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    2025.11.10

    【オーストリア雪山登山】現地の方はミリタリーブーツ装備!?【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】

    【オーストリア雪山登山】現地の方はミリタリーブーツ装備!?【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】
    前回は「絶景の雪山ハイキング」を紹介しました。その次となると…はい、「雪山登山」です!

    じつは滞在していたマイヤーホーフェンエリアにはいくつかの「ウィンターハイキングパス」という雪山トレッキングルートがあります。で、地図を眺めていたら「雪山ハイキング」ではなく「雪山登山」っぽいルートがあったので、この旅のコーディネーター氏に聞いてみたところ、「先日夫が1時間くらいで往復したと言っていたと思うわ。いや、片道1時間だったかしら」。

    そのあいまいさがちょっと不安ではあったのですが、前回の「雪山ハイキング」で魅力に取りつかれてしまった私は行ってみることにしました。

    どうも。オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
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    前回はこちら↓

    ヨーロッパ・オーストリアで登山。個人的「世界一の絶景ベンチ」に出会えた喜び【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】

    「世界第2の絶景ベンチ」も発見!笑(雪遊び王国オーストリア旅・その6)

    今回登るルートの名称は「ウィンターハイキングパスアホーンフィルツェンコーゲル(Filzenkogel)」です。

    目指すはあの頂です!

    滞在拠点としていたマイヤーホーフェンの街外れから出る「アホーンバーン」というゴンドラ(「ペンケンバーン」とは別の)を降りたあと、「動く歩道」を乗った先。この「雪遊び王国オーストリア旅」シリーズで最初に紹介した「トロボガン(そり)」のスタート地点とほぼ同じ場所です。

    13時39分出発。今回もフォトグラファー氏とは別行動のひとり旅です。

    まずは「ウィンターハイキングパスアホーン(Ahorn)」という表紙に沿って進みます。
    分かれ道で「ウィンターハイキングパスアホーンフィルゼンコーゲル(Filzenkogel)」方向に向かいます。
    肉食恐竜や猛禽類の「鉤爪(かぎづめ)」みたいな形の看板も、このエリアの他のハイキングコースと共通。

    最初は順調。じつはこの朝、バタバタしていてせっかくオーストリアまで持ってきたスノーシューズに履き替える時間がなくハイキングシューズで向かったのですが、少なくとも登りは特に滑る感じではなかったです。

    足元もしっかり踏み固められています。

    むしろ歩き始めて気になったのがなんか知らんけどロック調の音楽がガンガンとならされていたこと。音源はリフトのポールの模様です。ランチを食べたレストランは珍しく静かでした。

    絶景に次ぐ絶景!

    ふりかえって出発地点を見てみました。

    こうやってみると「天空の城」っぽさがありますね。

    快調に進みます。
    レストラン出発の17分後の13時53分、立ち止まって写真を撮影。
    スキーの跡が何本も。板をかついで登ってすべりおりるらしいです。

    さっきと比べて「踏みあと」がずいぶん狭くなってきました。ということはここまで来る人は少ないということ。なんだか少し不安になってきます。

    そして少しずつ雪が深くなっていきます。また雪が溶けているところもあって、ずるずるとすべるようになってきました。

    降りてくる30歳くらいの男性に遭遇、履いていたのは?

    「上まで行ったんですか?」と声をかけると「あの丘の上とその先の丘まで行った」とのこと。

    「履いているのはスノーシューズですか」と聞いたら「ミリタリーブーツです」。軍用のブーツということなのでかなり頑丈なのでしょう。

    その彼と別れて進みます。でも少しずつ不安が大きくなっていきます。この旅のコーディネーター氏によると「先日夫が1時間くらいで往復したと言っていたと思うわ。いや、片道1時間だったかしら」という情報は聞きだしていたのですが、あくまでも「言っていたと思うわ」という伝聞レベル。正確な情報はありません。そして地図も持っていません。

    やめておこう。そう判断しました。足元は普通のミドルカットのハイキングシューズで、すでにときおりすべり始めています。下りは気温が上がってさらに雪が溶け、すべりやすくなるかもしれないと判断したからです。やめる決断も大切です。

    というわけでマイヤーホーフェンエリアで雪山ハイキングをしようとお考えのみなさん。特にこういう「登り下り」がある場所ではスノーシューズとかスノースパイクとか軽アイゼンとかご用意のうえいらしたほうがいいと思います。

    14時10分、ここで引き返します。

    登り始めて30分くらいですから「片道1時間」のルートのちょうど半分くらいまで来たのかなと思います。

    世界第2の絶景ベンチと私の足元

    下りの途中でベンチを発見しました。

    登ってくるときは気づかなかった。それだけ緊張してたのかな?

    このベンチでかなり長いこと休憩しました。

    足元は普通のミドルカットのハイキングシューズです。

    いや、「ほどではない」と思ったのはもしかしたら昨日よりも雪解けが進んで白い部分が少なくなってしまったからと、谷向こうの山肌が逆光で暗くなっていたからかもしれません。もう少し早い季節、しかも午前中の早い時間だと雪も多く、陽が当たって、こちらが「世界一の絶景ベンチ」になるかもしれません。

    下りの途中、スノボを持って登っていく2人組に出会います。

    下り始めてすぐはあまり問題はなかったのですが、足が少し滑る回数が増えてきました。

    ちょっと急な坂を下りたところ。

    このあたりでは足をつけたところから必ず2~3センチはずるずると滑るようになっていました。ぽかぽか陽気だから時間が経ったらさらに雪が溶けてすべる可能性が高かったでしょう。途中でやめて正解でした。

    「無事に帰ること。それが旅の最大の目的」。そんな言葉が頭をよぎりました。

    「鉤爪(かぎづめ)ゲート」が出迎えてくれます。
    穏やかな春の日差しを浴びて休憩中の方々。

    14時45分、ゴンドラの駅に到着。登り始めて1時間強でした。

    最後に

    今回は登頂不成功です。でも「成功しました」という記事ばかりだと「成功が必須」と感じられるようになるかもしれない。「もしかしたら危険かもしれないので断念した」という記事も大切だと思い、あえて紹介したいと思います。

    それに途中までだって充分にきれいなのです。そして「頂上にたどりつくだけがすべてじゃない」と思います。

    海外で日本のハイキングのことを聞かれたときに必ず伝えるのが「日本ではピークハントを目標にする人が超主流で、頂上が目的地というハイキングコースがほとんど」という話。

    それから日本だとケーブルカーで山の上に登ってそれから歩くのは「邪道」みたいに考える人もいるということも。ふもとからしっかり登ることこそ、登山。それこそが登山道、みたいな。ここでいう「登山道」とは「登山ルート」みたいな話ではなく「柔道」とか「剣道」とか「華道」のような「探求すべき道」です。

    でもヨーロッパでは必ずしも「頂上を目指すこと」が山歩きの目的ではないのです。ケーブルカーで頂上まで上がってしまうのだって普通。そして標高が高くて見晴らしのいい尾根筋を縦走して、別のケーブルカーで降りてくるという「いいとこどり」も「全然あり」という感じ。

    とにかく成功したことを書くだけが記事ではありません。…でないと人生失敗ばかりの私は商売あがったりですから。笑

    【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら

    取材協力:MOUNTOPOLIS (THE MAYRHOFNER BERGBAHNEN WORLD OF ADVENTURE)
    https://www.mayrhofen.at/en/pages/mountopolis-starting-page-winter
    マイヤーホーフェンエリアの「冬のアクティビティ」に特化したサイト。

    Mayrhofen-Hippach holiday region
    https://www.mayrhofen.at/en/
    「夏のアクティビティ」も含むマイヤーホーフェンエリアの総合サイト。

    オーストリア観光公式(冬のオーストリア旅行について)
    https://www.austria.info/ja/inspiration/skiing-and-winter/

    フィンエアー/Finnair
    https://www.finnair.com/jp-ja
    「日本から一番近いヨーロッパ」であるヘルシンキ経由で、欧州約70都市へ。羽田・成田・中部・関空の4空港就航。

    柳沢有紀夫さん

    オーストラリア在住ライター (海外書き人クラブ)

    1999年からオーストラリア・ブリスベン在住に在住。オーストラリア関連の書籍以外にも『値段から世界が見える!』(朝日新書)、『ニッポン人はホントに「世界の嫌われ者」なのか?』(新潮文庫)、『日本語でどづぞ』(中経の文庫)、『世界ノ怖イ話』(角川つばさ文庫)など著作も多数。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」のお世話係

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