「橋に歴史あり」を体感!浅草橋からの隅田川沿い散策【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY FILE.7】 | アウトドア・外遊び 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

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2025.09.28

「橋に歴史あり」を体感!浅草橋からの隅田川沿い散策【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY  FILE.7】

「橋に歴史あり」を体感!浅草橋からの隅田川沿い散策【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY  FILE.7】
プロハイカーの斉藤正史さんが、独自の視点で東京23区内の緑道を「GREEN WAY」として捉え直し、実際に歩いた足跡を紹介します。身近なGREEN WAYでも四季折々の見どころがあり、街の意外な歴史にふれることができる、かもしれません。

今回は東京都台東区の浅草橋から隅田川沿いをめぐる「浅草橋GREEN-WAY」です。
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東京にいることを忘れるほど不思議な情緒に包まれた人形町の暗渠ルート【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY  FILE.6】

7th ルート:浅草橋GREEN WAY

次はどこをどう歩こうか——。そんなこと考えながら地図をめくっていると、ある川沿いに遊歩道が伸びていることに気づきました。遊歩道はどこから始まり、どこで終わるのだろう?地図で見ると途切れている場所もあるけれど、ひとつながりに歩けるのだろうか?ふつふつと疑問がわいてきます。

とりあえず歩いてみればわかる!ということで、今回は山形在住の僕の東京での定宿からほど近い、浅草橋を起点に隅田川周辺を歩きます。その名も「浅草橋GREEN-WAY」です。

早速、JR浅草橋駅をターミナス(=トレイルの起点や終点となるアクセスポイント)に歩き進めていきます。

浅草橋には問屋さんが多く、個人的によく訪れます。古い建物も多く見かけますが、ふと考えてみると、街そのもののことをあまりよくわかっていないことに気づきました。

浅草橋

浅草橋は、ちょうど浅草と向島を結ぶ架け橋としての役割を果たしたことから、「浅草の橋」として名づけられたとか。東は隅田川、南は神田川が流れ、江戸時代から重要な交通路(水路)だったそうです。

交通の要衝であったことから次第に地場産業が発達し、現在でも食器や文具、玩具や人形などの問屋が軒を連ねています。また、かつての花柳界の名残で屋形船の船宿が今も残っているそうです。

浅草橋駅から日本橋方面に歩いていくと、まさに神田川に差し掛かるところに「浅草橋」がありました。

浅草橋。

橋を渡り神田川沿いに道がありそうなので進むと、そこにはこじんまりとした建物が立っていました。

浅草橋「鈴木屋」

こちらのルーツは、新大橋(大橋)の近くにあり、投げ縄や鴨猟を愛した15大将軍・徳川慶喜が贔屓にしていた船宿の名店「上田屋」。しかし、跡取りに恵まれませんでした。そして、「上田屋」の娘が嫁いだ先が、今も続く「鈴木屋」だそうです。

歴史ある鈴木屋。

鈴木屋の前の柳が並ぶ遊歩道を通ると、「柳橋復興記念の石碑」がありました。

柳橋復興記念の石碑

明治維新後、新橋とともに花街として、柳橋が東京を代表する場所だったことを今に伝える石碑。正岡子規の「春の夜や女見返る柳橋」という句が添えられていて、なんとも味わい深いです。

ちなみに、花柳界といわれる花街には、入口に柳が植えられていることが多かったそうです。水に強い柳は、埋め立て地で水分の多い土地に植えられることが多く、境界線としての目印でもあったとか。

復興記念石碑。

柳並木の道を進んでいくと、いよいよGREEN-WAYらしい道のりになってきました。神田川と隅田川が合流するあたりから、川沿いに遊歩道が見えてきます。

果たしてどこまで続くのだろうと期待しながら進むと…なんと、工事中のため通行止め。地図上ではつながっていそうなので、仕方なく戻って迂回しつつ、次のポイントを目指します。

貼り紙をよく見ると「通行止」「通り抜けができません」って書いてますね…。

グルっと回って進んでいくと、オブジェのようなものが置かれた橋がありました。

両国橋

江戸幕府は防備の面から隅田川への架橋は千住大橋以外認めていませんでした。しかし、1657年(明暦3年)の明暦の大火の際に、橋がないために逃げ場を失った多くの江戸市民が火にのまれ、10万人と伝えられるほどの死傷者を出してしまいます。

事態を重く見た当時の老中酒井忠勝らの提言により、幕府は防火・防災目的のために橋を掛けることを決断。架橋後は市街地が拡大化され、本所・深川方面の発展に大きな役割を担うばかりでなく、火除地として利用されたそうです。

この両国橋は焼落、破損により何度も架け替えられ、木の橋としては1875年(明治8年)が最後です。その後、現在の場所に鉄製の橋が架けられました。関東大震災にも耐えましたが、隅田川橋梁群の復旧工事の一環として、現在の橋にかけ替えられたそうです。失礼ながら、どこにでもある橋のように見えても、そこは隅田川、歴史的にも重要なものだったのですね。深い。

モダンな両国橋。

しかし、歴史に感心している場合じゃありませんでした。両国橋から伸びる遊歩道が、またも工事中。仕方なく、遊歩道の脇にある土手道を進んでいきます。時期が悪かったのかな…。

しかし、気持ちを切り替えて眺めれば、川沿いの遊歩道より土手の並木道の方がGREEN-WAYっぽい雰囲気です。これはこれでありじゃないかなと思えてきました。

その道を進んで千代田公園がある歩道橋に差し掛かると、再び隅田川沿いの遊歩道に合流するのでした。が、しかし…。

ここも工事中…。

二度あることは三度あるで、またしても工事現場に行く手を阻まれました。みたび、隅田川沿いの遊歩道へ進みます。

川沿いに降りると、レンガの壁やこじゃれたベンチなどがあり、大正のにおいが感じられるような雰囲気です。大正のにおいいとは何かと問われたら答えに困りますが…。

おしゃれな感じのエリアです。

この辺りの遊歩道は街路樹こそありませんが、水辺だし空が広いし、気持ちがいい!そういえば、アメリカのトレイルでは、水辺を多く歩くことがあります。どんなに疲れているときでも、心地いいルートを歩くと足取りが軽くなります。気のせい、かもしれませんが。

昔の構造物の一部を保存・活用しているのでしょうか。好きな雰囲気です。

目を転じると、隅田川の対岸にも歩道がある様子です。今度はあちら側を歩きたいなと思いながら歩を進めていくと、高速道路の高架橋を越え、次に現れたのが新大橋でした。

新大橋

最初に新大橋が架橋されたのは、1693年(元禄6年)。隅田川3番目の橋で、「大橋」と呼ばれた両国橋に続く橋として「新大橋」と名づけられたとか。江戸幕府5代将軍・徳川綱吉の生母・桂昌院(けいしょういん)が、橋が少なく不便を強いられていた江戸市民のために、架橋を将軍に勧めたと伝えられています。

しかし、新大橋は何度も破損、流出、焼落していて、その回数は20回を超えます。ついに、享保年間に幕府は廃橋を決めたそうです。しかし、町民衆の嘆願により、橋梁維持に伴う諸経費を町方が全て負担することで1744年に存続を許されたとか。当時は、橋詰にて市場を開いたり、寄付などを集めていたたそうです。

いろいろなストーリーがある新大橋。

松尾芭蕉には「初雪やかけかかりたる橋の上」「ありがたやいただいて踏むはしの霜」といった句があります。これは、隅田川東岸の深川に庵を構えていた芭蕉が、新大橋が完成していく様子を詠んだ句といわれています。また、歌川広重がその最晩年に描いた名所江戸百景の中にも新大橋が登場しています。

なお、新大橋は関東大震災の際に隅田川の橋がことごとく焼け落ちる中で唯一被災せず、避難の道として多数の人命を救いました。そのため、「人助け橋(お助け橋)」と呼ばれたとか。何だか、この橋にいろんなドラマがギュウギュウに詰まっています。

その歴史を知り、新大橋がかっこよく思えてきました。

新大橋から川沿いの遊歩道を進み、中州公園を通って清州橋を過ぎると、ここも工事によって通行止めです。回り道も散歩の醍醐味ですね。結局、清州橋まで引き返すのでした。

清洲橋のたもとにある清洲橋の旧照明具。

(工事が行われていなければ)とりあえず浅草橋から清洲橋のあたりまでは、隅田川沿いの遊歩道を歩き通すことができそうです。

個人的にはスムーズにまっすぐ歩くよりも、回り道や迷い道の方が楽しく感じます。少しぐらい遠回りになっても、その方が印象に残りますし。とかなんとか、このままだと人生とか語りだしそうなので、今回はここでフィニッシュとします。

特に深い考えもなく、隅田川沿いの遊歩道は気持ち良さそうだなと歩き出した、今回のGREEN-WAY。いろいろな橋の歴史にふれることができ、思いがけず意義深い散策になりました。浅草「橋」GREEN-WAY、ぜひ歩いてみてください。

今回歩いたルートのデータ
|距離約2.0km
|累積標高差約9m

今回のコースを歩いた様子は動画でもご覧いただけます。

●浅草橋GREEN WAY

斉藤正史さん

プロハイカー

2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。また、BE-PAL.netにて「TOKYO山頂ガイド」を連載。

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