夏休みは天の川を観察しよう! 「天の川って何?」と聞かれたときの正解は? | 天体観測・星 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

天体観測・星

2026.07.26

夏休みは天の川を観察しよう! 「天の川って何?」と聞かれたときの正解は?

夏休みは天の川を観察しよう! 「天の川って何?」と聞かれたときの正解は?
夏休みは街明かりから遠く離れた場所で、夜空に流れる天の川を観察する絶好のチャンスです。夏は天の川がいちばん明るく見える季節でもあります。その理由をご存知ですか? もし、子どもから「天の川って何?」とたずねられたら答えられますか? 今回は素朴な疑問、「天の川って何」に答えます。

どら焼き型の銀河の中で太陽の位置は餡子? それとも皮?

夜空に流れる天の川は英語ではミルキーウェイと言います。暗い夜空で見る天の川は、白いぼやっとした流れのように見えます。

今年4月、宇宙船オリオンが撮影した天の川。(画像:NASA)

天の川は何かというと、たくさんの暗い星の集まりです。双眼鏡や望遠鏡を向けてみると、数え切れない星の集まりであることがわかります。そのひとつひとつは肉眼では見えないほど暗いため、全体としてぼやっとした流れのように見えるのです。(ここでは私たちの銀河を天の川銀河と呼びます。アンドロメダ座大銀河、おおぐま座の子持ち銀河など、私たちの天の川銀河の外側にも銀河はたくさんありますので。)

では、なぜ天の川は夏が見ごろなのでしょうか? 特に、いて座の方向が濃く見えるのはなぜでしょうか?

夏が見ごろのいて座方向の天の川。さそり座も天の川にかかっている。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

それは天の川銀河が円盤のような形をしているからです。ここでちょっと、どら焼きを思い出してください。

どら焼きは中心に向かうほど餡子が詰まっている。餡子を星に見立てると天の川銀河に。

どら焼きは中心に向かうにつれ厚みが増し、餡子の量が多くなります。天の川銀河も同じで、中心がいちばん厚く、星がたくさん集まっているのです。どら焼きの中心方向に餡子がたくさん見えるように、銀河の中心方向にたくさんの星が見えます。それが天の川です。

中でも、いて座方向がもっとも濃く見えるのは、いて座の方向に銀河の中心があるからです。いて座が見ごろの夏の夜が天の川観察のチャンスになるのはそういうわけです。ひとつ注意していただきたいのは、いて座を構成する星たちはバラバラに位置していて、銀河の中心にあるわけではありません。

実際に、天の川銀河がどういう形をしているかというと、こんなイメージです。

天の川銀河を横から見たイメージ。真ん中のふくらみは英語ではBulge(バルジ)という。(画像:ESA)

天の川銀河の直径はおよそ10万光年。銀河の端から端まで光が到達するのに10万年かかるということです。星の数は数千億とされています。私たちが夜空で目にする恒星はすべて天の川銀河の中にある星です。

そんな巨大な銀河の中で太陽はどこにあるのでしょうか? 中心からの距離はおよそ2万7000光年とされています。銀河の中心と端っこの中間からやや外側といったところでしょうか。先のどら焼きでいうと、中心から離れていますが、餡子の中には入っています。

天の川銀河を真上から見たイメージ。渦を巻いているように見える渦巻型。太陽は中央から下に記されている。中央の明るい部分がバルジ(Bulge)。(画像:ESA)

太陽は円盤(バルジ)の中にあるので、地球がどの方向を向いても星があります。地上から一年中、星が見えるのはそのためです。

もし太陽系が、どら焼きの皮の部分に位置していたらどうでしょうか? 皮には星はほとんどありません。そのため、夜、地球がどら焼きの皮の方を向いている時期は、ほとんど星が見えないことになります。たとえば、いて座方向を向いている時期には星がたくさん見えるけれど、その逆方向を向いている時期はスカスカの夜空になってしまうのです。

逆に、もし太陽がもっと餡子の中心に近かったらどうでしょうか? どの方向を向いても星がびっしり。夜空は今よりもずっと明るいかもしれません。

欧州宇宙機関(ESA)のユークリッド宇宙望遠鏡が観測したバルジの一部。星が詰まっていて明るい。(画像:ESA)

銀河はいつ生まれたのか?

このように天の川の説明をしていると、どうしても天の川銀河の話になります。すると次は「天の川銀河はいつからあるの? どうしてできたの?」とたずねられるかもしれません。

天の川銀河がいつごろ生まれたのか、はっきりとはわかりません。しかし、天の川銀河の中にある恒星の年齢は調べることができます。ちなみに太陽は、およそ46億年前に誕生したとされています。

現在、天の川銀河の中にある一番古い星は120億年以上前に生まれたことがわかっています。こうしたことから、天の川銀河ができた時期は130億年くらい前というのが定説になりつつあります。

現代では、宇宙の誕生は約138億年前という説が主流です。生まれたばかりの宇宙は物がギュッと詰まって光も真っ直ぐ進めない高密度な状態でした。その密度がだんだんと低くなって、宇宙誕生からおよそ36万年後には光が直進できるくらいに宇宙が広がり、最初の星が誕生したのではないかと考えられています。

将来、天の川はアンドロメダ座大銀河と衝突する

天の川銀河はこれまで何度も他の銀河と衝突と合体を繰り返してきたと考えられます。いつ天の川銀河の形になったかはっきりしないのは、そのためでもあります。

銀河は数千億個もの恒星を有する天体ですが、その銀河も単独で存在しているわけではなく、他の近くの銀河と集まって局部銀河群、さらには銀河団を形成しています。

天の川銀河も宇宙にポツンと単独で存在しているのではありません。宇宙空間のどこか遠い地点から見れば、天の川銀河も他の銀河とともに運動しているのです。

そして現在、今この時も、天の川銀河はお隣の銀河、アンドロメダ座大銀河とお互い近づいていることが明らかになっています。

アンドロメダ座にあるアンドロメダ座大銀河。天の川が見えるくらい暗い場所であれば肉眼でも見える。まだ銀河の存在が知られていなかった時代には大きな星雲として認識され、アンドロメダ座大星雲と呼ばれていた。

そして、40億年から50億年後にはふたつの銀河は衝突すると考えられています。

NASAが2012年に発表したアンドロメダ座大銀河と天の川銀河の衝突イメージ。予測によると、38億年後に衝突、60億年後に合体するという。(画像:NASA)

かなり衝撃的なイメージですが、銀河の中がぐちゃぐちゃになって星同士が衝突し合うということはないと考えられます。というのも、星と星の間はかなり離れているからです。

さて、天の川って何だろう? を説明していくと、話は銀河の形から宇宙の始まり、銀河の衝突まで果てしなく広がっていきます。夏休みに暗い所に行った時は、ぜひ天の川を見上げてください。そこにどら焼きの餡子が、いえ、天の川銀河の中心が見えているのです。

構成/佐藤恵菜

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星空案内人 廣瀬匠さん

星空案内人 天文系ライター。株式会社アストロアーツで天文ニュースの編集などに携わる。天文学の歴史も研究していて、パリ第7大学で古代インドの天文学を 扱った論文で博士号を取得。星のソムリエ®の資格を持つ案内人でもある。アストロアーツより、宇宙の不思議に出会うモバイルアプリ「星空ナビ」が好評販売中。

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