新緑が芽吹く直前の軽井沢へ出かけ、家族で「野鳥の森」を歩いてきました。出発前、森のプロフェッショナル集団「ピッキオ」に1本の電話を入れ、「熊、大丈夫ですか?」と単刀直入に質問。
ここ数年、ニュースを賑わせている熊の話題。小さな子どもを連れて森を歩くことに、正直なところ不安がありました。その不安を解消し、ワクワクに変えてくれたのが、森を知り尽くしたプロの言葉でした。
まだ新緑が芽吹く前の明るい春の森だからこそ見える、クリアな視界と生命の気配。五感をフルに使った、少しスリリングで贅沢なハイキングの様子をお届けします。
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現地の最新情報を知ることで熊への不安が解消した

出発数日前に、ピッキオに電話をすると、スタッフが森の現状を丁寧に教えてくれました。
- 軽井沢エリアには、熊が生息しているものの、人里に近づかせないための対策が徹底されている
- 犬や音などで追い払い、「人は近づきたくない存在である」と熊に学習させている
- 2011年以降、人間活動エリアでの人身事故は発生していない
30年以上に亘り、この森と向き合い、ツキノワグマの生態を研究し、保護管理にも携わってきた組織の方の言葉には重みがありました。現地の詳しい情報を知ることで、不安がすっと和らいでいきました。

1992年に「野鳥研究室」としてスタートしたピッキオは、自然観察ツアーを軸に、軽井沢の森と人をつなぐ活動を続けています。現在は軽井沢町から委託を受け、ツキノワグマの保護管理にも取り組んでいるそうです。自然と人が共存する仕組みを作る活動が評価され、環境省のエコツーリズム大賞を受賞しています。
買い物もいいけど、一生の思い出を作りに森へ行こう!

軽井沢といえば、駅前のアウトレットモールが有名です。しかし、この日、わが家はそこには寄りませんでした。
私は整理収納アドバイザーとして、日々モノと向き合っています。だからこそ感じるのは、所有する喜びよりも、体験として残る記憶の価値。森の匂い、鳥の声、子どもたちと見つけた小さな発見。それらは手放すことのない「資産」になっていきます。そんな目に見えない豊かさを求めて、この日、私たちは森へ向かいました。
スタッフ直伝、森歩きの3種の神器とは?
出発前の電話で、ピッキオのスタッフさんに、あると便利な持ち物のアドバイスをいただき、しっかり準備して出かけました。
1.熊よけの鈴

まず欠かせないのが、熊よけの鈴。ゴロゴロと鳴るたびに、自分が森の住人たちのテリトリーにお邪魔していることを意識させてくれます。最近では、熊には鈴の音が効かないというニュースも目にしますが、熊は本来人間を恐れる性質だそうです。軽井沢は、人間と動物との棲み分けが、ちゃんとできているんだと感じました。
2.双眼鏡

森の解像度をグッと上げてくれるのが、双眼鏡。双眼鏡は、ピッキオにて300円でレンタルも可能です。
3.カメラ

次男は、さらに「自分の目でも残したい」とマイカメラを持参しました。
新緑が芽吹く前の春の森のクリアな視界を堪能

私たちが野鳥の森を訪れたのは、雪解け直後の2026年4月12日です。歩き始めてまず驚いたのは、その視界の広さでした。

冬枯れから葉が茂る前の時期は、木々の間から光が差し、森の奥まで視線が抜けています。緑に覆われた夏場とは違う、気持ちのいい森の景色がどこまでも広がっていました。
さあ、野鳥や小動物の姿は見つけられるかな?

次男がきれいな青い鳥を見つけて急いで撮影。たぶん「オオルリ」だと思うのですが、残念ながらブレブレでした…(笑)。

「リスは、どんぐりの木にいることが多いから、よーく見て!」と、出発前にスタッフさんに教えてもらいました。会いたかったなー。

「あそこに鳥がいる!」「ちょっと待った、あれ熊じゃない?(実際は枯れ木でした)」など、息子たちと指を差しながら歩く時間は、まるで森のなかで楽しむ間違い探しのよう。冬の名残りと春の気配が混ざり合う空気のなかで、心がすっと整っていくのを感じました。
道中、大きなレンズの一眼レフを構えた人たちと何度もすれ違いました。「ほんとうに鳥が好きな人たちが集まっているんだな」と、その熱量に圧倒されました。これもまた、この森の日常の風景なのでしょうか。彼らが見つめる先に、私たちも双眼鏡を向けてみる。そんな視線のリレーが楽しかったです。
熊にムササビ、森の住民たちとの距離感は?

熊をただ「怖いもの」として遠ざけるのではなく、彼らの家にお邪魔しているのだという謙虚な気持ちを忘れてはなりません。動物たちの生態など、正しい情報を深く知ることで、森への敬意が生まれます。
今回はタイミングが合いませんでしたが、この森では、ピッキオが主催する「野鳥の森ネイチャーウォッチング」が毎日開催されています。また、夕暮れ時には「空飛ぶムササビウォッチング」というイベントも。こちらの2025年の目撃率は、なんと98.3%だそうです。

マントを広げて森を舞うムササビ。そんな姿を想像する息子たちの目がキラキラと輝いていました。次はぜひ、ムササビが見られる時間帯に訪れたいです。
ピッキオで体験できる主なツアー
- 野鳥の森ネイチャーウォッチング(通年):大人 2,500円〜、4歳〜小学生 1,200円〜
- 空飛ぶムササビウォッチング(3月中旬〜11月):大人 3,500円〜、4歳〜小学生 2,500円〜

休日は、本物の森を歩きに行こう

形あるモノは、いつか手放す日が来ます。しかし、森で感じた空気や、子どもたちと共有した小さな緊張や発見は、自分のなかに残り続けます。
もし休日の行き先に迷っているようでしたら、アウトレットモールを横目に、少しだけ足を伸ばして野鳥の森へ行ってみませんか。そこには、記憶に残る素敵な体験が待っています。
ピッキオ
- 所在地:長野県北佐久郡軽井沢町星野
- 電話番号: 0267-45-7777
- 公式ホームページ:https://picchio.co.jp
- 駐車場:ピッキオには専用駐車場がないため、軽井沢星野エリアP1を利用




