「アイスエイジ・トレイル」初日を歩き終え、残りは1,192マイル!ロングトレイルのスタートに思うこと | 山・ハイキング・クライミング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

山・ハイキング・クライミング

2026.06.08

「アイスエイジ・トレイル」初日を歩き終え、残りは1,192マイル!ロングトレイルのスタートに思うこと

「アイスエイジ・トレイル」初日を歩き終え、残りは1,192マイル!ロングトレイルのスタートに思うこと
アメリカには連邦政府によって認定されたトレイルが複数あり、そのうち「ナショナル・シーニック・トレイル」が全11ルートあります。プロハイカーの斉藤正史さんは、総距離が約17,800マイル(約28,646km)におよぶ11ルートのシーニック・トレイル全踏破に挑戦中です。

2025年秋、斉藤さんはアメリカ東北部のウィスコンシン州にある「アイスエイジ・トレイル」に挑みました。その1,200マイル(1,900km)のアイスエイジ・トレイルに挑戦した様子を、斉藤さん自身によるレポートで紹介します。
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【プロハイカー・斉藤正史の「アイスエイジ・トレイル」レポート」vol.6】

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ロングトレイルに向け、アメリカに出発!だけど運不運に振り回されドタバタ… | 山・ハイキング・クライミング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

Ice Age Trail DAY 1:2025年9月12日

相変わらず歓迎ムードはありがたいけど…

アイスエイジ・トレイルの西のターミナス(起点)のすぐそばには、セント・クロイ川の渓谷があります。ここは、かつて氷河によってできたそうです。

まず、融解水によって氷河湖が形成され、その後、その水が巨大な洪水となって流出。火山性玄武岩の岩盤を削り、渓谷が誕生したとか。そうした背景もあってか、ターミナスの標識は、玄武岩の塊に取り付けられているそうです。

アイスエイジ・トレイルのターミナスにある標識(と玄武岩)。

さて、2025年9月12日午前11時30分過ぎ、ターミナスを出発しました。しばらく州立公園の園路を進み、少し斜度のきつい道を登っていると、トレイルの脇に建物が見えてきました。アイスエイジ・インタプリティブ・センターです。

アイスエイジ・インタプリティブ・センター

ここは氷河期の展示エリアをはじめ、学習施設を備えたウィスコンシン州立の施設。氷河の融解水によって削られた石、マンモスの歯、公園内で発見されたバイソンの頭蓋骨のレプリカなどが展示されています。

この連載のvol.2で詳述したように、そもそもアイスエイジ・トレイルが整備された目的には、氷河によって形成されたウィスコンシン州の地形の保護なども含まれています。そうしたことから、インタプリティブ・センターができたのかもしれません。実際、この施設はトレイルと無関係ではなく、ビジターセンターの役割も担っています。ハイカー向けのサービスも充実していて、休憩スポットとして最適です。

センターの中にお邪魔すると、アンディさんというボランティアの方が僕を待ち構えていました。事前に連絡もしていないのにどういうことかと思ったら、僕より先行しているハイカーが「しばらくしたら日本人が来るよ」と伝えていたらしいのです。

ロングトレイルを一気に踏破することをスルーハイクといいます。それに対し、長距離を断続的に歩き通すことをセクションハイクと呼びます。また、1日だけ歩くデイハイクという楽しみ方もあります。

ロングトレイルが盛んなアメリカでも、圧倒的に多いのはセクションハイクかデイハイクです。スルーハイク、しかも日本から来たとなると、どのトレイルでも驚かれたり珍しがられたりします。それはアイスエイジ・トレイルも同様で、まだスタート直後なのに「スルーハイクに挑む日本人がいる」という情報が各地に広まりだしているようでした。ありがたいけど、やや迷惑というかプレッシャーというか…。

アンディさんからいろいろ情報を教わりましたが、何しろスタートしたばかりでまだ1kmも歩いていません。「ちょっと先を急ぐので」と、早々にインタプリティブ・センターを後にしたのでした。

トレイルの休憩スポットとしても最適なアイスエイジ・インタプリティブ・センター。

初日のテントサイト、微妙に落ち着きません

トレイルを進むと、セント・クロア・フォールズの町の外周をたどるようにルートが延びていました。再びセント・クロイ川へ出ると、ライオンズ・パークという大きな公園があり、さらに川沿いにトレイルが続いています。対岸にはボート施設なども見え、なかなか素敵なルートです。

結局、この日は午後4時に目的のキャンプ場のテントサイトに到着しました。目の前に川がある絶好のロケーションですが、このテントサイトはネット上の評判があまり良くありません。何でだろうと思ったのですが、実際にテントを張って腰を落ち着けたら理解できました。

近隣の住民らしき人たちが犬を連れたり散歩したりして頻繁にテントの目の前を通るので、何とも落ち着きません。まったく問題ないはずなのに、違法な場所にテント張っている気分になるのです。一度そう思ってしまうと、良い眺めだと思えた川も近すぎるように感じ、降水時の増水が心配になります…。

良い眺めだけど、川が近すぎるような…。

いつもロングトレイル初日に思うこと

アイスエイジ・トレイル初日は、4時間ちょっとかけて8マイル(約12・8km)歩きました。ひさびさのトレイル、しかも時差ボケの頭痛に悩まされた状態では、まずまずの結果です。これからトレイルに体が馴致していけば、1日に24マイル(約38.4km)歩くことも難しくないだろうという感触を得ました。

9月中旬ですが気温はまだ高く、半そで短パンでも歩き始めるとすぐに汗ばみます。涼しさが感じられるようになるのは、日が沈み始める午後6時過ぎから。そして、アイスエイジ・トレイルは周辺に人家が多くないこともあり、午後7時半過ぎには真っ暗になります。

午後6時を過ぎたらテントを張るなどして早めに就寝し、その分、朝早くから歩き始める方がいいのかもしれません。日が暮れたら寝る、シンプル・イズ・ベストです。

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心地よいアイスエイジ・トレイルの道のり。

前回も述べたように、アイスエイジ・トレイルはフェイスブックなどのコミュニティが活発だし、親切なトレイルエンジェル(ボランティア)もたくさんいます。そして、僕がこれまで経験した中では一番多くDMが届きます。

ありがたいのですが、その分、こまめにDMなどをチェックする必要があり、スマホのバッテリーの減りも早い印象です。もちろんモバイルバッテリーも持っていますが、トレイルの先々で充電できる場所も見つけておいた方がいいかもしれません。

この連載のvol.2vol.3で、ロングトレイルでは事前の準備や計画が大事だと述べました。だからといってすべてが計画通りに進むわけではないので、歩き始めてからの軌道修正も重要です。

毎晩テントの中で先々のルートなどをチェックしながら、「ここで食料を確保して…」などと頭をひねっています。ロングトレイルは体が大事だけど、かなり頭も酷使するのです。

毎回そうですが、ロングトレイルの初日は歩いた距離や時間以上の疲れを感じます。今回もきつかった…。アイスエイジ・トレイルの残りは1,192マイル。当たり前だけど、めちゃくちゃ先が長い!

ハイウェイ脇に立っていた自動車向けの「進入禁止」の看板。まだ英語に慣れていないこともあり、「WRONG WAY(間違った道)だよ」と注意されたのかと勘違いしかけました…。
著者画像

斉藤正史さん

プロハイカー

2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。また、BE-PAL.netにて「TOKYO山頂ガイド」を連載。

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