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    2025.09.12

    世界遺産「アレッチ氷河」で大迫力ハイク!(中級編)【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】

    世界遺産「アレッチ氷河」で大迫力ハイク!(中級編)【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】
    今回も前回同様「アレッチ氷河」中心の話となります。でも今回は上から眺めるだけでなく「氷河の間近」まで行きます。これが想像以上の大迫力でした!

    さらに1キロメートルのトンネルを通り、最終的には標高約3000メートル、視界360度の山頂からの絶景も!変化に富んでいて満足度100パーセントのハイキングです。

    どうも。オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。

    スイスの世界遺産・アレッチ氷河で展望ハイク(初級編)【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】 | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

    スイスアルプスの魅力を満喫!(スイス・アレッチ地方旅その2)

    アレッチ観光局のナディーンさんとハイキングした翌日。今度は同局のデイビッドさんとかなり本格的なハイキングへ。

    デイビッドは20人くらいいるアレッチ観光局のかなり偉い人らしい。

    とはいえオフィスで仕事をするタイプではなく、山登りやスキーが大好きな根っからのアウトドア人間。この1ヵ月前には日本人の山岳ガイドの友だちと富士山に登ってスキーで降りてきたという「山遊びの達人」です!

    当然このアレッチアリーナ(「アレッチ地方」のような意味)のことも熟知しています。

    というわけでこちらの師匠とともに「アレッチアリーナの見所満載」トレッキングへ。山あり谷ありトンネルありの本当に無茶苦茶おもしろいルートなのでオススメです。

    まずは別角度から「アレッチ氷河」を眺めます!

    9時に私が泊まっているホテルにデイビッドが迎えに来てくれました。

    地図中央の「ベットマーアルプ(Bettmeralp)」と書かれた海抜1950メートルの中腹駅あたりです。
    ロープウェイと鉄道のルートを見るだけならこっちの簡易版マップのほうがシンプルな分わかりやすいかも。

    長めのハイキングをするには遅いスタートと思われるかもしれませんが、中腹駅と山頂駅との間のロープウェイがこれより前は動いていないとのこと。それから夏至前後のスイスは、21時でも充分明るくて暗くなるのは22時くらいなので、このくらいのスタートでも時間的余裕はあります。

    ちなみに中腹駅と山麓駅とのロープウェイは朝5時台から動いていました。山頂駅周辺に住んでいる人はほぼゼロですが、中腹駅周辺にはたくさんいるので通勤や通学の「生活の足」にもなっているんですね。

    とにかく私たちは中腹駅からロープウェイに乗り、9時34分に海抜2647メートルの山頂駅「ベルグスタシオンベットマーホルン」で降りました。はい、すでに海抜2647メートル!

    泊まっていたホテルは海抜約1950メートルに位置していますし、前日も前々日も海抜2333メートル地点まで上がっているので私は問題ありませんでした。

    ですが、ふもとの海抜750~1050メートル前後の駅からいきなりロープウェイで登ってくる場合は「高地順応」の時間を取る必要もある高さだと思います。

    トイレを済ませて9時40分にウォーキングスタート。ちなみこの後3時間ほどトイレはないとのこと。

    駅から展望台までほんの2~3分ですが歩きます。

    遊歩道が気持ちいいですが、木道なのは展望台までです。笑

    「アレッチ大好き人間」のデイビッドは見知らぬ観光客にもすぐ解説を始めます。

    「上から見ると氷河はすごくフラットに見えるでしょ?けど近くで見るといくつもの小さな山になっているんですよ」とか。あとここで何組かの撮影も担当していました。フットワークの軽いボスです。

    9時47分展望台から下っていきます。

    デイビットによると氷河は「氷の塊」ですが、そこにとどまっているわけではありません。右側の上流から左側の下流に1年で約200メートルも動いていると言われているのです。

    それでも左端の下流は毎年50メートルほど後退し短くなっているとのこと。つまり10年後には500メートルくらい後退しているはずです。さらに高さは毎年5メートルくらい下がっているとのこと。

    「後退する」とか「下がる」といってもそれはつまり暑さで溶けてしまっているということですね。

    なんだか氷河が動いたり高さが減ったりするという話はイマイチうまく想像できないのですが、あとで「なるほど!」の光景を目の当たりにします。

    さて歩いている間、近くにないのに川の音のようなものがすごく大きく聞こえて不思議だったのでデイビッドに聞いてみました。「ああ、対岸の川の音だよ」。谷で反響するから遠くでも大きく聞こえるのだとか。「対岸の川までの距離は4キロメートルもあるんだよ」。そして氷河の幅は1.5キロメートルくらいだそうです。

    さらに進んでいくと雪が登山道の岩の上に残っていて、すべりやすくなっているところが1ヵ所だけありました。デイビッドによると「このルートは1週間前にオープンしたばかり」とのこと。

    アレッチアリーナの各トレッキングルートは夏の登山シーズンが始まる前に「雪が残ってないか」とか「道が崩れてないか」とかをチェックしてから正式オープンするそう。よってオープンの時期は同じルートでも毎年異なります。

    特に今回の山頂からアレッチ氷河に下るルートは北側の斜面に面していて雪が溶けるのも遅いので、オープンするのは毎年遅めなのだとか。今年は1週間前にオープンしたけれども、去年はこの時期にはまだ閉鎖されていたそうです。

    どこがオープンしているかはアレッチアリーナのウェブサイトで確認することができます。

    他にもあれこれ話している間にかなり高度を下げました。

    この距離で見ると確かにデイビッドが言うように「氷河の表面は小さな山々」というのがわかりますね。

    それから昨日とはまた違う角度なので「アレッチ氷河」の「源流」(という言い方があっているかわかりませんが)のほうも見えます。

    このあと遠くに「氷河の上ウォークツアー」の隊列が見えました。いや、私には見えなかったのですがデイビッドが「あそこにいるよ~」。スマホで望遠の写真を撮ったところ確かに隊列がいました。平均視力が3.0~8.0と言われるマサイ族並みの視力かっ!

    で、この翌日は特に予定がなかったので「氷河の上ウォークツアー」の予約できないかデイヴィドが電話をしてくれました。でもまだシーズンの始めで週に4日しか営業しておらず、翌日はお休みとのこと。残念。

    間近に見る氷河の大迫力!

    さらに下っていくと氷河が間近に迫ってきました。

    この下りは足元が本当にすべりやすいので要注意。

    そしてちょうど正午に氷河に到着です。

    真っ白かと思ったら意外と表面には何かが積もっている感じですね。
    下の岩の左側のほうから氷河の下に向かってものすごい勢いで水が流れていました。

    本当にもう「激流」という感じで。しかもかなりの角度で。というわけでのみこまれそうな恐怖で、うまく写真が撮れませんでした。すみません。でものみこまれてしまったら絶対に助からないのは確かなので…。

    そして「下にこんなに水が流れているのなら氷河も移動して当然」と妙に納得しました。

    端っこでも氷河の厚みがかなりにあることがお分かりいただけると思います。
    ひさし状になってるところは人も入れる高さなのですが、落ちてくる可能性があるので行けません。

    またこのひさし状の部分の上を歩くと当然崩落する可能性もあります。それが今なのか明日なのか1~2週間後なのかはわかりませんが。「だから氷河ウォークは必ず正式なガイドと一緒にね」とはデイビッドからの忠告。

    写っているのはお互いをロープでつないでいないので、ガイドがいない団体だそう。
    青く輝く氷河の下。きれいと怖いがあいまった不思議な体験でした。

    その後もあれこれ変化に富んだコース

    氷河の脇で15分過ごしてから出発です。

    「マウンテンピラミッド」というのだそうです。

    ヒマラヤに行った山岳ガイドがそこの習慣を真似して始めたのだとか。無事にツアーガイドを終了したことに感謝して、石をピラミッドの上に投げてから一周する習慣がヒマラヤにはあるそうです。

    氷河を出発して30分後の12時45分に山小屋のレストランに到着です。

    宿泊は相部屋で二段ベッド。収容人数は18人くらいだとか。夕食と朝食付きで80スイスフラン(約14800円)くらいだそう。

    昼食を終えて、ほんの5分ほどですが「盆地」みたいなところを歩きます。

    これはこれで迫力の風景。

    というか、これはいわゆる「カール(圏谷)」というやつかな? 

    さてそのあと長さ1キロメートルあるというトンネルへ。すごく寒いです。そして暗いです。サングラスからメガネに変えても、そしてスマホのライトをつけても下がよく見えないくらい。

    出口付近の写真で、かつスマホのマジックで明るく見えますが…。

    地面にかなりの深さの水たまりがあるので足を入れないように気をつけて歩きます。だけどそれもまたワクワク体験。

    トンネルを出たところを右に曲がると分かれ道。

    右の道を高度差600メートルほど登ると標高2926メートルのエッギスホルン(Eggishorn)にたどりつきますが、今回は左の道を下りロープウェイの中腹駅へ。

    写真ではわかりにくいですが緩やかな下りが続きます。

    このだらだらとした午後のアンニュイな下山感がたまらないです。いや、このあと最後に登頂が待っているんだった。

    いい感じのベンチです。

    フィナーレは標高2926メートルの山頂!

    中腹のフィッシャーアルプ(Fiescheralp)駅から14時55分にロープウェイに乗り、15時ちょうどに山頂駅に到着。その後エッギスホルン(Eggishorn)に向かいます。

    このあと一度ググッと高度を下げます。

    途中雪が残っているところがありました。

    登山の途中でまさに「オレっちアレッチ」なボーズが自然に出るデイビッド師匠。

    山頂駅から20分ほどでエッギスホルン山頂に到着です。

    ここが山頂。相変わらず「オレっちアレッチ」なポーズが決まるデイビッド師匠。

    っていうか一応ゲストである私よりも先に頂上に立つのはいいにしても、そこでポーズを決めるっていうのはどうなの?笑

    2人立つのがやっとの狭い頂上ですが360度の眺め。
    山頂駅とその向こうの山並み。
    ランチを取ったレストランと湖。
    師匠とツーショット。

    このあと「もっとSNS映えするスポットがあるんだよ」と師匠。で、この山頂から大きな岩々の上を10メートル歩いた先の、アレッチ氷河側に突き出た場所に向かったのですが…。

    途中から雪の上で結構ズルズルすべります。
    ビビッて最後まで行けなかった私の代わりに師匠がまたポーズ。

    そして来た道を山頂駅へと向かったのですが、到着したのは30分ごとのロープウェイが出たあと。次の便が16時25分なのでその辺でダラダラします。

    その間にも観光客に話しかけに行く仕事熱心な師匠。
    山頂駅周辺には展望スポットがあちこちに。
    写真中央、アレッチ氷河でクレーターみたいになっているところが見えます。

    小さく感じられますが長さ200メートル、幅50メートル、そして深さ200メートルのデカさなのだとか。以前行った三原山は直径300メートルなのでそれより少し狭いですが、深さは同じ200メートル。かなりのデカさです!

    「お鉢巡り」「日本唯一の砂漠歩き」「絶景温泉」と言えば…さて、ここはどこでしょう?

    こういうのが間近に見られる「氷河上ウォーク」、いつか絶対してみたいです。

    スイス旅の必須アプリ3点!

    ちなみにデイビッド師匠によるとスイスのハイキングでは3つのアプリが便利とのこと。一つは位置情報アプリの「swisstopo」。トレッキングルートもバッチリわかります。

    もう一つが天気予報アプリの「MeteoSwiss」。特に山では雨雲レーダーが便利です。

    そして乗り換えアプリの「SBB Mobile」(SBBは「スイス連邦鉄道」のこと)。スイスの山では鉄道とロープウェイやケーブルカーを乗り継ぐことに多いのでこの乗り換えアプリは本当に便利です!

    登頂後ロープウェイ、鉄道、またロープウェイと乗り継いで、宿に戻ったのは17時40分。アレッチ氷河を上からと間近から見て、トンネルなどを通り、最後は3000メートル級の山に登頂するという充実しすぎの一日でした。

    【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら

    スイス政府観光局(「アレッチ氷河」のページ)
    https://www.myswiss.jp/destinations/aletschgletscher/

    アレッチアリーナ(「アレッチ地方」の公式紹介ページ。英語)
    https://www.aletscharena.ch/en

    柳沢有紀夫さん

    オーストラリア在住ライター (海外書き人クラブ)

    1999年からオーストラリア・ブリスベン在住に在住。オーストラリア関連の書籍以外にも『値段から世界が見える!』(朝日新書)、『ニッポン人はホントに「世界の嫌われ者」なのか?』(新潮文庫)、『日本語でどづぞ』(中経の文庫)、『世界ノ怖イ話』(角川つばさ文庫)など著作も多数。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」のお世話係

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