キャンピングカーが⾏き交う世界の屋根・パミール⾼原の旅 - 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2025.08.17

    キャンピングカーが⾏き交う世界の屋根・パミール⾼原の旅

    キャンピングカーが⾏き交う世界の屋根・パミール⾼原の旅
    パミール⾼原・新疆ウイグル⾃治区と言えばシルクロードの最標⾼地域で、古くはインドから⻑安へ帰る⽞奘三蔵、20世紀初頭ベイルートから北京を⽬指したシトロエン探検隊の最⼤の難所として知られ、様々なドラマを⽣み出しています。その舞台は今どうなっているのかとの好奇⼼この地を訪れました。

    現在そこには中国〜パキスタンを繋ぐカラコルムハイウェイ(全⻑約 1300km)が整備されています 。中国にとって⼀帯⼀路構想の重要な道路ではありますが、⼀⽅で観光産業でも重要な道路とされています。

    その街道を新疆ウイグル⾃治区カシュガルから国境の町・タシュクルガンまで約300km を⾛り、私の感じた旅の⽬的地としての魅⼒、旅の途中に出会った中国の人々の旅の様⼦をお伝えします。

    多くのキャンピングカーが⾛るカラコルムハイウェイ

    街道では多くのキャンピングカー、バイクが⾏き交います。そして天⼭、カラコルム、ヒンドゥクシ、崑崙⼭脈の6〜7000m級の⼭々を望み、点在する氷河、氷河湖を巡ります。

    観光客の多くは漢⺠族で、外国⼈はほとんど⾒かけません。そんな彼らをひきつける街道沿いの観光ポイントを幾つかご紹介します。

    トレッキングも可能な奥依塔氷河

    巨⼤な紅い岩⼭をの⾕を抜けて氷河を望む展望台に向かいます 。標⾼3100m付近から⼀般⾞は⼊れないので⼩さなバスで途中まで⾏き、4km先の展望台まで徒歩か⾺(往復100元)です。展望台からは天⼭⼭脈(6〜7000m級)の⼭々に氷河を⾒る事ができます。

    観光⽤のヤクとヤク料理もある⽩砂湖

    標⾼4200mのスバシ峠を越えると、天⼭⼭脈の⼭々が⾒える⻘い雪解け⽔と⽩い砂が美しい⽩砂湖があります。強い吹き下ろしの⾵で吹き⾶ばされた砂が堆積し、今の⾵景ができたそうです。湖岸には観光⽤のヤク、ラクダが⽤意され、まるで遊園地のように賑やかです。

    また、富⼠⼭頂より⾼いパミール⾼原ではいたる所で酸素ボンベが売られており、皆⽚⼿に持って歩いています。また⾷堂ではヤク⾁に⾆⿎を打つ漢⺠族、ウイグル民族が多く⾒られます。

    キャンプを楽しむ⼈で溢れるカラクリ湖

    雄⼤な崑崙⼭脈を望むこの湖の周辺には、ゲル、キャンプ場、ホテルが点在します。漢⺠族だけでなく、カシュガルからのウイグル民族も多く楽しんでいます。

    インドから⻑安への帰路に⽞奘三蔵が滞在した⽯頭城

    シルクロードの重要な仏教遺跡です。インドから帰る⽞奘三蔵が説法した所ですが、今はタジク民族の村を再現したりして観光地化が進んでいます 。周囲の湿地帯、草原など美しい⾃然を楽しむ事ができます。

    国境の町タシュクルガン

    シルクロードの要衝地としての歴史を持つ町です。パキスタン、アフガニスタン、タジキスタンに接する標⾼3100m の中国国境の町は、今も輸送トラック運転⼿や漢⺠族観光客で夜遅くまで賑わっています 。観光客⽤ホテルも多く近年空港もでき、急速に経済発展している様です。

    盤⿓古道〜⾼低差1100m・標⾼4100mから3100m まで⼀気に下る

    この道は古代シルクロードでタシュクルガン〜ヤルカンドを結ぶ古道の⼀部を観光道路として整備されました。2019年に3年を掛けて完成し、その圧倒的スケールは多くの観光客を呼び込み、地元経済を多いに潤しています。全⻑約34km、S 字カーブが 600余りあり、下りの⼀⽅通⾏で、⼤型バス、⼆輪⾞は⾛⾏できません。

    最標⾼地点からは崑崙⼭脈、カラコルム⼭脈、ヒンドゥクシ⼭脈が望めます 。

    キャンピングカーの旅、⼤型バイクの旅

    リタイヤ漢⺠族の夢、キャンピングカーで⻑期間の旅

    貴州省からの60歳代夫婦は、リタイヤをきっかけに夫婦で 2ヶ⽉をかけてチベット、ウイグルを旅⾏中でした。前職は教師だそう。ちょうど昼⾷どきで麺料理を作っていました。

    他にも数⼈に伺いましたが、リタイアされた⽅々が多く、元公務員、⻑距離トラック運転⼿など様々です。またキャンピングカーは個⼈所有であり、ある⽅は改造費込で39万元だったとの事です。

    街道沿いで⾒かけた様々なキャンピングカー

    ※残念ながらこの地区にはレンタルキャンピングカーはありません。

    ⼤型バイクで旅する⻑距離トラック運転⼿

    浙江省から来た40代の男性は3週間のLong Vacationを楽しまれていると伺いました。やはりチベット、新疆ウイグル⾃治区を旅しています。職業は⼤型トラック運転⼿。ハードな仕事だが⾼収⼊で休暇も適宜取得できるそうです。

    何かと話題になる新疆ウイグル⾃治区を旅するには

    かつてのシルクロード最⼤の難所パミール⾼原は、観光客の多くは漢⺠族でありまだまだ訪れる⽇本⼈、外国⼈は極めて少数です。ですが私達にとって魅⼒的な所が数多くあります 。

    もちろん、宿泊設備も整っており、安全性も問題はありません。

    ヤクのシシカバブ

    盤⿓古道のあるタシュクルガン周辺はタジク民族が多く住む地区で、タジク料理が楽しめます。ウイグル料理とは一味違い酸味、塩味がやや強い様に感じられました。またこの辺はヤクの放牧が盛んで、美味しいヤク肉や内臓を食べられます。

    カシュガルは多くがイスラム教徒の街ですが、旧市街は整備されバーなど夜遅くまで賑わっています。シシカバブ、ラグ麺などウイグル料理がほとんどで、和⾷、イタリアン、フレンチはありません。

    夜のカシュガル旧市街

    外国⼈がこの地区を旅すると、多くの検問所、宿泊施設の制限(パオ、⺠宿は泊まれずホテルのみ)など不⾃由さを感じることがあります。また、レンタカーを借りるには中国国内免許証が必要など個⼈旅⾏にはまだまだ⾼いハードルがあります。今回は、ドライバーと⾞を⼿配し旅をしました。ですがこの地区にはそんなハードルを上回る魅⼒があります。中国の規制が緩和された後には、是⾮キャンピングカーで旅をしたいものです。

    圧倒的な⾃然景観の中で⽞奘三蔵の⾜跡を辿り、ヘディンやスタインのロマンを感じさせてくれるパミール⾼原に乾杯!

    氷河から作った氷のオンザロックで乾杯!

    ※今回の旅のコーディネートは⻄安 XIN 信国際旅⾏社にお願いしました。

    日本人スタッフの丁寧な対応で出発前⽇までスケジュール調整をしていただきました。

    ⻄安 XIN 信国際旅⾏社:https://nwcts.com.cn

    ※1元=約20元 (2025年6⽉現在)

    中川豊さん

    1949 年⽣まれ。メディアプロデューサー。1971年5月より約9ヶ月をかけキャンピングカー(三菱ジープ J-30 を改造)でシルクロードを走破。経路はインド・コルカタから中近東、北アフリカ、ジブラルタル海峡を渡り、最終地はポルトガル・リスボン。以来旅を続け、訪れた国は80を越える。

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