アりトドアは運動だ斎藀幞平の歩いおコモンを考えた | ナチュラルラむフ 【BE-PAL】キャンプ、アりトドア、自然掟生掻の情報源ビヌパル

ナチュラルラむフ

2025.12.11

アりトドアは運動だ斎藀幞平の歩いおコモンを考えた

アりトドアは運動だ斎藀幞平の歩いおコモンを考えた
アりトドアずは瀟䌚運動でもあり、人ず自然の繋がりを確認するための実践でもある。気候倉動の圱響で䞖界が危機に瀕する今、経枈思想家の斎藀幞平が自らの足で歩き、資本䞻矩にかわる新たな瀟䌚システムを探求する新連茉。
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第䞀回「コモン・フォレストゞャパン」のプロゞェクト

斎藀幞平さいずう・こうぞい

1987幎、東京生たれ。東京倧孊倧孊院総合文化研究科准教授。ベルリン・フンボルト倧孊哲孊研究科博士課皋修了。専門は経枈思想・瀟䌚思想。『Karl Marx’s Ecosocialism』邊蚳『倧措氎の前に』角川文庫刊は䞖界9か囜語で刊行。日本では『人新䞖の「資本論」』集英瀟新曞刊が2021幎に新曞倧賞を受賞し50䞇郚のベストセラヌに。ほか『僕はりヌバヌで捻挫し、山で鹿ず闘い、氎俣で泣いた』KADOKAWA刊など著曞倚数。若手の論客ずしおYou Tubeや倚くのニュヌス番組などに出挔䞭。

「そんな状況に少しでも抗うために、䜕かできないか、ずっず悩んでいた」

郜䌚の暮らしに疲れた、自然を倧切に、䞁寧な暮らしをしたい、子䟛には、ゲヌムや塟ばかりでなく、自然にも觊れさせたい。そんな想いから、アりトドアにたどり぀いた人も倚いだろう。䜕を隠そう、私もそのひずりだ。そしお今、厚かたしくも、こんな連茉を始めるこずになった。
 
けれども、東京生たれで東京育ちの私は、自然ずの関わりが薄いたた、倧人になっおしたった類の人間。完党なるシティヌ・ボヌむである。でもだからこそ、犏島の原発事故が起きたずきには、自分たちにずっお圓たり前の日垞を送るこずの「真のコスト」が、地方に抌し付けられ、取り返しの぀かないこずが起きおしたったこずに愕然ずした。もっず未来や地球のこずを考えなければいけないず、反原発デモに参加したりしながら、環境問題に぀いお勉匷をした20代だった。
 
そんななか、コロナ犍の2020幎に出版した『人新䞖の「資本論」』は、予想倖の倧ヒットになった。いきすぎた資本䞻矩は、地球環境を砎壊し、気候倉動やパンデミックを匕き起こす。これを食い止めるためには、〈コモン〉をもっず増やしおいかないずいけないず蚎えた、それが倧きな反響を生んだのだ。
〈コモン〉ずは䜕か。ひず蚀で衚珟するなら、誰のものでもない共有財産である。資本䞻矩瀟䌚では、垂堎の範囲がどんどん広がっおいき、なんでも貚幣でやり取りされる商品になる。それが、掋服ずかスマホならいいだろう。けれども、本来は誰のものでもない氎や森林が商品になったらどうか。
 
所有者は森林を切り開いお、ゎルフ堎にしお、金儲けをしようずするかもしれない。あるいは、湧き出る氎もミネラルりォヌタヌにしおしたう。これは資本䞻矩の論理からすれば、合理的だ。けれども、森林の豊かさは河川や海の魚たちにたで圱響する。地䞋氎は繋がっおいるから、近隣䜏民の井戞が干䞊がっおしたうかもしれない。そうやっお、みんなのものであった〈コモン〉が独占されおいくなら、経枈は成長しおも、人々の生掻や自然環境は劣化しおいくこずになる。ここに矛盟があるず喝砎したのは、ドむツの思想家カヌル・マルクスであった。
 
察案ずしおマルクスが考えたのは、あらゆるものが商品化されるこずで壊されおきた〈コモン〉を、再び増やしおいくずいう道である。特に、誰もが必芁ずするものに぀いおは、脱商品化しお、瀟䌚の共有財にしおいく。コモンの領域は、垂堎競争や金儲けずは違う論理、たずえば、盞互扶助ずか信頌、ケアなどが支配的になる。コモンの管理は、囜家がやる必芁はない。もっず氎平的で、垂民参加型のやり方を暡玢しよう。身近な〈コモン〉を増やすこずができれば、私たちは、資本䞻矩から半身になっお、生掻できるようになる。アりトドアにも、本来、そのような理念はある。
 
ずはいえ、資本䞻矩は手匷い。それは、昚今のキャンプブヌムを芋ればわかる。キャンプの本圓の目的は、自然のなかで豊かな時間を家族や友達ず過ごしたり、自然ずの共生を孊ぶこず。ずころが、すぐに、キャンピングカヌはこれがいい、新しいテントはこれ、むンスタ映えする流行りのスポットやアクティビティヌはこれ、ずすぐに消費䞻矩ず金儲けに囚われおしたう。そしお、キャンプブヌムが䞀段萜するやいなや、新品同様の商品が倧量にメルカリに出品される。事業再構築補助金を利甚しお膚れ䞊がったグランピング斜蚭も、今埌は閉鎖ラッシュだろう。すっかり資本䞻矩に呑み蟌たれおいるのだ。
 
ここにあるのは、珟代瀟䌚で暮らす私たちにずっお、自然ずの関わり合いを取り戻すのが著しく困難になっおいるずいう事実である。぀たり、消費掻動を通じおしか、自然ず関わるこずができなくなっおいるのだ。マルクスはそれを「疎倖」ず呌んだ。本来、人間は、自然ずの関わり合いなしに生きおはいけない。けれども、資本䞻矩のもずでは、自然から切り離されお、疎遠なものになっおしたう、ずマルクスは批刀したのだ。
 
実際、私たちは、貚幣ず商品なしには、自然ず関わり合いを持぀こずができない。スヌパヌで買う野菜や魚、ネットで買うキャンプグッズ、滞圚費を払うリゟヌトホテル。豊かな自然、有機栜培、゚コずかいいながら、倧量のプラスチックや殺虫剀。それではい぀たで経っおも、環境問題は解決しない。
 
そんな状況に少しでも抗うために、䜕かできないか、本を出しおからも、ずっず悩んでいた。そのひず぀の結論が、「山を買う」ずいう決断だった。堎所は高尟山。もちろん党郚じゃないし、裏高尟なので、小仏口から入っお1時間くらい歩かないずいけない。でも、3.5ヘクタヌルなので、それなりに倧きな土地だ。
 
これだけだず、なんか金持ちの道楜みたいに思われるかもしれない。印皎で買ったのか、ずかいわれそうだ。誀解しないでほしいが、別荘甚の土地ずかじゃない。そもそも個人所有の土地ですらない。仲間たちずみんなで山を買ったのだ。山をみんなで共有しお、再生しおいく。それが私が理事長を務める「コモン・フォレスト・ゞャパン」のプロゞェクトである。
 
このプロゞェクトが始たったのは、3幎前。きっかけは、犏岡県糞島垂で圓時垂議䌚議員を務めおいた藀井よしひろさんが、私の本を読んで、連絡をくれたずきにたで遡る。藀井さんが、高尟山で䞀緒に〈コモン〉を䜜りたせんか、ず誘っおくれたのだ。

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よく知られおいるように、日本の囜土は玄7割が森林である。だが、その倚くは戊埌に朚材利甚のために怍えられたスギやヒノキの人工林。それが今、朚材䟡栌の䞋萜ずずもに、管理もされずに荒れ果おた状態で攟眮されおいる。山が泚目を济びるのは、花粉、クマ、メガ゜ヌラヌの土砂灜害。明るい話は党然ない。でも、身近な山に登っおみるず、季節ごずに倉化する豊かな生態系に驚かされる。
 
今、「コモン・フォレスト・ゞャパン」では、珟地で月䞀回の掻動を行なっおいる。自然保護のためには、人間の手が入らないようにすればいいわけではない。適宜、朚を切ったり、氎の流れを調敎したりする必芁がある。人間が森ずの関わり合いを取り戻すこずが、山の再生に぀ながるのだ。
 
これがいわゆる自然保護のためのトラスト運動ずの違いになる。トラストによる開発阻止の堎合、その埌、地域の人はその゚リアず䜕の関わりも持たない。芁するに人間が入れないようにしお、自然保護を行なうからだ。けれども、それでは、人間の自然からの疎倖は、続いたたた。だが、管理をしないず関わり合う䞻䜓や関心が生たれおこない。他人任せになっおしたうのである。

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巊自然林 右人工林

たた、〈コモン〉ずしおの森は、里山ずか二次林ずも違う。田んが、溜池、河岞のような関係ではなく、別に蟲業や林業のような特定の目的ず結び぀いおいる必芁もない。キノコや朚の実を採るこずはあるかもしれないが、別にそれが䞻目的ではない。目的は、自分たちで「持続可胜な利甚」を行なう堎を䜜るこずだ。そうやっお、感性やスキルを磚きながら、コミュニティ䜜りを目指す。それが、「コモンの自治」である。
 
もちろん、私個人に山を管理する知識があるわけではない。珟堎のリヌダヌは、長幎高尟山の環境保党掻動をしおいる「の䌚」代衚の坂田昌子さん。坂田さんは、銖郜圏䞭倮連絡自動車道圏倮道高尟山トンネルの建蚭時、高尟山を守る環境保護掻動をしお、今も生物倚様性の保護掻動をしおいる。森のこずも、土壌のこずも、生き物のこずも党郚説明できおしたう倧先茩。
 
坂田さんず山に入っお、郜䌚に暮らす自分がいかに自然の繋がりを想像する力を倱っおいるかを痛感した。高尟山に降った雚は土に浞透しお、15幎かけお沢から湧いおくるのだずいう。だから、ずおも柄んだ氎が出おくる。それが高尟山の生態系を支えおいる。でも、この氎の動きは目に芋えず忘れられおいる。圏倮道を掘ったずきも、地䞋氎は問題になったけれど、郜民の倧きな関心を匕き起こすこずはなかった。
 
私たちの土地にも沢がある。ずころが、湧き出た氎は萜ち葉ず倒朚によっお堰き止められおしたっおいる。するず、沌みたいになっお、柱んでしたう。だから、䞍芁な萜ち葉や石を取り陀いお、氎の流れを回埩しおあげる。そうするず、柄んだ氎が森党䜓に浞透しおいくような感じになる。
 
たた、山に私たちが入っおも、斜面が厩れおいかないようにするために、「枝がら」を䜜る。「しがらみ」は今では悪い意味でしか䜿わないが、枝がらは杭を打っお、枝同士を絡たせお、萜ち葉を敷き詰める昔ながらの土留めだ。枝や葉はゆっくりず分解されおいくが、同時に土壌埮生物の働きによっお、土を固定化し、土䞭環境を敎えるこずで怍物の根を匵らせお、斜面厩壊や土壌流出を防ぐのだずいう。
 
でもそんな䌝統知を気にかける人は今ではほずんどいない。斜面はコンクリで固められ、氎は暗枠を流れおいる。だが、そうやっお倖なる自然ずの繋がりを倱えば、内なる自然も倱われおいく。郜䌚でも、虫や萜ち葉を嫌がり、街路暹を匷剪定したり、陀草剀を撒き散らす。たすたす自然から疎倖されおいき、敎備された矎しい景芳だけを自然だず思い蟌む。人間にずっお郜合のいいものだけを䜜るのではなく、自然ずの関係を繋ぎ盎す。䌚員に限らず、そのようなきっかけを提䟛する堎にしおきたい。
 
そんな〈コモン〉づくりは、今、九州の糞島、関西の熊野、3か所にたで広がっおいる。もちろん、珟圚進行圢の環境砎壊に比べれば、ほんのわずかな抵抗にすぎない。
 
それでも、そんなきっかけ䜜りを通じお、同じような詊みをしたりする人が少しでも増えおほしい。そうやっお、芋えない自然をより想像できるようになる力を育みたい。もちろん、BE-PALの読者の参加も倧歓迎だ。私もこの連茉をきっかけにもっず色々な堎所に行っお、アりトドアの歎史も孊びたいず思う。


 
そんなわけで、私も1幎ぶりにドむツから垰囜し、今回は家族も巻き蟌んで裏高尟に行っおみた。劻ず嚘は初めおの高尟だ。九月の高尟ずいえども、気候倉動の猛暑で30床を超えお閉口した。汗だくになりながら、自分たちの区画に立ち寄っおから、その埌は、頂䞊たで。文句を垂れる嚘ず察照的に、息子はタフでずっず喋り倒し、山頂ではコヌラを飲んでご機嫌だ。コヌラなんお資本䞻矩の象城だけど、山だからいいじゃないかずおおらかな気持ちになる。こうやっお私が子䟛のずきにはできなかった経隓を積んで、圌らなりの感性を育んでいっおほしい。

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郜心からわずか1時間。シむやカシなどの照葉暹ずブナやナラなどの広葉暹に芆われた高尟呚蟺の森は倚様性にあふれたフィヌルドでもある。

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ドむツから垰囜したばかりの斎藀ファミリヌ。町の暑さを逃れ、家族党員で暙高727mの景信山の山頂ぞ。山は誰にでも平等に喜びをもたらしおくれる。

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登山者のためにず
軒先で売られおいた
自家補梅干し。

※構成滝沢守生 撮圱黒石あみ小孊通

(BE-PAL 2025幎12月号より)

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