都会出身者による移住・田舎暮らしの先駆者である宇土さん。果物や野菜を育て、ときには野菜の花に寄ってくる昆虫に夢中になる……。自然に寄り添うアリス・ファームでの田園ライフを毎月お届けします!
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ベリー類は育てやすいフルーツである

ベリーの季節がやってきた。
今年はどのベリーもいつになく元気に実をたくさんつけている。
まことにめでたいことだ。ハスカップ、カシス、ブルーベリーの3種類のベリーを主に栽培しているが、6月の終わりから8月にかけてこの順番で熟れた実を摘み取っていく。
ベリーは小果樹とも呼ばれるように一般のフルーツに比べると木がこじんまりとしているので扱いやすい。苗を定植してから2~3年もすれば早くも実が収穫できるようになり、5~10年で最盛期を迎える。一般のフルーツに比べるとライフサイクルが短いのである。だから気の短い人や実がなるまで10年も20年もとても待ってはいられない私のような高齢者にはとても都合のいいフルーツなのである。
りんごやみかんのような長い歴史に育まれた王道のフルーツにははるかに及ばないものの最近ではベリーの人気は驚くほど高い。野性的な風味はもちろんだが、田園に静かに佇むその姿がベリー人気を支えている様に思う。癒やしのフルーツなのかもしれない。
アリス・ファームの農場はベリーの見本市

上記3種類のベリーの他にもレッドカラント、グースベリー、ラズベリー、ブラックベリー、アロニア、ジューンベリー、シーベリーなど色々な種類のベリーを栽培しているので農場はまるでベリーの見本市のよう。農場を歩くと彼女たちはそれぞれに早く採って採ってと訴えかけてくる。夏はまさしくベリーの季節なのである。
北海道特産のハスカップ

主力3種類の内、ハスカップは北海道特産のベリーで、先住民であるアイヌの人たちが大切にしていたと聞く。ハスカップはアイヌ語で枝にたくさん実のなる木という意味らしい。かなり酸味が強いので嗜好品というよりビタミンCの補給原として利用されてきたのだろう。
皮が薄くて実が柔らかいので雨に弱い上に気温の高い日が続くと実がハラハラと地面に落ちてしまって口惜しい思いをする。暇をみつけてはせっせと摘んだけどボールに数杯分しか採れなかった。まだ植えて日が浅いからこれから収穫量は少しずつ殖えていくだろうと期待している。何しろハスカップは北海道特産と胸を張って自慢できる唯一のベリーなのである。
カシスは加熱すると激変する

次に盛りを迎えるのがカシス。カシスはフランス語、和名はクロフサスグリ、英語ではブラックカランツと呼ばれている。その実は綠、赤を経て完熟するとその名の通り黒色に変わる。
カシスはまずい。個性が強いという言い方もできるがブルーベリーにはあれほど執着するヒヨドリでさえ見向きもしない。カシスは直径5ミリほどの小さな実を房状につける。一房には綠、赤、黒と熟度の違う実が混在しているので黒い実を捜して摘まなくてはいけない。

しかし厄介もののカシスも加熱すると風味が劇的に変化する。カシスを少量の砂糖と一緒に煮ると適度な酸味、独特な風味をもつ美味しいカシスジャムに変身するのである。砂糖は実の40%程度が適量。ペクチンの含有量も多いから沸騰後10分程度煮ればとろりとした食感のジャムに仕上がる。まろやかな風味のブル-ベリーが物足りなく思えるほど個性的なカシスのジャムはパンやヨーグルトにもあうけど白カビ系のチーズに添えると実に美味しい。
もしカシスの実が手に入ったら「クレム・ド・カシス」を作るといい。このリキュールを使うとカシスオレンジやカシスソーダ、白ワインに加えるとキールなどのおなじみのカクテルができる。作り方はほぼ梅酒と一緒で、生のカシスの実と氷砂糖を保存瓶に詰め込んでウォッカを瓶の口まで注ぐ。カシスの葉っぱを一枚のせて瓶の蓋をして地下室などに置いておく。3か月位したら実を取り出してリキュールを漉して瓶に詰める。時間をおいて何度か漉すと透明感のあるリキュールができる。
記述がどこか上の空なのは、私はアルコールが飲めないのでその仕上がりについては何とも伝え様がないからである。お酒に詳しい人によるとこの自家製クレム・ド・カシスは絶品とか。口惜しいなー。作り方は欧米のレシピ本を参考にしているけど、どのレシピにも必ずカシスの葉をのせることと記してあった。もしかするとその辺がコツなのかもしれない。
午前5時のブルーベリーに勝るものなし!

そして最後は真打ちブルーベリー。早生は7月中旬から晩生の品種は8月いっぱい収穫ができる。ブルーベリーといえば真っ先に頭に浮かぶのがブル-ベリーマフィン。この季節、私もオーブンの前にはりついてせっせと焼く。でも私が一番美味しいと思うのは、早朝午前5時に摘んで口に放り込むブルーベリー。朝露を浴びてひんやりと冷たいブルーベリーのひと粒に勝るものはない。寒さや雪やネズミと闘い、ヒヨドリを追い払い、その先に待っている気の遠くなるような収穫作業、早朝の一粒はそうした苦労を一気に消し去ってくれるのである。
さあ、ブルーベリーマフィンを焼こう!

さあブルーベリーのマフィンを焼かないと。40年以上もほぼ同じレシピで作っているブルーベリーのマフィンは朝食にもランチにも大活躍してくれる。作り方は以下の通り。
特製ブルーベリーマフィンの作り方
1.小麦粉290g、塩2.5g、ベーキングパウダー8g合わせてふるいながらボールに入れる。
2.全卵2個、牛乳115cc、サラダ油85g、砂糖85gを別のボールに入れて混ぜ合わせる。
3.1の粉類を2の液体の中に加えてさっと混ぜ合わせる。
4.摘んできたブルーベリーを加える。量はお好みで。これで生地の出来上がり。
5.生地をマフィン型に入れる。だいたい6個分。
6.180度に温めたオーブンで20分ほど焼く。竹串を刺して生地がついてこなければ焼き上がり。
熱々を食べる。

まず失敗することはないが、みんなを喜ばせようとしてこれでもかとばかりにブルーベリーを生地に詰め込むと生地がまとまらなくて崩壊してしまうことがあるので注意。母心が裏目にでることもあるのである。ブルーベリーの実は多くても小麦粉と同量までにとどめた方がいい。
冷凍して保存しておくと、雪の日にも夏の光を閉じ込めた美味しいマフィンを楽しむことができる。




