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スイスの動物たちといえば、山岳地帯に暮らす野生動物を思い浮かべる人が多いかもしれません。その中でも代表的存在といえるのが、凛々しい見た目から存在感抜群の「アルプスアイベックス」です。
私が幼少のころに好んで視聴していたアニメ「アルプスの少女ハイジ」では、「大角のだんな」という名で登場していました。当時は子どもながらに「本当にこんな大きなツノの動物がお山にいるの?」と衝撃を受けた記憶があります。
スイスでは、ドイツ語で「アルペンシュタインボック(Alpensteinbock)」、フランス語で「ブクタン・デ・ザルプ(Le Bouquetin des Alpes)」などと呼ばれています。

アイベックスは、主にアルプスやジュラ山脈といった標高1600m~3200mの険しい山の斜面がある地域に住んでいます。運が良ければロープウェイからでも、ほぼ垂直の岩場を軽々と駆け下りていくアイベックスの群れを見かけたりします。
とはいえ、しょっちゅう遭遇できるような野生動物ではないので、どことなくミステリアスな印象を持たれているアイベックス。そんな神秘的なイメージのアルプスアイベックスの生態などをクイズを通して紹介します。
【動物ドッキリクイズ・その37】アルプスアイベックスのクイズです!
第1問 スイスで呼ばれている、アルプスアイベックスの異名は?
a) アルプスの貴公子
b) アルプスのニンジャ
c) アルプスの王
d) アルプスのだんな
堂々とした態度で優雅な動きをするかと思えば、山中のほぼ垂直になった岩場をあたかも重力がないかのように軽やかに走り回る動物ですが、果たして答えは?

その答えは「c)アルプスの王」でした。「山の王」と呼ばれることも。立派な角を持っていて威風堂々としたアイベックスが、アルプスの岩場に佇んでいるその姿はまさに<ザ・キング>!
そんな雄姿を紋章にしているスイスの州や、商品のロゴにしたアルコール飲料会社もあるほどです。

でも私自身は、自然の中で活動するアイベックスを遠くで見かけるたび「アルプスの忍者だ!」と思ってしまいます(笑)。
第2問 アルプスアイベックスは何を食べる?
a) 昆虫
b) 岩石
c) 野草や低木
d) 鳥や小動物
その強そうな見かけからガッツリ何でも食べそうに見えますが、果たしてアイベックスは何を食べて暮らしているのでしょうか。

この答えは「c)野草や低木」。アイベックスはヤギの仲間なので草食動物なのです。
夏はアルプスの牧草地で野草や低木の葉、花のつぼみ、そして若い新芽などを好んで食べますが、冬はそういったエサがないため、コケや地衣類、樹皮などを食べて厳しい冬をしのいでいます。
第3問 アルプスアイベックスの年齢はどこで分かる?
a) 角
b) 体毛の色
c) 顔つき
d) 蹄

答えは「a)角」でした。アイベックスの角は一生を通じて成長し続けます。そのため1年に一本ずつ増える角後部の溝から年齢を知ることができるのです。
そして高齢になってくるとオスの角の長さは最大1m、重さも角一本が5kgかそれ以上になるのだとか。
常に合計10kgの重さの角が頭にある生活は想像しただけでも大変そう。10kgのコメ袋を頭に載せて生活している自分自身をつい思い浮かべ、首や肩がこったりしないのかな、といらぬお世話(?)な心配をしたくなります。

一方メスはオスに比べ角がずっと小さく、その長さは20~35㎝ほどしかありません。そのため角の年輪の幅もその分狭くなり、個体の年齢が判断しづらくなるとのこと。

ちなみにアルプスアイベックスの寿命は平均10~14年ほどですが、オスで19年、メスで24年生きたご長寿な個体もいたそう。

第4問 1809年、スイスに生息するアイベックスに起きた悲劇とは?
a) 感染症が流行り、アイベックスが大量死した
b) 山火事が起こり、すべてのアイベックスがスイスから逃げ去った
c) 縄張りを巡って、アイベックス同士で死闘が繰り広げられた
d) 最後のアルプスアイベックスが狩猟者に狩られた

答えは「d)最後のアルプスアイベックスが狩猟者に狩られた」でした。
太古の昔からアイベックスは人間にとって狩猟の対象でしたが、食肉のためだけではなく、角や骨、内臓なども薬効があると信じられたり、また迷信的なまじないにも重宝されたことから乱獲されるようになっていきます。
そして1809年、スイス南西部の山岳地帯ヴァリス州で最後の一頭が狩猟者によって仕留められ、その結果この国からアルプスアイベックスが絶滅してしまいました。

その後、スイスからアイベックスが姿を消して100年ほどが経った20世紀初めから、イタリアで保護されていた同種をスイス各地で繁殖・再導入させるプロジェクトが始まり、無事成功。
現在この国の山岳地帯を元気に駆け回る野生のアルプスアイベックスは約1万7千頭いるそうですが、これはかつて絶滅していた状態から再野生化させていった個体たちの子孫なのです。





