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それは立ち話からはじまった
どんな方にも学生時代の思い出があると思いますが、卒業後も学校と関わることは多くないかもしれません。まさに、自分もその1人でした。
今回、自身の出身地・宮城県山元町の廃校活用に関わることになったきっかけは、地元の友人達との立ち話でした。廃校となった中学校の教室や校庭を面積割りで借りることができるうえに、賃料が格安という情報で話が盛り上がり、それならば自分達で借りて何か面白いことをしようということになったんです。今から2年前の2024年5月のことでした。
活動場所となる廃校のプロフィールを紹介

活動の拠点となる廃校は、福島県との境にある宮城県山元町の旧坂元中学校です。
山元町は、仙台から電車で50分程度の海と山に挟まれた地域で、旧坂元中学校は常磐線の坂元駅から徒歩10分程度の場所にあります。ちなみに、東京駅から新幹線の始発に乗れば坂元駅には9時に到着するので、都内からも余裕で通えます。
廃校というと、こじんまりとした校舎を連想するかもしれませんが、旧坂元中学校の敷地は5.1ヘクタールもあります。ちなみに、東京ドームが4.7ヘクタールなので、それよりも広い敷地です。このため、学校全体の写真を撮るのも大変です。
申請から契約まで
普通、話が盛り上がった後はそのまま終わってしまうことも多いのですが、さっそく校舎の一部を借りるための事業計画書づくりが始まりました。
申請に必要な書類を提出したり、町の審査会での発表を経て、ようやく決まったのが2024年の秋。申請した事業に対する町の評価点数は70.6点という低めの点数だったので、これから、100点に近付けるように「あと29.4点を上げていこう」と皆で語り合ったことをよく覚えています。
申請が認められてからも更に手続きがあり、廃校を借りる契約を結ぶことができたのは2025年の2月でした。ここから、本格的に動き出すことになりました。
で、これからどうする⁉

地域の人達とこれからやりたいことを語り合ったところ、
・宿泊施設
・陶芸や木工などものづくりをする職人さんが集まる空間
・本や古道具のお店
・子供達の遊べる場所
・サウナ
ほかにも、校庭をバーベキューのできるキャンブ場にしたい、イチゴの摘み取り体験ができる温室を作るなどの案が出てきました。さらには、プールでうなぎを養殖したいという構想も出てきました。
まずはできることからやってみた


まず、関係者が集まれるように校長室を整備しました。壁に据え付けられていた本棚にデザインや歴史、経営、小説の他に三国志のマンガ全60巻など2000冊以上の本を並べ、誰でも読めるようにしました。そして、自分達が楽しんでいなければ周囲の人を巻き込めないと考えて、夜の学校で打ち合わせをしてみたり、教室探検ツアー、山の湧き水でコーヒーを入れたり、地元の野菜や魚介類が盛り沢山のバーベキューを開催しながら仲間を増やしていきました。
その結果、都内からわざわざ遊びに来てくれた方がいたり、企業の方から家具を寄付して頂くなど、新たな動きが生まれました。その他にも、地元の人から処分予定のソファーや冷蔵庫をもらってきたりしました。
DIYでリフォームをスタート

さすがに、電気・水道やトイレの修理は無理でしたが、廊下や教室の装飾から始めることになり、ホームセンターに通いながら必要な工具、木材や塗料などを揃えました。そして、あちこちで見た建物や本を参考にしながら作業を進めていきました。全てをゼロから作ることはできなかったので、既製品のスノコを屋根のように貼り付けたり、誰でも簡単に塗れる漆喰を使うなど工夫を重ねながら作業を進めました。自分たちが一番大事にしたのは、何事においても楽しみながら作業をするということでした。
雑草博士の特技を活かす!

廃校で何ができるかと考えた際に、自分の得意なこと・好きなことをやってみようと思いました。自分の場合は「雑草」と「古道具」というかなり特殊なものでした。どちらも、人によってはゴミ扱いされてしまいますが、新たな視点を加えれば、面白くなると考えました。
雑草をアレンジしてみた

過去に、雑草を200種以上育てたという経験があったので、その知識を応用してコケ盆栽を作り、イベントで販売することにしました。コケは、近所の山で採取してきたものを増やしました。また、乾燥に強く見た目がかわいいメノマンネングサという雑草を植えて花壇を整備したり、草刈りされた雑草を集めて押し花を作りました。
古道具を集める

古道具といっても、ピンからキリまであります。骨董品と呼ばれて美術品として取り扱われているものから、生活の中で使われていた着物や陶器などのように安価に手に入るものまで様々です。さすがに、骨董品は高価なので、周囲で手に入るものを活かすことにして、手始めに古物商の資格を取得しました。
資格といっても、それほど難しいものではなくて、所轄の警察署に必要な書類を持参して審査を受けることになります。まさか古物商の資格まで取得することになるとは思っていなかったのですが、資格があれば、古本や古道具の売買ができるようになります。

答えは案外、足元に隠れているようで、知人の紹介で古物商の方と知り合うことができました。しかも、古物商の資格を持っている人だけが参加できる競り市(豊洲市場みたいな感じです)の存在を教えてもらうことができました。その市場には、あらゆる年代の様々な古道具が大量に並んでいて朝から夜まで競りが行われていました。最初は、緊張で声が出なかったのですが、競りに何回か参加するうちにようやく競り落とすことができました。今でも競りにはドキドキしながら参加していますが、様々な古道具を見ることができるので、とても楽しい時間を過ごしています。
雑草と古道具をコラボさせてみた


集めた古道具に木や花を組み合わせた展示をしたり、古道具をリメイクしたりしています。例えば、火鉢をホームセンターで購入した観葉植物の鉢カバーにしたり、竹カゴに雑草を生けたりしています。また、大正元年購入と書かれていたタンスは、ちゃぶ台と組み合わせて個性的な棚に生まれ変わりました。製作したのは一緒に活動している片岡宏文さんで、本業は自動車部品の製造をされています。







