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2025.12.11

台湾四大大会のひとつ「田中マラソン」って!? 日本からも田中さんたちが参戦!

台湾四大大会のひとつ「田中マラソン」って!? 日本からも田中さんたちが参戦!
「田中」と聞いて、誰を、何を連想するでしょうか。角栄、将大、裕二など、世の中にはさまざまな田中さんがあふれています。なんといっても日本で4番目に多い苗字。総人口約131万人。さいたま市の人口とほぼ同じ。押しも押されもせぬ一大勢力ですよね。

しかも「田中」の勢力圏は日本国内にとどまりません。実は台湾にも田中という地名があることをご存知でしょうか。しかもその地で行われる「田中マラソン」に、今年は日本から「田中たち」が参加したという……。この時点で既に田中が大渋滞。台湾で行われたユニークなマラソンのユニークな取り組みをご紹介します。
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台湾の田中って?

田中は、台湾中部の一大農業地帯である彰化県にある小さな町。正式な名称は「田中鎮」といいます。鎮は日本の行政区分だと「町」に相当。ここで毎年11月に「田中マラソン」が開催されています。

人口4万人ほどの町で開催されるこのマラソン大会は、台北、新北、高雄での三大都市マラソンに並び、四大マラソンのひとつといわれています。ちなみに上記の都市の人口規模は、台北240万人、新北400万人、高雄270万人。そして田中、4万人。文字通り「桁違い」(しかも1桁じゃなくて2桁)なのに、この小規模な町で行われるマラソン大会が、なぜ「台湾四大マラソン」に……?

それは、4万人の田中住民たちが総出でランナーをもてなす点にあります。台湾で最も盛大な歓迎を受けるマラソン大会なので、初参加者は経験者から「走りきれるかどうかじゃなくて、食べきれるかどうかを心配して」と助言を受けるのだとか……! 道中、さまざまなエイドステーションだらけなので、「速く走れないマラソン」とも言われています。

日本の田中さんたちが参戦

さきほど述べたように、田中マラソンは台湾4大マラソンのひとつ。定員1万7千人の枠が秒で埋まるほどの大人気のマラソン大会です。

スタート付近の様子。どこまでも続く人の波。

そんな人気イベントに、「田中」が動きました。

日本と台湾をつなぐ仕事をしている生活藝人の田中佑典さん。福井県出身の田中さんは、2020年には福井県内を徒歩で巡る「微遍路」を実施。2024年には徒歩で3856㎞かけて台湾を一周する「台湾微遍路」を完遂しました。

台湾全土を徒歩で1周、その距離3856km!生活藝人・田中佑典さん「台湾微遍路」への挑戦

田中さんは、台湾微遍路の過程で知り合った方々と話をする中で、彰化県の田中鎮に「田中マラソン」という人気のマラソン大会があることを知り、のちに「田中たちで田中マラソンに参加する」というアイデアを編み出します。

台湾微遍路で知り合った彰化県・員林でジェラート屋「幸福販賣所」を営むLulu(洪維駿)とタッグを組み、政府機関等と交渉した結果、「田中枠」10名分を獲得。日台双方の田中さんにこう呼びかけました。「全国の田中さん募集します」!

これに応じたのは全国各地の好奇心旺盛な田中さんたち。10名の中には、青山学院大学陸上部で主将を務め、箱根駅伝での青山学院大学8度目の総合優勝に貢献した田中悠登さん(現・福井放送アナウンサー)や、初の台湾渡航で初のフルマラソンに挑戦したチャレンジャーな田中さん、月齢わずか8か月で参加したスーパールーキーの田中ちゃんも。10名のうち、1名はフルマラソン、1名はハーフマラソン、8名は10kmのファンランに参加します。

8か月でマラソンデビューした田中ちゃん。偶然出会った同志と。

台湾の中部にある田中鎮は、11月でもまだ真夏のような暑さ。幸か不幸か晴天に恵まれすぎてしまい、午前中には30℃を超えるのではないか?と噂されるほどの酷暑の中で田中マラソンがスタート。

大会の目玉のひとつである「コース中の至るところにあるエイドステーション」には、コース前半こそ軽食が並んでいたものの、中盤には豚の丸焼きなどのがっつり系メニューが登場。さらに終盤では牛肉ステーキなどのボリューミーなメニューがずらりと並びます。次から次へと押し寄せるグルメは、素通りするわけにはいきません。

ステーキ。食べやすいように一口サイズになっているのも嬉しい。

グルメ以外のサービスにも注目。走り疲れたランナーのためのマッサージブースがあったり、台湾の夜市でよく見かけるパチンコゲームがあったりと、さながら町全体がテーマパークのよう。個人的には、マラソンはマラソンとして走って、パチンコゲームは走り終えてからやったらいいのでは……!? と思ってしまうのですが、人生を楽しむのが上手な台湾人たちは、マラソンの傍ら、パチンコゲームに興じていました。

ランナーの回復ポイント、マッサージブース。
台湾の夜市でおなじみのパチンコゲーム。田中さんたちも体験。

田中住民総出でのお出迎えも実に豪華……というか、想像の斜め上。例えばデコトラ上で踊りながら応援していた方々は、田中さんご一行を見かけると「ぜひステージに上がっていって」と自らのデコトラにご招待。田中さんご一行は、急遽、デコトラのステージ上で、初対面の応援団たちと共に写真に納まることになりました。

デコトラ応援団のみなさんと。

また、マラソンコースの近隣にある「彰化県立田中高級中学(高校に該当)」では、宿泊場所や休憩場所として学校の敷地をランナーに開放しています。田中さんたちはコース上でたまたま出会った校長先生からのお招きを受け、学校に立ち寄ることに。「来年は、是非うちのグラウンドで前泊していってね」との熱烈な歓迎を受けました。

田中高級中学にて。右端が校長先生、左から2番目が企画者の田中佑典さん。

ほかにも沿線には、「日本からお越しの田中さんたち、田中マラソンがんばって!」と日本語で書かれている看板が設置されていたり、「加油!(中国語で頑張れの意味)」という紙を掲げて手を振るおばあちゃんがいたりと、みなさん、思い思いのスタイルで応援。

田中さんたちを感動の渦に巻き込んだ応援看板。
おばあちゃんの温かい応援。

田中住民のおもてなしの数々が、静かに心に沁みわたります。「10kmのゴールが見えたときは、『ああ、終わってしまう……』と、ちょっと寂しい気持ちになりました」と、企画者の田中佑典さん。

ゴール地点。嬉しいような寂しいような。

来年も田中マラソンで会いましょう

今回、「田中枠」のみなさんは、田中鎮出身の人気イラストレーター「小高潮色計事務所 ikuiku studio」がデザインした、背面に「田中」と描かれたおそろいTシャツを着て参加。

田中Tシャツ。田中鎮出身の人気イラストレーターさんによるデザイン。

そうしたら日本人走者の方から、「私も田中なんです!面白い企画ですね!来年も『田中枠』があったら僕も是非参加したいです」と声を掛けられたのだとか。なんと、「田中枠」以外でもいたんですね、田中さんが。

今回初の試みとなった「田中枠」、来年はどうなるのでしょうか?

田中佑典さんからは、こんな返答が。「今回の参加者の方には、田中マラソンへの参加を通じて、台湾の新たな魅力を知ってもらえたと思います。来年も『田中枠獲得』を目指したいですね」。

これは来年も期待大!

全国の田中さん。来年の田中マラソン参加に向けて、脚力と胃袋と、沿線上の応援団からどんなお誘いがあっても楽しめる瞬発力とポジティブマインドを今から磨いておきましょう。旧姓田中でもOKだそうです。

いざ田中鎮に。集え、田中!

<田中鎮への交通アクセス>
台北駅から台湾高鐵(新幹線に相当)で約1時間、「高鐵彰化駅」で下車。高鐵彰化駅が位置するところが田中鎮です。

写真撮影:台湾日和 @taiwanbiyori / 張育瑋 @soda_oo

市川美奈子さん

台湾在住ライター

静岡県出身。一児の母。民間企業を経て2013年から行政機関で勤務、2023年4月から台湾に駐在。夫を日本に残し、「ワーママ駐在員」として小学生の息子と共に台湾で暮らしている。旅行好き。離島を含む台湾各地を旅して、その土地の歴史と文化とアウトドアを楽しんでいる。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員

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