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田舎暮らし・移住

2026.07.01

72歳YouTuber「ウリウリばあちゃん」の田舎暮らし。獣たちと折り合うために、森の端っこでハーブ畑を作る

72歳YouTuber「ウリウリばあちゃん」の田舎暮らし。獣たちと折り合うために、森の端っこでハーブ畑を作る
72歳のYouTuber「ウリウリばあちゃん」です。森の中でひとり暮らし。私らしく自由に生きる暮らし方とはを、YouTubeやInstagramで発信しています。第5回目のテーマは「動物たちと共に生きる」です。※編集部注:写真は合成です。

森の中には、さまざまな生き物が生息しています。

肉眼では見えない微生物から、大木や鹿や熊のような大きなものまで、それぞれがそれぞれの場所で生きています。

私もその森の端っこで暮らしています。

それぞれの場所で生きている生き物たちと、その端っこ暮らしをしている私も、森のお裾分けを頂きながら、お日様やお月様に囲まれて、過ごしています。

たくさんの緑に囲まれて、山菜やキノコも採り放題、夜には、満天の星。森の生活最高……、大方は。

『BE-PAL』2026年3月号小学館より※撮影/花岡 凌
ウリウリばあちゃんの楽しい田舎暮らし

森の隣獣たちと折り合いをつけて暮らしていかねばなりません

厄介なのは、ご近所さんたちです。

ご近所といっても、隣人ではなくて“隣獣”たちです。

この隣獣さんたちも、我が森でのブームというものがなぜかあります。猪年の前の年は姿は見ませんでしたが、たくさんの彼らの掘った跡がありました。

すごい馬力で半端ない仕事です。これだけの仕事ができるなら、ぜひ我が家の畑作りに貢献してほしいと思いますが……。

それから、アナグマがよく姿を現す時もありました。

アナグマ。

始まりは、デッキの屋根の庇(ひさし)部分の雨の雫の跳ね返りを防ぐために、雨樋(あまどい)ではなく、そのデッキの床部分にU字溝用グレーチングをはめ込みました。

朝起きたら、重いグレーチングは持ち上げられて、その横にあったあしたばの葉っぱが一枚だけ引きちぎられていました。

その後、昼間でも堂々と我が家の周りを徘徊するようになりました。

「あしたば食っただろう?」
と質問してみました、彼は否定しませんでした。

デッキには階段があるのだから、普通に上がってくればいいものを、わざわざ重いグレーチングを下から持ち上げて、あしたばの葉っぱを一枚だけ食べていく。

なんとも効率の悪いお方です。

猿を見習いなさい。猿なら堂々と上から登って来て、トマトでもなんでも獲っていきます。このアナグマは1週間くらい徘徊していましたが、姿を見せなくなりました。

鹿は周りにすごくいますが、たいてい夜中に行動しているようです。一時期、昼間でも、親子3頭連れ立って姿を現していた時期がありました。

子鹿たちだけの時も、子鹿1頭の時もありました。とりあえず、この鹿はいつもの親子だと確信しました。

わりと至近距離まで近づいてきます。

近づいてくるんで、鹿の耳に念仏状態ではあるのですが、「私のお花や苗を食べないでね」と説教をしてみました。私の説教に親子は腹を立てたのか、その場を立ち去ってしまいました。

私がYouTube撮影しながらデッキでご飯を食べていたら、子鹿が1頭でやって来ました。デッキのすぐそばです。

鹿は幅1メートル、長さ1.5mくらいの染め途中の茶色い柿渋布を地べたに干してある直前まで、歩いてきました。

もう一、二歩、鹿が前足を出せば、柿渋布を汚してしまうところです。

私はなんでも名前をつけます。鹿は全部、しーちゃんです。

「しーちゃん。そこの上歩いたらダメ!」あわてて、大きな声で訴えました。
しーちゃんは、布の手前で立ち止まって、私の訴えを聞いていました。

私はなおも、ダメって身振り手振りで訴え続けました。数分、私としーちゃんの交渉ののち、しーちゃんはちょっと向きを変えて森へと消えて行きました。

この柿渋布は、家の前側に広げている事もあります。

配達の方々は、鹿と違ってお仕事忙しいですからね、地面まで目が行き届かないようです。我が柿渋布をずんずん踏んづけていらっしゃる。

しーちゃんの時と同じ感じの声を出したら、やっと踏んづけている柿渋布に気づいてもらえた。

そういえば、以前、我が家の所在場所を問い合わせる電話がありまして、説明をしていたら、

「ああ、あのボロ雑巾いっぱい干している家ですね」
「ボロ雑巾じゃない!!」

と、電話越しに凄んだら、えらい恐縮していた。

私の大切な柿渋布、人間にはボロ雑巾に見えても、鹿にはなんとなく、びびっとくるものがあったのかもです。

それなら、お花や苗も食べないでほしいと思うんだけど。そのうち鹿の親子たちは来なくなった。

この親子は来なくなりましたが、夜な夜な不特定多数の鹿たちは来ているようで、私が植えた花や苗は、ほとんど食べられてしまいました。

バラの花、アジサイの苗、椿の苗、コスモス、植える端から食べていきます。

奪い合う畑ではなく、境界線をゆるく作る畑

そんなこんなで、庭に花や苗を植えてわかったことは、匂いのあるものはおおかた食べない。そう、ハーブにはほとんど口を出さない。

ほとんどというのは、最近ニラやシソもちょっとずつ試し食いをしているようです。

そういうわけで、森に住んでいる私は森の隣獣たちと折り合いをつけて暮らしていかねばなりません。

彼らの好きな実なりのものや花などは避けて、お気に入りではないらしい、マリーゴールドやハーブ類中心の畑を作ろうと思います。

獣たちと共生できる畑。
できるかな?

獣を完全に追い払うことはできない。
でも、獣があまり食べないものを植えることはできる。
奪い合う畑ではなく、境界線をゆるく作る畑。

とりあえず、本日も鍬(くわ)をえいやと振り下ろし、畑作りを頑張っていたら、なんと、タイムリーに耕運機をくださった方がいます。

ちょっと重いけど、耕運機も我がハーブ畑開拓の強い味方になるでしょう。

染物にしても、草木染と言うのはいつも言ってますように、その植物の効能を体に取り込むというのも大事な要素です。

そういう意味で、香りや効能を暮らしに取り入れてきたハーブはありがたい染め材料にもなります。香りを楽しんでよし、染めに使ってよし、暮らしの中で試してみたくなるものばかり。おまけに虫や獣も好きではないらしい。

なんとラッキーでしょう。

まず外せないのが、ハーブの女王ローズマリーです。お料理、お茶、アロマ、染めにも良し! ありがたいことに挿し木で増える。

それからカモミール、オレガノ、ミント、タイム、以前から植えているベルガモット、ラベンダーなどなど、私の頭の中には、すでに夢のようなハーブ畑が出来上がっています。

主に小鳥たちが囀る早朝に仕事をします。

飛び交っている鳥は、カラスとツバメとトンビくらいしか私には見分けられません。鳴き声は千差万別。特徴がありますが、ヤマバトとカラス、ホトトギスとウグイスとコジュケイと、ガビチョウくらいしかわからないかな?

早朝、鳴き声のわかりやすいコジュケイちゃんが「ちょっとこい、ちょっとこい」と森の中から、気持ちよさげに誘うんですよ。

ちょっとこいと誘われれば、行ってみたくなるのが、人のこころです。
もしかしたら森の奥で、何かいいものが待っているのかもしれません。

たとえそうだとしても、絶対誘いに乗ってはいけないと心しています。
きっと、最後はよからぬことが待っています。

それでも、万が一に備えて大きな葛篭(つづら)と小さな葛篭、どっちにすると問われれば、小さい方という準備も毎度してはいます。でも、誘いには絶対乗りません。

この、姿を見せないコジュケイが、車の前に現れたことがあります。まあそんなことを話し出したらキリがありません。

はぐれ猿との話とか、クマと昔飼っていた犬のシロとの話とか、森の獣たちとの話はまだまだあります。でも、今日はここまで。

森に暮らすということは、森の生き物たちと、毎日少しずつ折り合いをつけていくことなのかもしれません。勝つでもなく、負けるでもなく、全部を囲い込むでもなく。

私がこれから作ろうとしているハーブ畑は、そんな私と獣たちとの、森の緩衝材になってくれるかもしれません。

※文、写真/ウリウリばあちゃん

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