるなんて、本末転倒というか、とてももったいないことです。
ありふれた通りこそ、じっくりと噛みしめるように歩く。その結果、何も見つからなかったとしても、楽しく歩けたらそれで良い、と思うのです。問題は、「楽しく歩きました」だけでは記事にならないことなのですが。
…といったことをぼんやり考えていたら、荒川車庫前から次の梶原停留場の近くまで歩いていました。その梶原停留場の手前に「都電もなか」と大書されたシャッターのお店がありました。1957年創業の和菓子屋さん「菓匠 明美(あけみ)」です。
都電もなか本舗 菓匠明美
FILE.45でも記したように、かつての東京には路面電車の路線が数多く存在しました。でも、交通渋滞の解消などを目的に次々と廃止され、都電荒川線を残すのみとなります。そんな長く親しまれた庶民の足を形に残そうと考案され、1977年に商品化されたのが「都電もなか」です。
もなかの皮が都電の車両をモチーフにしているだけでなく、個包装のパッケージにも歴代の車両のイラストが描かれています。また、20個入の箱には路線図などが描かれ、すごろくとしても遊べる仕様になっています。
僕も知り合いにいただいたことがあるのですが、おいしいし、デザインも楽しいしで、お土産にオススメです。調べたら、お店のURL(https://www.todenmonaka.com/)も「todenmonaka(都電もなか)」でした。

あらためて、荒川線沿いに進んでいきます。時おり線路脇の道が途切れるので、線路を渡って反対側に移るなどして、なるべく荒川線に沿うように歩いていきます。
ふと目を向けると、線路周辺に雑草が生い茂っていました。廃線跡のようにも見え、「スタンド・バイ・ミー」ごっこをやりたくなりますが、いうまでもなく線路内への立ち入りは厳禁です。

それにしても、都電荒川線は目の前を結構な頻度で通過します。距離が近く、頻繁に見かけることで、親近感がぐんぐん高まります。

いつしか住宅街にある栄町停留場を通り過ぎました。進行方向に、JRの複数の線路が見えてきました。ということは、間もなくJR王子駅です(荒川線の停留場名でいうと王子駅前)。
ところで、ここまでずっと「停留場」という表現を用いてきました。都営交通の公式サイトなどでも「停留場情報」などと明記されているので疑問に感じなかったのですが、なぜ都電荒川線は「駅」ではなく「停留場」なんでしょうか。
ざっくり調べたところ、法律によって道路上の乗降場所を停留場というそうです。正確には「路面電車停留場」で、略して「電停」とも呼ぶとか。また、信号機などの設備がない駅を「停留場」と呼ぶこともあるそうです。ちなみに、事業者によっては「停留場」を「駅」と呼んでいるところもあるらしいです。
法律や設備、慣習などによって、駅と停留場を呼び分けたり分けなかったりするようです。何だか分かったような分からないような話題を持ち出してしまい、すみません!
ところで、バスは「停留所」ですね。「停留場」と「停留所」の違いは…面倒なので、そのうち気が向いたら調べます。すみません!
駅と停留場のはっきりしないテーマを考えているうちに、JR王子駅の近く、つまり都電荒川線の王子駅前停留場のそばまできました。今回、ここまで歩いてきた区間の都電荒川線はフェンスに囲われた線路を通っていました。でも、JR王子駅近辺では道路上の軌道を走っていて、いかにも路面電車らしい姿を目にすることができます。

JR王子駅の近くで、都電荒川線の線路は大きく湾曲しています。JR王子駅のすぐそばにある飛鳥山公園を回り込むためですが、その湾曲部から少しだけ荒川線の線路沿いを離れます。せっかくなので、王子神社に手を合わせようと思い立ったからです。
王子神社
この連載「東京GREEN WAY」のFILE.37〜FILE.42で石神井川沿いを歩いた際にも何度かふれましたが、かつてこの周辺を豊島氏がおさめていました。その豊島氏が熊野信仰に基づいて紀州熊野三山の若一王子(にゃくいちおうじ)を勧請したのが王子神社です。
もともと岸村だった地名が王子村にあらたまったのも、この神社が由来だとか。また、境内には「髪の祖神」とされる蝉丸(せみまる)をまつった関神社があり、理容・美容業界の方の信仰も集めているそうです。
ちなみに、王子神社の歴史を調べていたら、紀州徳川家出身の八代将軍・吉宗から「飛鳥山を寄進された」とありました。何ともスケールの大きな話です。いつの日か、将軍から「山、あげるよ」といわれることを願いつつ、王子神社で手を合わせました。

王子神社から都電荒川線の近くまで戻り、路面電車に寄り添うように歩いていきます。飛鳥山公園の北西を明治通りが通っていて、その道路上の軌道を都電荒川線が走っています。でも、すぐに明治通りから離れ、再び囲いにおおわれた線路上を通るようになります。線路のすぐそばまで住宅が迫り、脇道も途切れがちになりますが、どうにか都電荒川線のなるべく近くを進みます。
飛鳥山停留場の先に、たくさんののぼりがはためいていました。象頭山(ぞうずさん)本智院(ほんちいん)というお寺のようです。
象頭山本智院
詳しい年代は不明ですが、もともとは八丁堀で創建。火災にあって浅草に移転し、大正時代に現在地に移ってきたそうです。ちなみに、象頭山は香川県に実在する山で、中腹に金毘羅宮が鎮座していますが、本智院との関係は不明です。
門は閉ざされていましたが、入口横に身代わり地蔵尊がありました。そちらに手を合わせ、本智院を後にしました。

飛鳥山から次の停留場である滝野川一丁目に向かう線路横には生け垣や植栽が整備されていました。線路脇の道は狭いですが、都電荒川線のすぐ横を気持ち良く歩いていくことができます。

私立の桜丘中学・高等学校の線路を挟んだ反対側に、材木店がありました。「小川木材商店」という看板と並んで、「木楽楽」という看板も掲げられています。「きらら」と読むカフェのようです。
1953年創業の材木店が2010年にスタートした「ゆる Cafe木楽楽」は月2回ほどの営業ですが、プリン・ア・ラ・モードが人気だそうです。また線路脇にあるので当然ですが、間近に通る都電荒川線の姿を店内から眺めることができます。

心地よく都電荒川線に寄り添って歩いていましたが、滝野川一丁目停留場を過ぎると線路脇の道が途絶えました。仕方なく住宅街に進むと、途端にロスト(迷い道)しかけます。
それでも、都電荒川線という明確な指標があるので、そこまで回り道をすることもなく、どうにか西ヶ原四丁目停留場にたどり着きました。西ヶ原四丁目停留場の少し先に、妙行寺というお寺がありました。
妙行寺
もともとは現在の赤坂で創建し、江戸時代に四谷鮫ヶ橋南町へ移転。明治時代に現在地に移ってきたそうです。

この妙光寺には、「四谷怪談」のお岩さんのお墓があります。「四谷怪談」は創作ですが、お岩さんには実在のモデルがいて、その嫁ぎ先である田宮家が妙行寺の檀家だったそうです。
「四谷怪談」は歌舞伎や映画などの作品が何度もつくられていますが、その関係者がお岩さんの墓参に訪れることも多いのだとか。なお、怪談の登場人物と異なり、実在のお岩さんは良妻賢母だったという話も伝わっているそうです。

妙行寺のすぐ前には都電荒川線と並行して走る道路があり、その名も「お岩通り」といいます。お岩通りを少し進むと、新庚申塚停留場がありました。今回は、ここでフィニッシュとします。
前回同様、今回も住宅街を歩くので、「書くことがない」とグチることになるのではと危惧していましたが、杞憂に終わった気がします。
あっさり通り過ぎてしまいそうな神社や寺院でも、その由縁を知ると紆余曲折を経て現在に至っていることが分かります。そんな寺社仏閣の由来を知ることは街の歴史にふれることにもなり、通りすがりのハイカーである僕でも地域に親しみを感じるようになります。しかも、そこには都電荒川線が走っているので、今回歩いたエリアが何だかすごく良い街に思えてくるのでした。
前々回のFILE.45からスタートした都電荒川線トレイルですが、今回までで30ある停留場のうち20を踏破しました。残り10の停留場では、どんな光景を目にできるのでしょうか。(この先は住宅街ではないのであまり心配していませんが)次回も楽しく歩きたいと思います。
■今回歩いたルートのデータ
|距離約3.8km
|累積標高差約12m
今回のコースを歩いた様子は動画でもご覧いただけます。
●さくらトラム北・豊島区GREEN WAY





