
アユ釣りを嗜む方はもちろん、そうでない方ももらい物であったり購入していただくという機会も多いことでしょう。
今回は塩焼きだけでなく、意外と多いアユのレシピを紹介します。
アユは食べて美味しい川魚!
アユの食味は夏の定番です。
特にアユ釣りが盛んな地域で育った方は、幼い頃からいただく機会も多かったことでしょう。
アユの美味しさは、なんといってもその香りにあります。特に焼きたての塩焼きをひと口頬ばったとき、口いっぱいに広がる、気品ある野性味のような香りはたまりません。
アユの基本情報
アユとは
アユはキュウリウオ目に属する淡水魚で、日本全国の河川に生息しています。
キュウリウオは名前の通りウリに似た香りがする魚で、その仲間であるアユも同じくウリやスイカのような香りがして、天然のアユは魚の生臭さはほとんどありません。
アユの生態における大きな特徴は自らの縄張りを持つことで、縄張りに侵入してくるアユや他の魚を執拗に追いかけまわす性質があります。
河川流域の住民との関わりは非常に深く、縄張り意識を利用した釣りである友釣りをはじめ、各地域でありとあらゆる漁法が編み出されてきました。
アユの生育時期

アユは1年で一生を全うする年魚で、幼魚期間である春先を海や一部の湖で過ごし、生育と共に河川を遡上して夏を謳歌します。
そして晩秋から冬にかけて河川を流下しながら産卵し、その一生を終えます。
日本だけでなく朝鮮半島や台湾など東アジアにも生息しており、日本と同様にアユの友釣りを嗜む釣り師も多く、温暖な地域である台湾では生育が早く3月ごろから友釣りが楽しめます。
ちなみに、沖縄から奄美大島に生息していたリュウキュウアユ(沖縄本島のものは1970年代に絶滅)は、以北地域に生息するアユと酷似していますが別種です。
成魚になり河川に遡上してからの生育はかなり早く、アユのシーズンである夏でも初夏の頃とお盆過ぎでは大きさはかなり異なり、味の変化も感じられます。
アユの味わい
鮎は古くから人々の暮らしと関わりが深く、その調理法も様々です。
春先の遡上する前の稚鮎や河川の鮎漁が解禁された直後の小型のアユは、天ぷらや唐揚げで美味しくいただけます。
天然ものを定番の調理法である塩焼きでいただくのであれば、ベストシーズンは初夏~盛夏で、地域によりますが8月中頃までのものは、香りも強く絶品といえる味わいです。
お盆を過ぎて産卵を控える頃になると、卵や白子を抱えたアユは大型になり、また骨も硬くなることから、しっかり火を通して丸ごといただくのが少し難しくなります。
そのような後期のアユは塩焼き以外にもアレンジしたレシピで大変美味しくいただくことができます。
アユの食べ方は塩焼きが基本
家庭用のグリルでも美味しくいただくことはできますが、アユを塩焼きにするのであれば炭火が断然おすすめです。
炭火でじっくり中まで火を通すことで骨まで柔らかく焼くことができ、頭から丸ごと頂けます。
アユの塩焼き手順①
アユの美味しさは、香りに加えてワタの風味にもあります。
石についた藻を食すことから香りやワタの風味は河川ごとに異なり、地域ごとの味わいの違いを楽しむこともできます。ぜひワタごと塩焼きにして風味を楽しんでみましょう。
天然もののアユは、河川の状況によっては食した藻の中にの中に砂利が含まれていることがありますが、尻に向かって絞るように腹を押すことで腸内の藻を排出することができます。
また、加熱調理するのであればアユは鱗を落とす必要はありません。
アユの塩焼き手順②
串に刺しておくことで、焼いている最中に身が反ってしまうのを防げます。さらに(後述しますが)、串を立てて焼くことで、より一層美味しく仕上がります。
また、串に刺す際にアユの体を少しずつ曲げながら串を通す工程を繰り返すことで、アユが体をくねらせて泳いでいるような形に仕上がります。
この刺し方は「踊り串」と呼ばれ、見た目にも風情があり、焼き上がりの魅力を引き立てます。
味付けは塩のみで行います。ヒレには、覆うようにたっぷりと塩を振ることで、焼いたときに焦げて崩れるのを防ぐことができます。一方、身の部分は、手に残った塩を軽くまぶす程度で十分です。
アユの塩焼き手順③
家庭用ガスコンロのグリルで焼く場合、食べごろの20cm前後であれば寝かせた状態かつ弱火で片側20分、途中で返して合計40分ほどで美味しく焼けます。
炭火で焼く場合は、金網に乗せても美味しく焼くことができますが、もしグリルに串が立てられれば一層美味しく焼くことができます。
串を立てることでアユ自身の脂がしたたり、頭がちょっとした素揚げの状態となり、食べごろサイズのアユであればバリバリと丸ごといただけます。
炭火で焼く時間の目安としては炭からアユを15cmほど離した状態で、腹側を下にして20分程度、途中で返して背中側を20分程度、合計40分程度です。
大きなアユであれば焼く時間を各5分~10分ほど長くしてしっかり火を通す必要がありますが、ヒレや皮が焦げることがある点には留意しましょう。
アユの食べ方【応用編】
続いて塩焼き以外のレシピを紹介します。
アユのせごし

せごしとは骨の柔らかい魚を骨ごと身を輪切りにした刺身です。
遡上して間もない若い鮎は骨がまだ柔らかく、コリコリとした独特の食感を味わえます。
- 鱗とヌメリを包丁でこそぎ落とす。
- ヒレを切り落とし、腹を開いてワタを取り除く。
- 尾から胸ヒレまで、中骨ごと2~3mm幅で輪切りにする。
- 輪切りにした身を2回に分けて氷水で締める。1回目は氷水を張ったボウルに身を入れてよく回す。2回目は氷水を交換し、5分ほど浸けてよく締める。
- キッチンペーパーに水分をよく吸わせ、盛り付けて完成。醤油や酢味噌などでいただく。
アユをせごしにする注意点として、アユには横川吸虫(よこがわきゅうちゅう)という寄生虫が付く場合があります。
寄生虫を死滅させる手段としては加熱もしくは冷凍などがあり、心配であれば一旦冷凍にしてからいただくことをおすすめします。
姿のまま冷凍にすると身が崩れて輪切りにするのが難しくなるため、氷水による締めの後に冷凍にするのがおすすめです。
解凍後はキッチンペーパーでよく水分を拭き取りましょう。
アユめし手順

アユめしとは、アユの炊き込みご飯のことで、人数分の匹数が揃わなかったときや、シーズン後半の大型アユといった塩焼きのベストシーズンを過ぎた天然ものなどの調理法としておすすめです。
材料(4人分)
- 米 2合
- 生アユ 2尾
- 調味料 醤油大さじ2、みりん大さじ1、酒大さじ1
手順
- アユをグリルの弱火で20分ほど素焼きにしておく。炊飯で再度加熱されるため、中まで火が通る必要はありません。
- 米を研ぎ炊飯器に入れる。調味料、水の順で入れて最後に軽く撹拌することで水の量を調整。
- アユを米の上に並べて炊飯する。
- 炊きあがったらアユの頭とヒレを取り除き、身をほぐす。
- 好みでワタも取り除いて完成。
アユは身離れが大変良い魚で、細かい腹骨まで簡単に取り除くことができるので、炊き込みご飯との相性は抜群です。
天然もののアユでアユめしを作る際は、ぜひワタまで一緒に召し上がってみてください。
アユの南蛮漬け手順

遡上して間もない小型のアユや遡上前の稚鮎は、焼くと簡単に焦げてしまうことから、揚げ物料理がおすすめです。
材料(4人分)
- 小鮎 8尾~12尾程度
- 人参 1/2本(千切りにしておく)
- 玉ねぎ 1/2玉(薄切りにしておく)
- 片栗粉 適量
- サラダ油 適量
- 調味料 醤油大さじ2、穀物酢100ml、砂糖大さじ2、水大さじ2
手順
- 人参と玉ねぎを少量のサラダ油で軽く炒め、混ぜ合わせた調味料に浸けておく。
- 小鮎に片栗粉をまぶし、170度Cほどのサラダ油で揚げる。
- 揚げた小鮎に浸けておいた人参と玉ねぎを乗せ、浸け置きに使用した調味料を適量かけて完成。
アユ雑炊手順

アユ雑炊は、アユめしと同じくアユの匹数が人数分揃わなかったときでもみんなでいただけるレシピです。
材料(4人分)
- 炊いたご飯 2合
- 生アユ 2尾
- 小ねぎ 適量(小口切りにしておく)
- 調味料 水300ml、醤油大さじ1、酒大さじ1、みりん大さじ1、顆粒だし小さじ1
手順
- アユをグリルの弱火で20分程度素焼きにする。
- 炊いたご飯を水洗いしてぬめりを落とす。
- 焼きあがったアユの身をほぐし、骨とヒレと頭を取り除く。
- 鍋で調味料を混ぜ合わせてご飯を入れ、ほぐしたアユの身を乗せて4分~5分中火で煮立てる。
- 彩りに小ねぎをちらして完成。
アユのマリネ手順

アユのマリネは、南蛮漬けに近いレシピですが調味料の違いにより洋風に仕上がりまず。
材料(4人分)
- 小鮎 8尾~12尾程度
- 人参 1/2本(千切りにしておく)
- 玉ねぎ 1/2玉(薄切りにしておく)
- 片栗粉 適量
- 調味料 オリーブオイル大さじ1、穀物酢大さじ1、砂糖小さじ1、塩少々、コショウ少々
手順
- 人参と玉ねぎを耐熱容器に入れ、レンジで加熱する(500Wで2分)。混ぜ合わせた調味料に浸けておく。
- 小鮎に片栗粉をまぶし、170度Cほどのサラダ油で揚げる。
- 揚げた小鮎に浸けておいた人参と玉ねぎを乗せます。その上から浸け置きに使用した調味料を適量かけたのち粗熱を取る。
- 粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やして完成。
アユの味噌焼き手順

アユの味噌焼きは、塩焼き同様に1尾まるまるいただくレシピですが、ワタを取り除いて調理する特徴があり、ワタまでいただくことに抵抗のある方などにおすすめです。
手順
- アユの腹を開いてワタを取り除く。
- 広げたアルミホイルに薄くサラダ油を塗りアユを乗せる。
- 腹に味噌と酒を1:1で混ぜた調味料を詰め、身にも薄く調味料を塗る。
- アルミホイルごとグリルに入れて、弱火で片側20分、途中で返して合計40分ほど焼いて完成。
焦げやすい味噌を腹に詰めることで直火を避け、焦げ付きを防いで時間をかけて焼くことができます。
アユの甘露煮

甘露煮は塩焼きに並ぶアユの定番レシピです。煮つけに近いレシピですが、名前の通り甘く仕上がるのが特徴です。
材料(4人分)
- 生アユ 4尾
- 生姜 1かけ
- 調味料 水300ml、酒大さじ4、みりん大さじ4、砂糖大さじ3、醤油大さじ3
手順
- フライパンにアユと輪切りにした生姜、調味料を入れる。
- 中火で加熱して沸騰したら落とし蓋をして弱火で20分ほど煮る。
- 落とし蓋を取り、調味料をアユにかけながらとろみが出るまで煮詰めて完成。
アユの季節は夏!美しさを愛でよう!
アユは、石についた藻を食べて暮らしています。そのため、水の流れに磨かれた大きな丸石が川底をつくるような河川を好みます。こうした生息環境や、見た目の美しさから、「清流の女王」とも称されています。
その食味も大変素晴らしく、夏限定ともいえるアユの美しさと味をぜひ楽しんでみてはいかがでしょうか。