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2026.08.15

仕事が終わったら防水バッグに服を詰めて川にバッシャーン!スイスの帰宅方法がスゴすぎる

仕事が終わったら防水バッグに服を詰めて川にバッシャーン!スイスの帰宅方法がスゴすぎる
晴れた夏の日。冷たい川に足を浸して、ちゃぷちゃぷ涼を楽しんでいたら、川の上流からどんぶらこ~どんぶらこ~と流れてくるものがありました。

さて、それはなんでしょうか…?
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老若男女に親しまれている首都の川

人!

キャッキャと人が流れてくる!

人!

ここはスイスの首都、ベルン。街中を流れるアーレ川は、ほんのりミルク色を含んだような美しいターコイズブルーが印象的な街のシンボルです。

そこを流れてくる人、人、人!!そうなんです。このアーレ川、けっこう流れが急なんですが、その急流を活かした「川下りアクティビティ」が人気のスポットだったんです。しかも若い人たちがはしゃぎながら楽しむものかと思いきや、意外とおじさん、おばさんたちもどんぶらこどんぶらこと流れてくるんです。

車でヨーロッパ各国を回りながら旅行してた我が家が、このアーレ川にやってきた理由はただひとつ。うちの夫も、アーレ川で流されてみたかったから…!彼の人生のパケットリストのひとつ、長年の夢だったそうです。

これから流れに行くおじさんたち。

アーレ川沿いにある、公園やキャンプ場が並ぶ地域にやってきました。他にも川下りを目的にやってきた人たちが大勢いましたが、あくまでこれは自己責任。公園内や途中の橋にも注意書きが掲示されていました。ボートやカヤックで流れてくる人たちもいますが、多くが生身の体ひとつで流れていきます。

見ていると、カラフルなバッグを抱えて流れている人たちがいました。防水バッグに靴などをいれているよう。確かに川の流れが速いので、スタート地点まで歩いて戻るのはちょっと大変そう。バッグに履物も入れて一緒に流れていくのは合理的ですね!

ちなみにベルン市では、これらの防水バッグは安全用品としては推奨していませんが、ちょっとした浮き代わりにしている人たちが多いようでした。中には、仕事が終わったら防水バッグに服を詰めて、川にばっしゃーん!川を流れて帰宅する人たちもいるとか。渋滞知らずの帰宅方法すぎます。

おしゃべりしながら楽しそうに流れていく女の子たち。

まずはちょっと川の水に慣れてみよう、と足をつけてみると、結構冷たい!さすがアルプスの山から流れてくる水。ベルン市内でのアーレ川の8月の水温を調べたところ、17~18℃程度だそうです。日本で水遊びで人気の川のひとつ、高知県の四万十川の水温が24℃くらいなので、それと比べてもかなり冷たいですね。

さて夫もさっそくアーレ川流れにチャレンジ!やはり、水はかなり冷たいよう。体を慣らしてから、いざ川の流れに乗っていきました。

思っていたよりも早く流れていく!

流れを追いかけていった先には?

学生たちのグループが並んでます。

流れが速くて、あっという間に遠くまで行ってしまいました。追いかけていくと橋にはもっと大勢の人たちが。これこそ自己責任ですが、橋の欄干から飛びこんでいるようです。

ジャンプ!

川沿いには岸に上がるための階段が設置されています。赤く塗装された手すりが目印。しかし夫の話によると、思いのほか流れが速く、うまく手すりをつかめない時もあったとか。手すりの箇所は多いので心配ないけど、思っていた場所で上がれないといったこともありそうです。

夫はトライアスロンやライフセーバーの経験者なので遊泳には慣れていますが、それでも「おおっ」と思うくらいに見た目よりも流れが速かったそうですよ。その分、気持ちよさや楽しさは格別!その後も何度も流れを楽しんでいました。やってよかった!と思える経験になったようです。

ベルン市のサイトによると、このアーレ川での水遊びは昔から市民に親しまれている文化。子どもたちは親と一緒に川流れデビューをするのが、この街のしきたりだとか。

ただ市民に愛されているアクティビティとしながらも、十分な泳力や体力があることや、雨の後などの水量が多い時は避けるなどの注意喚起をしています。チャレンジしてみたい方は、市のホームページや現地の状況も確認して、ぜひ安全に楽しんでくださいね!

もちろんカヤックやゴムボートでの川下りもあり、それらのアクティビティも家族連れやグループに人気のようでした。

ゴムボートで流れてくる家族連れ。

川の色のひみつは、アルプスの氷河。

こちらはSUP。ちょっと難易度高そうだけど、楽しそう!

さて、それにしてもこのアーレ川の水の色はなんとも特徴的。緑がかった青色に、キラキラとした乳白色が混ざったような色合いです。この色の秘密は、川の上流にあるスイスの山々にありました。

アーレ川は、アルプスの山々の雪や氷河が溶けた水でできています。氷河は長い時間をかけて少しずつ移動している氷のかたまりですが、その際に周りの山肌を少しずつ削っているのです。険しく切り立ったアルプスの山々の地形も氷河に削られてできたもの。なのでアーレ川の水には、とても細かい岩の粒子がたくさん含まれています。

アーレ川の上流にあるトゥーン湖。こちらも同様に美しい色合いの水をたたえています。

そして、それらの水中に散らばった粒子が太陽の光を反射し、乳白色のターコイズブルーという独特な色合いを生み出しているのだとか。透明度の高い川とはまた異なる趣の美しさですね。

しかもアルプスの山々の岩や、遠い昔に降り積もった雪である氷河がこの川の正体なんだと思うと、なんだか壮大な地球の歴史を眺めているようでした。

川が海に流れ、蒸発して雲になり、また雨となって地上にやってくることを「水の循環」といいます。実は、石も姿形を変えながら地球を循環しているんです。これは「岩石循環(ロックサイクル)」と呼ばれています。

アーレ川によって運ばれたアルプスの石の粒子たちはやがて海の砂となり、海底の地層として長い年月を過ごし、遠い未来に地殻変動によってまた山になる時がくるかもしれませんね。そんな壮大な地球の歴史にも思いを馳せられる、アーレ川遊びでした。

著者画像

福成 海央さん

オランダ在住ライター

ライター&科学コミュニケーター。福井県立大学海洋生物資源学研究科修了。スノーケリング教室のインストラクターバイトをきっかけに環境教育の道へ。その後「自然環境を伝えるのには科学が重要!」と気づき、科学コミュニケーターとして科学館に勤務。現在はオランダの教育、自然、ミュージアム関連の執筆を行うほか、現地にて日本語で学べるサイエンスワークショップ・プログラミング教室を開催しています。毎日おいしいチーズが食べられて幸せ。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。

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