「難攻不落の要塞」を攻略ハイク!南仏アンティーブでやってみた | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

海外の旅

2026.07.13

「難攻不落の要塞」を攻略ハイク!南仏アンティーブでやってみた

「難攻不落の要塞」を攻略ハイク!南仏アンティーブでやってみた
古城とか要塞跡をただただ「ふ~ん」と眺める手もあります。でも攻める側や守る側の立場になって「どうやったら攻められるか」「どうやって守ろうか」と考えながらあれこれと歩き回る。…これこそが正しい「古城・要塞跡の歩き方」だと思います。

どうも、オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
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前回はこちら↓

これぞコートダジュールの青と赤!ニース「城址公園」と「裏道」ハイク

【柳沢有紀夫の世界は愉快!南仏・ニース旅編5】

これが姫路城とか松本城とか当時の姿がほぼ完全に残されているところだと、あまり攻めたり守ったりの気分がわいてきません。そしてほぼ跡形もなくなった「城址公園」的なところでも。

でも「遺構」が残っていると「血沸き肉躍る」と言いますか、一気にその時代にタイムスリップしてしまいませんか。ガキンチョのころ「冒険」と称してあちこち遠征したり、「秘密基地」をつくったりしたときのあの記憶がよみがえるという部分もあるのかもしれません。

さて今回はそんな「元ガキンチョ」たちの冒険心をくすぐる「要塞ハイク」です!

場所は南仏の中心都市ニースからは電車で20分の街アンティーブ。城壁に囲まれた都市(旧市街)とその中にあるピカソ美術館やペイネ美術館が主要観光地です。

でもそれらと湾を挟むところにように建つ「フォール・カレ」という16世紀に建てられたという要塞があります。「フォール」の綴りは「Fort」で、「要塞」を意味する英語の「フォート」と同じ。これが今回攻略するターゲットです。

「攻撃側」視線で一周偵察ハイク…のつもりが

アンティーブ駅から旧市街とは反対側に徒歩15分ほどで「フォール・カレ」の入口に到着。

要塞感が漂っていますね。

まずは「攻撃側」の視線で、要塞のまわりを一周する所要時間は20分くらいのハイキングコースを歩いてみます。ところがここで思わぬ伏兵たちが次々に現れます!

地中海越しに眺める雪を抱いたフレンチアルプスの山並み。
海沿いなのにまるで尾根筋のように見晴らしの抜群の一本道。
ベンチに座って海と山並みを眺めながらゆっくりと時間を過ごすカップル。

…こんなニッコリほっこりした伏兵たちの登場で、「攻撃側の視線で要塞のまわりを一周する」という当初の目的をすっかりと忘れていました。笑

「フォール・カレ」の雄姿が見えてきて、ようやく目的を思い出しました。

かなり高く、「難攻不落」感が半端ありません。

要塞上部まで乗り込むハイキング

さてこの「フォール・カレ」、内部にも入れます(2026年6月現在の入場料5ユーロ=約930円)。

入れるだけでなく要塞の上部にものぼることができて、昔の兵(つわもの)たちの気分を味わうことができます。

敷地に入ってからもしばらく砂利道が続きます

後ろ姿で登場してくれているのはアンティーブ観光局のルーシーさん。英国出身ですがアンティーブに魅せられてここに移り住んだそうです。

じつは日本語もペラペラだったのだそうですが、使う機会がなくて単語などをどんどん忘れているのだとか。この日も「何ヵ月ぶりかで日本語を話します」とのことで、緊張気味に日本語で案内してくれました。

そういうわけで私も「うまく説明できないときは英語でもいいですよ~」と伝えたのですが…。ナンシーさん、説明しながら興奮してくるとなぜか日本語から英語ではなくフランス語に切り替えてしまい、「ルーシー。ジュヌコンプランパ。ユー・スピーク・フレンチ・ナウ」と私に何度も指摘されては照れ笑いするチャーミングな女性です。笑 ちなみに「ジュヌコンプランパ」はフランス語で「わかりません」の意味です。

それはそうと。「フォール・カレ」は海抜26メートルのところに立っているのでそれなりに登ります。

そして途中から石垣伝いになるのですが…。

すごい鋭角の折り返し。この理由はあとで判明します。

そしていよいよ実際に「フォール・カレ」の内部に潜入します!

入口の門が狭いのはやはり要塞という特性からでしょう。

これでいよいよ要塞潜入成功かと思いきや…。

すぐにまた細い階段と狭い出入口がありました。

「難攻不落」感がたまらん。

先ほどの出入口の先にあるドア。

このドア、450年前につくられたもので重さは470キログラム。厚さも10センチメートルほどあります。

とにかく狭い出入口が多く、さすがは要塞という感じです。ダンジョンに乗り込むロールプレイングゲームの主人公になったような気分です。

さきほどのドアの先にある広間。まだまだ途中です。

絶景と絶望(笑)の要塞攻略!

このあと階段を一気に駆け上がり、いよいよ要塞の最上部へ。

バスケットボールコートよりも広いくらいのスペースがありました。
窓の向こうに広がる地中海。

じつはここ海抜43メートルです。

遠くのアルプスを眺めながら勝どきを上げたくなりました。

最高の気分です。先着のカップルさえいなければクイーンの「伝説のチャンピオン」を熱唱しているところ。

さて私が征服した要塞内部には様々な部屋も残されています。

かつてのキッチン。内部にはかまどの跡も残されていました。

そして目に入ったのが…。

牢屋だそうです。ドアと同じ幅しかありません。

一畳3人で、寝返り不能な富士山の雑魚寝山小屋を思い出しました。閉所恐怖症気味の私は先ほどまでの全能感はどこへやら。息せき切って攻め込んだはいいけど捕えられ、ここに長年幽閉されている敵兵につい感情移入してしまい、絶望感のどん底へ。

遺跡はいろいろなことを考えさせてくれます。

気を取り直して、階段を下りて戻ります。

先ほどの広間に着くと「フォール・カレ」の案内人が「写真を撮るからスマホを貸して」とやけに自信たっぷりな口調で声をかけてきました。

そして取ってくれたのがこの写真。

カメラの広角機能をうまく使っていますね。自信たっぷりに声をかけてきたのも納得。多くの人たちにこの写真を撮ってあげているそうです。

要塞内部にはちょっとした展示もされています。

要塞を上から見た図。

星のような形をしているのはこうすることで「死角」をなくして守りやすくするためなのだとか。先ほどお見せした超鋭角の折り返しがこの図の先端部分なのでしょう。

かつてのアンティーブを表した地図。

右側の黄色で囲まれたのが「フォール・カレ」。左側の赤と緑で囲まれた部分がアンティーブの「城壁都市」で、こちらも高さ5メートルほどの城壁にぐるりと囲まれています。今でも半分くらい残っていて見ることができます。

真ん中にあるのがアンティーブ湾。天然の良港であるためギリシャ帝国時代から植民地として栄えたそうです。

対岸のからの眺めもぜひ!

さて近くで見たり中に入ったりしてその大きさに圧倒されるのもいいですが、遠くから全容を眺めるのもオツなもの。というわけで港の対岸の「城壁都市」(旧市街)から眺めてみるのもおすすめです。

手前の帆船たちのマストはサクッと無視してください。笑

その「城壁都市」も迷宮感あふれるウォーキングが楽しめます!

特に「ピカソ美術館」周辺は行く手を阻む迷路のような細道ばかり。

「知らないうちに敵の本丸である城郭都市に1人迷い込んじゃったへなちょこ剣士の主人公」……てな感じのワクワクドキドキ感が満喫できます!

というのもそのピカソ美術館、じつは…。

ローマ帝国時代に建てられた「グリマルディ城」という城をそのままつかったものなのです!
崖の上に建つグリマルディ城。テラスからは地中海を臨むことができます。

「フォール・カレ」ととともにアンティーブの街と港を守ってきたのでしょうね。

城の中はゆったりとした美術館になっています。
こんなふうに「大作」も独り占めして鑑賞できるのでオススメです!

そしてもう一ヵ所、「BE-PAL」の読者にオススメしたいのが「ペイネ美術館」です!

ペイネは「恋人たち」というイラストシリーズで一世を風靡したイラストレーターですが…。

その恋人たちが寄り添っている場所のほとんどがアウトドアなんです!
雪のベンチで寄り添う恋人たちの絵なんて年甲斐もなくキュンキュンしちゃいます。

というわけでアウトドア好きの「BE-PAL」の読者のみなさんなら、きっとお気に入りの一枚が見つかるはず!

大自然の中のハイキングもいいですが、「古城ハイク」や「廃墟ハイク」などの「歴史ハイク」もまた人間の営みが感じられて楽しいものです。

【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら

フランス観光開発機構
www.france.fr/ja

アンティーブ観光局
https://www.antibesjuanlespins.com/en

フォール・カレ(アンティーブ観光局公式サイト内の当該ページ)
https://www.antibesjuanlespins.com/en/must-see-must-do/culture-and-heritage/heritage/the-fort-carre-2032216

ピカソ美術館(アンティーブ観光局公式サイト内の当該ページ)
https://www.antibesjuanlespins.com/en/must-see-must-do/culture-and-heritage/museums/picasso-museum-2031894

ペイネ美術館(アンティーブ観光局公式サイト内の当該ページ)
https://www.antibesjuanlespins.com/antibes-pratique/l-office-du-tourisme-et-des-congres/tourisme-handicap/musees-adaptes-pmr/musee-peynet-et-du-dessin-humoristique-2031754

エールフランス航空
www.airfrance.co.jp

著者画像

柳沢有紀夫さん

オーストラリア在住ライター (海外書き人クラブ)

1999年からオーストラリア・ブリスベン在住に在住。オーストラリア関連の書籍以外にも『値段から世界が見える!』(朝日新書)、『ニッポン人はホントに「世界の嫌われ者」なのか?』(新潮文庫)、『日本語でどづぞ』(中経の文庫)、『世界ノ怖イ話』(角川つばさ文庫)など著作も多数。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」のお世話係

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